蝉の声 吾は無言で 道歩む

画像1 朝起きるともう32度になっている。日課の散歩にも及び腰になるほどだが、日陰を選んで少しだけ歩こうか。戸を開けると一斉に覆い被さる蝉の声。圧倒された。蝉は一生の大半を土の中ですごし、子孫を残すための変態を夏にするが、羽を持つライフサイクルは短い。朝からの大合唱は、命の使命を全うしようとする営みだ。命の最終章なのだ。私は建物の影、木の影を誰に語りかけることなく渡り歩いた。蝉の声を浴びながら。そして、早々に散歩をきりあげクーラーの部屋に帰った。

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