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映画感想『ナイル殺人事件』

原題「DEATH ON THE NILE」

◆あらすじ◆
大富豪の娘リネット・リッジウェイは、親友のジャクリーンから彼女の婚約者サイモン・ドイルを横取りする形で結婚した。そんなリネットとサイモンは新婚旅行でエジプトを訪れ、エルキュール・ポワロや友人ら招待客を乗せた貸し切りの豪華客船でナイル川をめぐるクルーズへと繰り出す。ところが、その中にはリネットへの怒りが収まらないジャクリーンの姿も。やがて船内で殺人が起こり、乗客の誰もが動機を持ちうる難解な事件の解明に乗り出したポワロだったが…。

前作もそうだったが「面白いか?」と問われればミステリーとしては然程盛り上がらなかった。

どうやら愛憎劇の中心人物三人が登場して直ぐに何となく判った感じもあるしなぁ・・・。
全体的に映像の濃さに比べて中身が濃くない印象だなぁ。
なんて言うか、どの人にも気持ちを寄せられなかった。


ただ、とにかく映像が美しい!これだけでも観た甲斐があったと思えるくらいに。
スクリーンに映し出されるエジプトの風景、遺跡、建造物・・・自然が齎す色彩、陰影など細部に渡って監督の美意識を感じる。

そしてその壮大な造形美の中に展開される人間の愛憎劇。
それは余りにも軽薄で強欲な人間の愚かさの露見でしかない。

ポワロの厳しい問い詰めはそんな愚かさへの戒めであり、理解ある言葉は哀しみを強いられた人達が迷い無く生きられる道筋として描かれてる。

憎むのではなく愛し愛され情熱を注ぐ事が人の根源だと語っている様だ。

そのポワロの立派過ぎる髭に隠された過去について描かれている点も今作の【愛情ゆえの愚かさと哀しみ】と言うテーマに沿った物語になっているのが伏線でしょうか?

それにしてもキャスティングが上手いなぁ。
ソフィー・オコネドーのブルース♪がカッコイイしガル・ガドットは美し過ぎた❤︎

そして二人の女を引き付ける"たらし"ぶりが堪らんアーミー・ハマーもホントこの濃い映像の中に映える。

そしてしっかり脇を固めるベテラン勢起用で、或る意味個性のぶつかり合いでこのミステリーに魅力を加えたかったんだろうな。

画的には良かった。

でも物語に対する演出は今一つだったな・・・。
これ『オリエント急行』の時も同じ印象だったからこの人のこのシリーズに対する作風かアガサ・クリスティそのものが私に合わないって事で承知した!

2022/02/27



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