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『ロケットマン』🚀 

原題「Rocketman」

◆あらすじ◆
ロンドン郊外で不仲な両親のもとに生まれ、愛のない家庭に育ったエルトン・ジョン。冴えない日々を送る中、音楽的な才能を見出されて国立音楽院に入学する。やがてロック音楽に傾倒した彼は、レコード会社の公募で出会った作詞家とコンビを組み、一気にスターダムへと駆け上がっていく。


ミュージカルとしての完成度が素晴らしい!


とにかくタロン・エジャートンの演技と歌唱の素晴らしさに圧倒される!!

だが、個人的に一番の目的だった《エルトンの長年作詞を担当した相棒バーニー》を演じるジェイミー・ベルが本当に良かったんでこの二人の惹かれ合う強い結びつきによって生み出された数々の名曲で興奮と高揚感に包まれっぱなしだった。
『YOUR SONG』が誕生する時のジェイミーの表情なんて【最高!】以外の言葉が見つからんわ!!

(しかしこの表情でエルトンにそういう意味の愛が無いとは言わせねぇって感じなんですけどねww)

それと二人の『Goodbye Yellow Brick Road』は聴きごたえ満点だったよ!!

今でこそ【サー】の付くエルトンだが彼の若い時代の愛を欲した苦悩がひしひしと伝わってくる。

最近では記憶に新しいQueenを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』が同じデクスター・フレッチャーの編集だが・・・まあ、比べられるよね。

でも全っ然違うって言うのがアタシの感想。

いや、『ボヘミアン・ラプソディ』は或る意味個人的に【反則な映画】だと思ってるわけ、もちろんイイ意味でね。

だってあのエンディングの【ライブエイド】はあれ以上のライブパフォーマンスでの盛り上がりは無理だもん。もう今後描きようがないもん!あれ見せられたらもうこの手のエンディング使えないわな・・・って誰もが思うようなシーンだった。
だからそこに照準を合わせる描き方だし演出だった。

でも今作はもうエルトンの深く深く内面を抉る様に作られてて、それもエルトンとバーニーが或る意味二人の愛情をもって生み出して来た名曲の数々で完璧なミュージカルとして描かれてるのが凄いんだよな。

冒頭はエルトンが今の自分を捨てに掛かるシーンから始まるんだけどそこに至るまでの半生を前後編で描く感じに構成されてる。

先ずは生い立ち的な部分から入って子供の頃の生活が映されるんだけど・・・
もう、ここからかなり胸が痛かった。
あんなに子供に愛情を示さない父親って居るの?ってくらいでちょっと憤りの方が強くなっちゃって泣くに泣けない感じ?!
健気に家族の愛情を受けようと努める幼少期のエルトンが不憫で仕方なかった。
でも彼には物凄い才能がある事が発見される。聞いた音楽を直ぐにピアノで弾けてしまうと言う・・・うぅそんな才能欲しいような欲しくないような。
ピアノ習ってたけど練習嫌いで中途半端に投げ出した身としてはちょっとだけ羨ましいなんて思ったけどその後の彼の道のりを思うとそれもなぁ・・・なのだ。

でも、その後生涯エルトンに詩の提供をする相棒バーニー・トーピンとの出会いがあってエルトンがトップへ躍り出る道程がまた見応えある。

後半はその才能からヒットが次々に生まれミリオンシンガーに躍り出たエルトンの御多分に漏れない酒、ドラッグ、セックスまみれの生活が描かれる。どれも依存症に陥るほど乱れに乱れるのだが実はエルトンは早い段階でゲイだとカミングアウトしてバーニーに想いを寄せてたんだな。始めて自分の【愛情】を受け入れて貰えるのでは?って思ってたんだろう。
でもバーニーは無類の女好きで「僕の気持ちはそういうのとは違う愛情だ」と示す。
この瞬間のシーンがまた切なくてエルトンのこれまた内なる想いの表情をタロン・エジャートンがこれ以上無いって位の演技で魅せてくれる。
でもね、エルトンのバーニーへの愛情は多分密かにずっと続いてたんじゃないかな?って思ったりもしちゃうわけ。あのキス寸前での《お断り》シーンはエルトンの人生を或る意味別の場所(依存症)へ引っ張ってしまったのかもしれないな・・・。


誰もが自分のマイノリティな性を隠す時代に隠さずカムアウトする彼の奔放な精神と言うか誰からも愛して貰えない自分のアイデンティティだけはしっかり示したかったのかもしれない。
でも結局母親から「隠しておいて」と懇願され、恋愛のパートナーとして受け入れたジョン・リードからはやっぱり本当の意味での愛は与えて貰えなかった。

言い方は悪いけど「なんて愛に飢えた半生だったんだろう」と重苦しい気持ちが胸に去来した。

でもこの子供の頃の痛烈なまでに愛情を欲する姿にその後それを完全に諦めなきゃならないシーンに繋がる演出がまた本当に凄いって思った。
あのシーンはその場の空気の重さとかエルトンの心の震えとか音が聞こえるんじゃないかと思う程の感情の渦を感じてやっぱりタロン君の俳優としてのポテンシャルの凄さを感じてしまった。

このシーンで前後編構成の繋がりが見えるよね。
ホント上手い!デクスター・フレッチャーの演出、見事だった。


書きたい事いっぱいあるんだけど取り敢えず今書ける分で挙げちゃう!
書き足しするかもしれまっせ〜んよ。  


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