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『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 

原題「Knives Out」

◆あらすじ◆
世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。


上手いタイトルだなぁ・・・。

『knives out』って「複数のナイフが出た状態」って意味でもう象徴の様にあの居間?にある円形状のナイフの集合体が関係してるって・・・わざとらしささえ感じてしまったよ。で、いつ出るのか?いつ出すのか?みたいな期待が最後の最後まで続いたねぇ・・・で、コントかよっのツッコミ入れさせていただきました。終了~~・・・・ってまだだよっ!!

で、このタイトルにはもう少し深い意味があるよね。
それは「The knives are out」ってすると誰かが誰かに対して不快感を持ったり、誰かを傷つけようとしたりする時に使う言い回しだったりするみたいだからこのタイトル自体で【殺人事件】だってゆう風にも取れるし、観終わってみればこの一家がお互いを蹴落とそうとしてる状態や家族同然だって散々言ってたハーランの看護師に対する扱いを示してるんだね。

作品としては個性的な登場人物とテンポ良いカメラワークで最後までテンション落ちずに鑑賞。群像ミステリーとして小気味良く巧みに練られた良作でエンタメとしても上質だけどその裏に米国が抱えた移民問題や差別がチョイと見え隠れするのがこの作品の本質でもあるのかも。
本国アメリカで絶賛されたらしいけどそういう部分も理由の一つかなぁ?なんて思ったりした。

大富豪ならではの家族内紛争の激しさやバカさ加減にも脚本の上手さが活きる。
遺産の行方とかランサム(クリス・エヴァンス)のイイ人ぶりっこの裏側とかさ、チョイチョイ先読み出来る部分もあるんだけどそれでも最終的に「ザマ~見ろ!!」って気分で終われるのがとてもヨロシカッタと個人的には思いまするよ。

あのラストシークエンスは最高に好きだわ!
マルタの「悪いようにはしないわよ」的な態度がイカシテル!ww

人間の表裏を良くも悪くも巧みに描いてたと思うよ。
人間はみんなウラオモテがあるんだって事だけど大抵は自分が有利に立ってるウチは下に見てる者への親切心を振り翳すもんよ。今作で言えば貧しい移民のマルタ(一家)を家族同然に思い遣って助けてるって言う偽善が財産分与と言う最高に解り易いツールで暴かれる。
で、一気に立場逆転するわけだけど、ここで気を付けなくてはならないのはマルタはこのアホ一家と同じ次元に陥ってはイケナイと言う事。

自分の身の丈は見失わずにあの財産を操って行ってほしいものです。

しかしあの構図は抜群のセンス!

(この目線の先…)


ナイフを突きつけ合った傲慢な家族の落ちぶれた絵図・・・フンっ!


【My house, My rules, My coffee】
 "私の家、私のルール、私のコーヒー"


なかなかな演出だよ!

この何処にでも売ってるマグカップがこんな皮肉になるなんて・・・この伏線回収は偶然の産物だったみたいだけどお見事!


しかし役者のメンツが素晴らしい!
マイケル・シャノン、トニ・コレット、クリストファー・プラマ―、ダニエル・クレイグ・・・
好きな俳優ばっかりってどうよ!!(๑˙❥˙๑)

その中で唯一生意気だけどお子ちゃまなジェイデン・マーテル君が結構弄られキャラでオモロかった。

マルタ役のアナ・デ・アルマスは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でもダニエル・クレイグと共演。もう直ぐで楽しみ~!

どの俳優も見事に演じ切っててさすがだ。


余談だがライアン・ジョンソン監督作『BRICK』と『LOOPER』に出演したジョセフ・ゴードン・レヴィットが声だけのカメオ出演してるそうです。どうやらそのシーンと言うのが冒頭のマルタの家で彼女の妹が犯罪もののドラマを見ててその中で「You left him bleeding like a stuck pig!」と言っているのがジョセフだそうで・・・まぁ、気付かないけどねww

そんなこんなで色々こまごま中身の濃いミステリーでしたよん。

まさかダニエルさん、007引退後こちらでシリーズ化とかじゃないですよね?
スパイの後はちょっとお茶目な探偵さん?いや、イケてるとは思うけどね。でも「ツィードジャケット野郎は信用しない!」とか言われちゃうよ~~~(笑)


2020/02/03



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