見出し画像

人に甘えるとは?

「気兼ねなく甘えられる彼氏だといいね」

大学のころ、いつも彼氏とうまくいっているキラキラな友達に言われた言葉。

その彼氏はいつも優しくて、穏やかだった。友達はどちらかというと、ワガママなほう。

甘えるっていうのは、相手が優しい人だからできること。私はできないよ、そんなことしたら嫌われる。

当時の私は、こんな風に思っていた。

お付き合いする人は、なぜかいつも短気で怒りっぽく、子どもっぽい感じだった。言葉がうまいので、自分に自信のない私は告白されたらお付き合いし、釣った魚に餌はやらない状態にされてしまう。

思えば、彼らは「甘えられる相手がいないと死ぬ」くらい愛情に飢えていた。だから、攻撃的な甘え方をする。たまたまかもしれないが、母親とうまくいっていない人ばかりだった。

人生で一番過酷な恋愛が終わりを告げたとき、今度は親友から

「今度は甘えられる人が見つかるといいね」

と同じ言葉をかけられた。
甘えるってどういうこと?わからない。

しかし、社会に出て痛感した。

私は甘えられやすい。頼られたり、舐められたりとは違う。この子は何を言っても平気、受け止めてくれる、といった甘えられ方だ。

仕事でお客様や感情的な同僚に、なんど理不尽な怒りをぶつけられてきただろう。上司からも変に頼られ、助けてもらえない。

そんな私をよそに、同期の何人かは泣いて部署移動させてもらったり、新人が出される接客コンテストを辞退したりしていた。

それが良いか悪いかは別として、あぁ…お得な生き方だな…と少し羨ましく思った。

好きな人にも「こんなこと話せるのお前くらいだから」なんて言われつつ、女性としては扱ってもらえない。向こうも私の好意には気づいているので、うまく使われているといったところ。

そんな、イマイチな日々を何年も送った。

あまりに悲惨なので本を色々読んで、自分を変えようと行動に出た。

あるとき、私が甘え下手なのはすべて「自分嫌い」から来ていることに気づいた。とにかく自信がない。無駄にいい人でいたくて、相手に嫌われるのが怖い。

無理していい人を演じるから、甘えられるばかりになってしまい、ストレスになって自分を苦しめる。そうやって自分を嫌いになっていくスパイラル。

また「甘える=みっともない、わがまま、ズルい」と思っていることにも気づいた。

今ならわかる。
甘えるって、ベタベタ寄りかかることじゃない。相手に思ったことをきちんと伝えることだ。

これが好き、こうされたら嬉しい。
嫌な気持ちになった、やめてほしい。

思ったことを、取り繕わずそのまま言う。そうしないと、相手に私の気持ちが何も伝わらない。傷ついていることも。

そんなシンプルなことに気がつくまで、ずいぶん遠回りした。

それからは、理不尽に甘えられることが格段に減った。離れていった人もいるが、きっとその人は甘えられる人が好きだったのだ。私自身ではなくて。

「なんで私ばっかり!」とか「あの人はズルい」とか思うことが多い人は、まず相手に思ったことをそのまま伝える訓練をすることをおすすめしたい。

大丈夫、案外嫌われない。
そうなんだ〜、くらいのもの。

たぶん人って、そんなに相手に興味ない。

少なくとも「私はこう言うのが嫌ですよ、やめてね!」は言ったほうがいい。

私もいまだに下手くそだが、生きやすくなったのは確かだ。

誰かの参考になればうれしい。


この記事が参加している募集

#習慣にしていること

130,642件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?