リスキリングの茶番劇
なんか今朝、Facebookを見ていたら、昨今のリスキリングブームに翻弄されている社員にイタコってしまった。(イタコる=その人の痛みが、いたこのように憑依してくる僕の必殺技)
すると、なんか怒りが湧いてきたので、普段ならあまり扱わない「リスキリング」というテーマについて、思うことを書いてみることにした。
はじめに: リスキリングとは?
リスキリングについて大企業の人事の方と話すと、残念な気持ちになる。
そもそも、リスキリングとは?
まあつまりは、AIやDX時代だの言われている中で、これまでの仕事のやり方やスキルでは通用しないから、「社員を新しい時代に合わせたスキル・知識をつけよう!もはやこれは国家の問題だ!このままでは国力が低下する!国家が強力にバックアップするよ!」というものだ。
茶番劇なリスキリングの実態
じゃあ、何が残念か?というと…
…という訳だ。実態は、本質は全く進んでいかない。
…という感じではないだろうか?
そして、前者のDXやAIを学んで精通した人材は…
…と、胸に期待を膨らませて、職場に戻った時、その現実を目の当たりにするのではないだろうか?
そして、その方々は、会社に幻滅して、「どうせうちの会社は」「またこのパターンか」と、エンゲージメントが低下する。時には、他の職場が青く見えて退職していく。
一昔前、海外MBA留学や海外駐在でも起きた気がする。
欧米のMBA留学や海外駐在して帰ってきたら、出先で得た知見・経験が全く本社の職場で受け入れてもらえず、げんなりして、もっと革新的な職場を求めて退職していく。
やるだけ、ドツボにハマっていく。負のスパイラルが止まらない。
でもね、人事も馬鹿じゃない。こういうことが起きるってきっとわかっている。今のやり方がきっと正しいとは思っていないのさ。
(まあたまに、「年間予算数千万円使っているんですよ!」とドヤ顔でいう執行役員人事部長もいますが…)
「個人レベル」のリスキリングを成功させるには
リスキリングを考える時、個人レベルでみるのと、組織レベルでみるのとで焦点が変わってくる。
まず個人レベルでのリスキリングを具に見ると、成功させるための実質的な鍵は直属の管理職になる。
前提:管理職が自らの役割認識が重要
まず管理職が、大前提として…
…が揃っている必要がある。これは管理職として役割認識をその方がどれだけ強く握って果たしているのかの話だと思う。
部下のこれまでへの活動や功績に、120%感謝と敬意表明
その上で、部下にリスキリングに取り組んでもらえるよう、動機形成をするスキルが必要だと思う。
最初は、これまでのスキル・知識・やり方の認知と敬意と感謝の表明する。
これを心の底から好奇心を持って聞いて、本気で言えるかがポイント。その心づもりがないのであれば、絶対バレる。
過去に別れを告げ、未来を共に描く
その上で、自分自身が管理職としてどんな未来を描いているのかを語る。
その上で、部下のペースで過去に別れを告げていく準備を整えていく必要がある。
…など、自らの意思で未来を描き、引き連れていくもの、置いていくものの整理をすると共に、新たに迎え入れたいものを意識させてみる。
ここまではいわゆるコーチング。本当のコーチングを学んだり、ナチュラルボーンな感じの方であれば、何の新しさもないと思う。こんな会話しないよ、できないよ、と言うのであれば、学ぶ必要があるかも。
そんな部下の意識状態を作った上で、新しいリスキリングの提案をしてみる。という感じ。
「時代は変わった。あなたが変われ。」じゃ、通用しないよね?
馬鹿丁寧な印象を持っただろうか?
でも、本人達からしたら、これまでの会社のやり方を押し付け、スキル、知識を学ばされた。でも、今度は会社都合で、そのスキルじゃない!こっちを学べ!と上司や会社が言っている訳だ。
…とある種の裏切りに写っているかもしれない。
そんな自分の頭で考えもせずに、ただ骨抜きにされて会社のいいなりになっていた本人も、ぶっちゃけどうかと思う僕もいるが、日本の教育制度で育った人が、自分の考えや意思を持たないように教育されている以上、正直責められない。なんせ僕も自分の考えや意志を持てずに、かつて会社に翻弄された立場だからだ。
少なくとも…
…では、部下のリスキリングなんて前に進まないだろうなと僕は思う。
しかし正直言うと、ここまでできる管理職はとても稀有な存在だと思う。
多くの管理職は…
…という感じではないだろうか?
そこで今度は組織レベルのリスキリングの話になる。
「組織レベル」のリスキリングを成功させるには
はっきり言えば、経営陣がどれほどリスキリングに本気なんだろうか?
こういうことにまともに答えられる経営陣は多くない。ここまで突っ込んで話をすると、お茶を濁すか、「失礼だろ!」とブチキレるか。
どこか「金を使っている=本気」と勘違いしてように見える。
組織をリスキリングするということは、「リスキルされた社員のリソースを、経営陣がどう経営に活用していくのか?」という視点が必要になる。それは、経営陣「も」変わる必要性があるということ。でも、どうも変わろうとしている節が僕には感じられない。
いまだにメールが嫌とか、商品営業とソリューション営業の違いを説明できないとか、良いモノ作れば勝手に売れると思い込んでいるとか、オンラインミーティングが嫌とか、チャットツールが苦手とか、報告書は紙でしてとか、パソコンの画面で管理会計見てもわからないとか、そういう寝ぼけたことを、恥ずかしがることもなく自信満々に言ってくる。いまだにWindows95以前の世界にいる。(失われた30年とは、今の経営陣が成長しなかった30年のことだ…と言いたい)
「定年退職まで後5年くらいだからね…自分は逃げれそうだし」という、声にならない声が聞こえてきそうだ。犠牲になるのは、今の若手や中堅だ。
結局、経営陣のリスキリングへの本気の意識なんて、これっぽちも伝わってこない。
社員のリスキリングを進めたいのであれば…
まずは経営陣が…
その次は旗振りをする人事部が…
その次は管理職が…
リスキリングに取り組むべきだと思う。
リスキリングが進んでいる会社の経営陣
その点で、僕の知っている某大企業の社長は素晴らしい。
社内SNSで、自分が何を学んだのか、そこから何を感じ、どんな考え方を捨てようかと悪戦苦闘しているのか、今後どう経営に反映していきたいと考えているのかを、日頃からつぶやいている。
その会社は、社員が一人当たり年間平均11日間も自主的な新たな最先端の知識・スキルを学ぶようになったそうだ。(一般的な企業だと、平均1日程度というのが僕の雑感だ。)
まずは、経営陣が背中で示そうよ。
DX化と言う文脈で、富士通の取り組みも素晴らしい。
「経営陣がまず変わる」を宣言して取り組んだ事例はこちら。
「社内ITの皆さん、あなた方は大事なミッションを持ってる。ここはみなさんの仕事だよ。僕詳しいことよくわからないから、後は、よろしく!」みたいなレベルじゃない。
ただね、この手のこと。多くの人事部は気づいているんだけど、「そんなこと恐れ多くて言えません」というのが根っこにある声のような気もする。
だからこそ、経営陣自らがそこに気づいていく、謙虚さやアウェアネスが欲しいんだよね。
リスキリングには、アンラーニングが伴う
そしてリスキリングには、大概アンラーニングが伴う。
リスキリングは、新たな知識・スキルを学ぶ話だ。
アンラーニングは、過去の価値観・文化・考え方を捨て、新しい価値観・文化・考え方を取り入れると言う、意識を変える話だ。
もう大変大変。これを全社にやろうとしたら大変。
めちゃくちゃお金と時間と労力が必要になる。
その中で、最もコスパが高くて、成果が出やすいのが経営陣。
経営陣にアプローチせずに他の層に取り組むのは、お金をドブに捨てるような行為。
経営陣の腹がすわってない、中途半端な取り組みなんてやめてしまえ。
俺から取り上げた所得税、有効な使い方を知らない人たちに使わないでくれ!
最後に: 家族3人でオーストラリアにいって、コアラを抱っこするために、仕事募集中!
リスキリングに伴うアンラーニング(つまりは、組織の文化の変容)を促したいのであれば、こんな文化の変え方の方法もあるよ。
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