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【謎解き解説】ジュビロ磐田vsファジアーノ岡山 岡山の先制点はどうしてうまれたのか?


どうも、ゼロファジです!


今回はJ2リーグ第3節ジュビロ磐田vsファジアーノ岡山戦でうまれた岡山の美しい先制点についてのお話です。


まずは、ハイライトを見てもらいましょう。こんなゴールでした。



岡山の先制点を謎解き形式で解説します


いやーお見事!ここ数年の岡山のゴールの中でもNO.1クラスに美しいゴールです。このようなゴールを取れるチームになったことが実にうれしい。


今回はこのゴールは何故生まれたのか?について解説していきたいと思います。初心者でも十分についていけるように解き明かしていきますのでぜひ謎解きにお付き合いくださいませ。もしこのシーンに興味がわいた方は試合の見逃し配信で一連のシーンを通しで見てみてください。そっちのが何倍も面白いですよ!(11:30あたりから見るのがおすすめです)


謎解きのカギとなる2つの疑問点



さてさて話を進めていきましょう。

この一連のゴールシーンを見ていると、パッと思い浮かんでくる疑問点ありませんか?それは・・・

・なぜゴールを決めた清水慎太郎選手はあんなにフリーだったのか?
・なぜクロスをあげた椋原健太選手はあんなにフリーだったのか?

シュート打った慎太郎も、クロスあげたむっくんもどちらもめっちゃフリーでしたよね。磐田が守備で手を抜いていたわけじゃないのに、どうしてこの2人はあれほどフリーになることができたのでしょう?ゴールが生まれた理由を探るうえでなにやら重要なポイントが隠されていそうではありませんか。

ということこの2つの謎を解き明かしていきながら、なぜこの美しいゴールは生まれたのか探偵にでもなったつもりで考えていきましょう。


得点シーンのスタート時点の岡山の配置を読んでみる


最初に基本的なファジアーノ岡山のフォーメーションを確認しておきましょう。この中で注目なのは、クロスをあげたむっくん(椋原選手)と右SHの上門(うえじょう)選手です。岡山は4-4-2のフォーメーション。


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通常はむっくんが右SB、上門(うえじょう)が右SHですね。ところが、この得点シーンの前のプレーでこの2人のポジションが都合上入れ替わっていました。したがって、実際の二人の関係はこのような並びになっています。

むっくん2

上門が後ろで、むっくんが前。こういう配置になっていました。

このゴールシーンは岡山のCB濱田→GKポープへのバックパス。そしてGKポープからの組み立てから崩しのシーンが始まります。その崩しのスタート時の岡山の選手の配置は、上の図と大きく異なっていますのでまずここをチェックしておきましょう。

あおの


最終ラインではCBが左右に大きく開き、その間にGKポープが立つことで疑似3バックを形成します。そして、その3バックの左わきに上田康太が落ちてくる。なので、結局ポープを含めた4バックのような形になっていますね。

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そしてCB濱田とCH上田に両サイドの底をまかせて、両SBが高い位置をとります。先ほどあったようにむっくんと上門はポジションを入れ替えていましたけども、どのみちむっくんはこの位置に立つことになるので、上門と入れ替わっていてもそのままでよかったって判断でしょうね。

まんなk

そして前線を見てみると、両SBがタッチライン際に立ち、その間にヨンジェ・慎太郎の2トップ、そしてインサイドに入ってきた左SH、全部で5枚が横並びになる形になっています。これが、この得点シーンのスタート時の岡山の選手の立ち位置です。


磐田の前プレをはがしていく岡山のビルドアップ


このような岡山の選手の配置に対して磐田は前プレ(前からプレッシング)をかけて高い位置からプレッシャーを与えていこうとしていました。まず、磐田の選手配置をチェックしておきましょう。

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バックパスをGKポープが足元でコントロールした時の磐田の選手の配置がこちらです。磐田も岡山と同じ4-4-2のフォーメーションですね。で、GKポープに対してはFWのルキアンがプレッシャーをかけに出ます。そして岡山の左のCB田中裕介に対しては小川が、降りてくるボランチのパウリーニョに対しては磐田のボランチがチェックに行きます。

ちぇっくう

岡山はポープ→パウリーニョとつなぎ、パウリーニョはワンタッチで濱田へとボールを逃がします。この時濱田へパスが出ることを察知して磐田の左SH山本かな?がさらに詰め寄ります。

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これまでの岡山ならばこのくらいのプレッシャーを受けてしまうと安全な逃げのプレーを選択することが多かったのですが、ここは一味違いました。磐田のプレッシャーをいなし、濱田→パウリーニョ。またパウリーニョはワンタッチで降りてきた右SHの上門へとつなぎます。”ボールハンター””守備の人”というイメージの強いパウリですが、ここのリンクマン(前と後ろをつなぐ人)の役割は大変すばらしかった。相手の予想を上回るアクションでチームにスピードとリズムを与えていましたね。

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さて、なぜクロスをあげた椋原健太選手はあんなにフリーだったのか?問題を考えるにあたって重要なシーンがやってきました。

今、パウリーニョ→上門とボールがわたり上門は進行方向とは逆向きでボールを受けました。この局面、岡山の選手は上門・椋原と2名がエリアにいるのに対して、磐田は左SB一人しかいません。つまり2:1で岡山の数的有利な状況だということがわかります。

しかし、上門は完全に前を向ける態勢ではありませんでした。なので磐田の左SBはそこに付け入るスキがあり上門をストップできると踏んで距離を詰めていくのですが・・・


かわす


上門のドリブルによって抜き去られてしまいます。これにより、磐田の左サイドは守備者が0に。あとは無人のスペースへパスを流し込み、大外に待っていた椋原に十分なスペースと時間をプレゼント。こうして、”椋原健太選手はこんなにフリー”が実現することになりました。


なぜクロスをあげた椋原健太選手はあんなにフリーだったのか?


で、ここからさらに「なぜ?」の部分に踏み込んでいきます。

たりない

上門にボールが入った時点での岡山の選手の立ち位置を線で結んでみました。このように、前線には右から椋原・上門・FW・FW・左SH・左SBと実に6名もの選手がいるのがわかりますよね?これに対する磐田の守備は、4バックの左SB・左CB・右CB・右SBに加えて右SHの5名で構える格好になっています。

岡山の6に対して磐田が用意できる人数は5。つまり最終ラインでは磐田の数的不利が生ずる形にそもそもからしてなっているんですね。おそらくそれが4-4-2からフォーメーションを変化させた岡山のねらいの一つだと推察します。この場合、岡山が磐田のプレスを回避してボールをもって前向きにプレーすることさえできれば、磐田は数的不利に悩まされることになっていたってわけです。そして、それが右サイドで発露した。なので、椋原選手はあんなにドフリーになることができたというわけです。


なぜゴールを決めた清水慎太郎選手はあんなにフリーだったのか?


さて、次の謎はこちらです。シーンは上門から椋原にボールがわたり、むっくんは中の様子を観察しクロスの打ち込みどころを吟味しつつ前進していくという場面です。それではまず、磐田側の登場人物をチェックしておきましょう。

いわたきゃす

ボールをもっているのがむっくん。

磐田の最終ラインは左SBが上門に抜き去られてしまったので不在です。したがって、中央に2枚のCB。そして逆サイドに右SB。計3名の守備者が残っていますね。

清水慎太郎選手がなぜにあのようにフリーだったのか?それを考えるうえで重要なのが磐田のダブルボランチはどこにいるのか?という問題です。

図の通り一人は中央付近(映像で確認できず予測)におそらくいて、もう一人は上門の近くにいます。なぜ彼らはそのような位置にいるのでしょう?


まず、中央付近にいるボランチは前プレの時にパウリーニョにチェックに行っていました。そして、後ろのボランチは左SBが上門に抜かれてしまったのでそのカバーに向かっています。それゆえに、帰陣が遅れ最終ラインとの間に大きな距離をあけてしまう形になってしまったんですね。むっくんがいざクロスをあげよう!という時点ではこのような形になっていました。


ばいすか


見てもらったらわかるように、いわゆるバイタルエリアと呼ばれるど真ん中の重要なエリアに岡山の選手が3名、いい形で侵入していることがわかります。

もどれたら

最終ラインの一個前のエリアはダブルボランチがしっかりと締めて相手に自由を与えないことが大事です。もし、磐田のダブルボランチがここまで戻れていればむっくんとてクロスの出しどころに迷っただろうし、ゴールの可能性はかなり低くなったであろうと思われます。しかし、物理的にそれは不可能でした。

岡山の選手は、上門が完全に前を向いた時点で一気に相手陣内になだれ込んでいくんですが、まずはJ2得点王候補のイ・ヨンジェが裏へ裏へと走ることで相手の最終ラインをぐいぐいと押し下げていきます。いわゆる「深さ」を作るプレーですが、ヨンジェが裏に走って最終ラインを磐田ゴールに近づければ近づけるほどプレーできるエリアは広くなります。

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そして、左SH白井とFW清水の二人が中央に入っていくわけですが、白井はむっくんにちかいニアサイド。慎太郎はすこし遅めに走ってヨンジェとタテにならぶように入ります。これにより、ヨンジェへのコース。白井へのコース。慎太郎へのコースと3つパスコースができました。

ひきつけ

ヨンジェが最終ラインをひきつけて、白井がニアで相手をひきつけた分慎太郎に割ける守備者が磐田にはいませんでした。なので、慎太郎はフリーで狙いすましたシュートを決めることができたというわけですね。



と、いうことで岡山の先制点を振り返ってみました。このシーンからもいろいろなことが学べますが、一番注意したいのは前プレをはがされるとヤバイということではないだろうか?と思います。前プレはいわば自分たちの陣地をスカスカにして出ていくぶん、相手の陣内でタイトにプレッシャーをかけることができるという守り方です。

上手くハマれば高い位置でボールを奪うことができ、そのままショートカウンターに転じることができるのですが、はがされるとこのように豊富なスペースを相手に明け渡してしまうことにもなりかねません。このあたりの知識は他の試合でも十分に使えますのでしっかりと覚えておきたいですね。

最後に、まっつんさんのツイートを紹介しておきたいと思います。

疑似カウンターというのは片野坂監督率いる大分トリニータの得意としている攻撃のやり方です。バックパスなどで相手の前プレを誘発しておいて、後方からのボール回しで巧みにプレスをはがし、あたかもカウンターを打っているときのようななだれ込むようなスピードでゴールを奪ってしまう攻撃です。

――前半の得点は積み上げてきた形だったと思う

有馬監督
「本当にその通りだったと思います。ダイレクトプレーでより速い攻撃をするっていうのが去年のウチの持ち味で、それは残しておきながらも、しっかりとまずは相手を見ること。(プレッシャーに)来ているのであれば、いいサポートをして前向きな選手を作りながらポジションを取って、相手の薄い方へボールを運びながら、なおかつダイナミックにゴール前に枚数をかけて出ていこうっていう意味では、本当に理想的だった。しかもしっかりとした守備のジュビロさんを相手にできたっていうことは、彼らが積み上げてきて成長している部分、進化している部分だと思います。自信を持っていきたいなと思います」

ファジラボ、無料記事より抜粋)

岡山の有馬監督がどう考えているかまではわかりませんが、自分も見ていて疑似カウンターっぽさというのは感じました。相手に守備組織を整備させずにゴールまでなだれ込むスピード感は実に爽快で非常に魅力的です。有馬ファジのこれからの成長が楽しみで仕方ありません。


このように、試合で起こったことを自分なりに理解するための知識をYouTubeで発信しています。しっかりマスターしていけばだれでも自分なりにゲームを読んで楽しむことはできます。初心者でもつまづかないように一生懸命工夫して作ってますので、よかったらチェンネル登録してやってくださいまし。

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