ゴミ屋敷の住人と宝塚さん
昨日、初めて精神障害に関する相談支援で、あるお宅を訪問した。
✳︎ゴミ屋敷の住民✳︎
その住民は、睡眠薬の多量服薬40回以上、自傷歴20年間、放火や警察沙汰、その他の自傷他傷、ヘルパーさんや施設との自作自演のトラブルや喧嘩別れも数知れず、区内どころか市内でももはや引き受ける施設がないという、なかなか気合の入ったキャラだった。
訪問する2日前に「主担当としてお願い」と言われ、しかも区役所からFAXで届いた書類は手書きでしかも字が細かくて潰れていて、もはや8割ほどは解読不能。事前に得られた情報は、かなり少ない。マジか・・( ꒪⌓꒪)
とりあえず「もしかすると当日は暴言を吐いてきてこちらの力量を測りくる可能性があるから、そのつもりでいつも以上にニュートラルで臨もう。」と思って覚悟をきめて訪問した。
✳︎ゴミの間に三角座りで話を聞くというシュール体験✳︎
そして、ドアを開けたらゴミ屋敷。そしてすごい濃度のタバコの匂い。令和の時代でこんな燻製になりそうなタバコの煙で充満した空間とはなかなか出会えない。でもゴミの量に関しては思ったよりマシで、畳一畳弱位の空間はかろうじて残っていた。(ヘルパーさんと喧嘩別れして1ヶ月経過と聞いていたので、私の中では季節柄ゴキブリを踏む覚悟で潜入していた。だからむしろ拍子抜けというか、ほっとした。)
タバコの吸い殻と空のペットボトルとカップラーメンの容器の隙間に三角座りしながら、自分の会社の人や行政の保健師さんや生活保護担当の方などの関係者が、ゴミと本人を囲み、ぎゅうぎゅう詰めで三角座りして話を聞く。なんかもう、ある意味キャンプファイアー状態でシュール極まりない。
✳︎「宝塚さん」爆誕!!!✳︎
幸いそのゴミ屋敷の住人は、私の事を「なんか、アンタまるで宝塚の男役みたいやから、これから宝塚さんって呼ぶわ!」と言ってくれて、(とりあえず「さん付け」で呼んでくれた事に内心感動!🥺)、困りごとや、要望、スケジュール、今回担当者を変えたいと思った理由、本人にとっての地雷などひとまず聞き取りをして第一回目は終了。
これから聞き取りをした内容に基づき、彼女の希望やこれからの長期短期の目標に少しでも近づけるよう、行政サービスや社会資源をどのように彼女と紐づけていくかについての計画を立ててブラッシュアップを重ねていくことになる。
前職では、とても堅気とは思えないような大阪の不動産屋さんや、脱法や詐欺をしている不動産屋さんやその弁護士さんとワチャワチャやりあう仕事だったので、自分としては虚言癖や破天荒キャラと接する事自体は初めてではない。
でも今は福祉という全然畑違いの業界。だけど一人の人として眺めてみると、トラブルの根底にある「心の奥底にある寂しさ」「不安」「不器用さ」「臆病さ」は割合が違えど共通していると感じたし、でも同時に「激しい繊細さ」や「誰かに寄り掛かりたい、依存したくてたまらない」という強い矛盾する感情が同居している印象も受けた。
✳︎ゴミ屋敷の住人と宝塚さん✳︎
これからの展開がどうなっていくか分からない。他の施設同様に思いがけない事で喧嘩別れになる可能性もある。でも出来るだけ、信頼関係を構築できるよう、そして自分がのまれる事がないよう自分の客観性と境界線を守りながら、そして少しでも、そのゴミ屋敷の彼女が社会との接点を取り戻して人生を立て直していけるよう、「宝塚さん」なりにやれる限りのことはやってみようと思っている。とりあえず守るべき最低ラインは私自身の心身を守り切ること、そして彼女が死なないこと。
それにしても、笑わずにはいられない、このニックネーム。実は私は、20代からずっと仕事で高齢男性と知り合うと、年に2回位の割合で「もしかしてゲイだから独身なんですか?」と質問され続けていて、その度に「単に仕事し過ぎて婚期を逃しただけです(苦笑)」と答え続けてきた。まぁ実際そうなので仕方ない。だけど、まさか「宝塚さん」と呼ばれる日がやってくるとは。そして母方のこの男顔の血筋がこんな形で役立つ日が来るとは😅
人生、一体何が役に立つかマジで分からない。でもまぁ、ニックネームで親しみを感じてくれて本音を少しでも話せる関係が作れるとしたら、それはそれで言う事は無い。とりあえず宝塚さんなりに頑張ろう。うん。
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