見出し画像

育児で自分の有休が消えていく噺


男は、呆然と立ち、カレンダーを見つめながら、思った。

「今の職場に勤めて、今日で半年。有休が10日間発生する日だ。しっかり8割以上勤務しているから、この10日間の有休はありがたい。有休をとりやすい職場でもあるし、少しだけでも、リフレッシュのために使おう。」

勤務開始から半年が経つ、当時の私はそんな風に思っていた。有休、有給休暇のことだ。

半年が経ち、有休の権利が発生して、いつでも休むことが可能になった。

社会保険労務士の資格勉強をしている私は、有給休暇が発生する条件を知っていたため、1年の予定も立てやすかった。家族と遊びに行ける。子どもの行事にも参加できる。と。

しかし、状況は一変した。

「私の有休がなくなったから、次、子どもの体調が悪い時は休んでね。」

妻からの一言がすべてのきっかけだった。

風邪やRSウイルスの流行に伴い、子どもが保育所で体調を崩すようになってきた。そのため、妻に看病を依頼していたのだが、その妻の有休休暇がなくなってしまった。次に休む時は欠勤になってしまう。

すると、給料が減ってしまう。それは、我が家にとって、大きな出来事だった。

次は、私の番だ。

「10日もあるし、大丈夫だろう。」

そんな考えを持つ私は甘かった。みるみると、有給休暇の日数が溶けていく。

看病のため休むと、驚くほど、10日間はなくなっていく。

もちろん、優先すべきは、子どもの体調。これに勝るものはない。


この男のような体験をされた人は多くいるだろう。
自分の休みが子どもの体調不良でなくなっていくことは、どうだろうか?

子育て世代は、思うこと、感じることはないのだろうか?

子育てばかりでは、親の身がもたない。時には休みも必要。

親のバランスが崩れれば、離婚や子どもの成長に悪影響を及ぼしてしまう。困ったものだ。

そこで、ドイツのことを思い出します。

ドイツで、何か、良いヒントを持っていないだろうか?良い対応方法があるのではないだろうか?と。

自身の留学経験からそのように考えることが多くなりす。

ドイツも同じような悩みを抱え、問題を解決すべく、色々な方法を模索していることが、次で分かります。

「有給休暇」と「子どもの看病」は別々


※ここからの内容は、自分が実際に遭遇していない内容になります。

断片的に知識を調べて、補っている内容です。

内容に間違いや勘違いである可能性があります。

そのため、読者の人は、「ドイツにはこんな制度やこんな子育て環境なんだ」くらいで読んでいただけると幸いです。



ドイツでも子育て世代の「仕事」と「育児」のバランスについては問題を抱えています。

しかし、そこはドイツ。行動が早く改善に向ける方針を持っています。

先に言っておきますと、ドイツでは、

自分の病気や子どもの病気で有休休暇が減ることはありません。

なぜなら、「有給休暇」と「病気休暇」は別々にしています。

まず、はじめに、大人の体調不良の時の話をします。子どもの看病については、後述します。

自分が風邪などで体調を崩し、仕事を休まないといけない状況になるとその分補償が出ます。

ドイツ語で「病気休暇(Lohn­fortzahlung im Krank­heits­fall)」といい

「傷病手当(Krankengeld)」として給与の70%を補償してくれます。

(日本にも似たような補償である「傷病手当金」は6割補償。)

有休を7日間取得してバカンスに行き、次の日体調を崩すと病気休暇で休む。そんな使い方をしている人もいるようです。(日本では考えられない)

さらに病気の内容も会社に説明する義務はない。といいます。病気でもプライバシーに関わることだから医師の判断に基づき、休みの証明書が発行されるからです。(なんと素晴らしい)

もちろん、ただで病気休暇をとれるわけではありません。

3日以上の休暇を取る場合は医師の診断書が必要になります。これは、事前に提出が必要です。

「Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung(就労不能証明書)」というそうです。

(自分は実際に診断書をもらうほど体調を崩したことがない。)

子どもの看病にも、似たような手当があります。

こちらは、「子ども看護手当(Kinderkrankengeld)」といいますが、給料の7割を補償。

年間、30日分。1人親なら60日もらえるようです。

日本にも「子の看護休暇」がありますが、使ったことがある人はでどれだけいるでしょうか?

1人なら5日、2人なら10日。有給であるかどうかは企業によって判断されます。

(ドイツより休暇日数は少ないし、賃金が発生しない場合も。)

以下の表は、厚生労働省が出した子どもの体調不良時の休暇の傾向について示しています。

この表から分かるのは、子の看護休暇より有給休暇を使用して休むことが多い。ということ。

さらに、男性より女性の方が休みをとり、自分の有給休暇を使用していることがわかります。
第1部 少子化対策の現状(第2章 第4節 2

まとめ


ドイツの制度が、素晴らしいのは、有給休暇とは、別に休む制度があること。

そのため、子どもや自分の病気で休んでも、自分の有給休暇は減らない。ということ。

以上を分かったもらえたでしょうか?

読者の皆様には、とても残念な気分にして申し訳ありません。

日本は子育て後進国なのかもしれません。

しかし、法律で制度として決められている以上、これを活用するしかない。

知らなかった人は、総務課、もしくは、事務スタッフに聞いてみることが良いかもしれません。

もしくは、就業規則を確認してみてください。

行動するかどうかはあなた次第。

ちなみ、子どもの体調不良だった時に、上司に「子の看護休暇」を申請してみましたが、申請拒否され、有休を消費する形になってしまいました。難しいですね。

日本の子育て世代をはじめ、この情報を活かし、自分の負担を減らすことで生活を豊かにできるように

なることを祈っています。

この情報が誰かの役に立てると幸いです。

この記事が参加している募集

スキしてみて

労働の効率性やメンタリティ、外国の多様な働き方を参考に、実体験も含めて書いています。サポートしてもらえると幸いです😉