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「いい人」はかっこいい。

恋愛でよくある「いい人だけど好きじゃない」。

私も例に漏れず、婚活で何度もこの壁にぶち当たった。「穏やかで、真面目で、優しそうないい人なんだけどね…」と何度思ったか。

今思うと、本当に優しい人って見つけにくいのだ。でも、見つけにくいからこそ、見つけたときの感動はひとしお。

というのも、私は結婚してつくづく感じている。優しい人と一緒に暮らせるのは、本当に幸せだ。

私の夫は見た目から中身まで「いい人」だが、恋愛では「いい人なんだけどね」で済まされてしまったタイプ。彼女がいたことがないため、女性の扱いがさっぱりわからない。だから相手が「ときめき」を感じることなく、よくて「いい人」悪くて「つまらない」になってしまう(すごく失礼な予想)。

付き合うことになったのは、たぶん私が強引な性格だからだ。何度会っても告白してこない彼にヤキモキして、はっきりと「私のことどう思ってるの?」と聞いてしまった。

付き合った後、夫から「あのとき聞いてくれなかったら付き合えなかった。助かった」と言われた。

今まで「いい人なんだけどね」が続いていた私が、夫には違うものを感じた。それにははっきりとした理由がある。

夫には「自分をよく見せよう」という気持ちがない。付き合う前、その優しさはとてもさりげなかった。

初めて2人でご飯を食べた日、私は駐車場で自分の車をどこに停めたか分からなくなってしまった。地下何階もあった上、停めた場所の番号も覚えていない状態。彼は当然、集合する前なので分からない。

それでも、ずっと一緒に探してくれた。その後見つかって、出庫するまで見送ってくれた。自分の駐車場は離れたところにあるにも関わらず・・・。

次に会ったときは飲みだった。私はお酒大好きなので楽しく飲んで帰ったが、彼はあまり得意ではなく、合わせて飲んでくれていたことを後で知った。

付き合う事になった日のデートでは、車の後部座席にるるぶが5冊も置いてあった。それは慣れないデートの行き先を一生懸命調べてくれていた痕跡だった。

一つ一つは小さなことで、さりげない。でも、彼は一度も「してあげている感」や「無理している感」を見せなかった。反面、アピールしているわけでもないので私が気づかなければそのまま・・・。

私は彼の優しさに気づけたことが、人生の分岐点になったように思う。

付き合って結婚してからも、それは変わりない。フードコートですぐ水を取ってきてくれるし、重いものはさっと持ってくれる。私の好きなものをよく覚えている。生理痛がひどい時はカイロを買ってきてくれ、温かい料理まで作ってくれる。

ケンカしても、「あのとき〇〇してあげたのに!」と一度だって言われたことがない。

彼を見ていると、本当に優しい人は「かっこいい!」と思う。日々思う「優しいなぁ」という感想が、「かっこいい」という尊敬に変わってくるのだ。

彼のような男性は、恋愛の場で埋もれてしまいがちだ。なぜならアピールがないから。モテる男性のように、女性が喜びそうな甘い言葉も、シチュエーションも分からない。だから「いい人なんだけど好きじゃない」「ときめきがない」で次に進まない。

気取らないせいで控えめな雰囲気をしているし、女性を追いかけることもしない。

でも、そういう男性のさりげない優しさを見逃すのは、すごくもったいない。私もきっと、今までたくさん見逃してきたと思う。

うわべだけ甘い言葉をくれる男性より、さりげなくても本当の優しさで接してくれる男性のほうが絶対にいい。

それが分かったのは恋愛や婚活でズタズタに傷ついてからだったけれど。

もし婚活で男性と出会って、ときめきはなくとも本当の優しさを見つけられたら、その人ともう一回会ってみたらどうかな?と思う。

今までとは違う「好き」を見つけられるんじゃないかな。それはきっと、今まで感じたことがない、静かで、穏やかで、でも確実にかけがえのない愛情になるはず。

ただし、「いい人」と付き合うにはこっちからガンガン行くガッツもいる。これもなかなか骨が折れるけれど、それもいつか贅沢な悩みになるのかもしれない。

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