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羊が全ていなくなる夜
眠れない時は羊を数えると良いと言う話には続きがあって、「夜にどうしても眠れない時に羊を数えるので、眠る気もないのに羊を数えてはいけない。特に灯りをつけたまま羊を数えると逆に眠れなくなる」というものだ。しかし次第にこの後ろの部分は忘れ去られ、今では眠れない時に羊を数えるということも迷信だと思われるようになった。
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ある日「
おいでやす、終わりそうな村
村の重役たちが集会所に集まって話をしていた。
「すっかり村の若い者も都会へ出て行ってしまった」
「村おこしで作った裏山のアトラクションも、さびれ放題じゃ」
「一体どうすればいいのかのう」
「だから今新しい村おこしのアイディア出そうって集まったんだべ」
しかし村に残っているのは年寄ばかりで、若者も数が少なく期待できそうな人材はいない。
「今流行りのゆるキャラを作ってみるのはどうだべ」
「ダメだ
あるところにヒーローがいた
公園のベンチに座っているおじいさんは、何でも知っている物知りじいさんだ。僕たち子供はおじいさんのところに行っていつもお話をしてもらう。
「昔々、戦争があってな、この公園は兵隊さんがたくさんいたんだ」
「お城に住んでいたお姫様は、それはとってもきれいな方だった」
「今日は国を守ったヒーローの話をしてやろう」
僕たちは何時間でもおじいさんの話を聞いていたかった。でも、夕方になると家に帰らなければ
「絶望、いりませんか」
「えー、絶望、絶望はいりませんか」
「いらないよ、そんな物騒なもの」
「そうだよ、好き好んで絶望を手に入れる人なんていないよ」
絶望屋はいつも駅の前で絶望を売っていましたが、誰も買ってくれません。隣の店の希望屋はいつでも繁盛していました。
「おいちゃん、希望ひとつくれよ」
「はい、毎度あり。あなたにいいことが訪れますように」
希望屋の店主はいつもにこにこしていて、客から人気がありま
「好きなことを書きなさい」
サアヤちゃんの今日の宿題は作文でした。先生は「自由に書いてきなさい」と言ったのですが、サアヤちゃんは「自由」という言葉を知りませんでした。先生に聞きに行くと怒られそうなので、家に帰ってきてからお姉ちゃんに聞きました。
「今日ね、作文の宿題で自由に書いてきなさいって言われたの」
「ふうん」 「自由に書くって、何を書けばいいの」 「そうね、好きなものを書くといいよ」 「好きなもの?」 「例えば好き