『ペイン・アンド・グローリー』
原題「西Dolor y gloria／英Pain and Glory」
◆あらすじ◆
世界的映画監督のサルバドールは肉体的な痛みに苦しめられ、いまや精神的にも気力を失い引退同然の生活を送っていた。そんなある日、自身の昔の作品が再上映されることに。しかし、それは彼の苦い記憶を呼び起こす。当時、ヘロインを使用していた主演俳優のアルベルトと激しい口論になり、以来２人は絶縁状態になってしまっていた。和解を願い、アルベルトと30数年ぶりの再会を果たすサルバドールだったが…。
ずっとホロホロしちゃった。
2005年公開の『バッド・エデュケーション』がアルモドバル監督の半自伝作品て言われてたけど今作はこの歳だから描けた作品。
で、この歳に観ないと駄目な作品。
若い頃気にしてた事なんてこの歳になったらどうでもイイ事だったって思うケース多々ある。この作品も自分の過去を振り返りながらそれが現在に繋がる展開なんだけど、もうそれが堪んなくこっちの心身にも浸透してくる。
アントニオ・バンデラスが
『もう、いやっ！』って言うほど素晴らしい。
初老のお色気ムンムンしてる❤︎
アルモドバル作品、もう8本目だってさ。
監督の分身みたいな役を見事に演じ切っててホントにホントに観てて感情揺さぶられた。
これはカンヌ男優賞獲るわな！って思わされた。でもこの賞が彼の40年の俳優生活で初の大きな賞だってんだから・・・なんか嬉しいやら切ないやらでこの役と被っちゃう。
A.バンデラスは凄く好きな俳優の1人なんだけどデビュー作の同監督『セクシリア』で初めて見た時から注目しててやっぱり『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が印象的だったかな。正直あの作品でのアーマンドの雰囲気はバンデラスじゃなきゃ出せなかったって思ってる。それは凄く主張するでもなくでもきちんとアーマンドと言う重要なポジションの役割を果たしてる3番目のキャラクターとして凄くバランスが良かった。彼は『デスペラード』みたいな作品で名を挙げたからアクション俳優のイメージが結構あるかもしれないがそうじゃなくてかなり繊細な役こそ似合ってると思う。『フィラデルフィア』のミゲルとかね。
あの時はまだそれほど売れて無くて、でも凄く繊細で微妙な役柄を上手く演じてて印象に残ってたんだよね。
世間ではきっと「可愛らしい巻き毛の男の子が出て来たなぁ」・・・って感じだった記憶ある。
それから彼の作品色々観たけど彼が演じると何処か切なさがあってそれが堪らないんだなぁ。だからファンやめられないのよね。
それで今作だってんだから・・・もうホントマジ素敵❤︎
今作は、身体の不調から気力喪失な主人公である映画監督の回顧と再生的な話なんだけど「アルモドバルだなぁ」なのが凄く淡々とした作風なのに何処かザックリ感があって緻密さより感性でグイグイ来る感じ堪らないんだよね。
いや、もちろん登場人物の背景も多くを語らない中にきちんと描かれてて彼の持つ独特の世界観にマーブルの様に溶け込んで・・・そう、マーブル＝ラテン語で【輝く石】って意味だけどそんな風に登場人物がそれぞれ魅力的で(バンデラスが或る記事で語ってたけど)「自分の過去、場所、映画、そして愛した人々との和解が描かれている。」この作品はそこに苦しみや痛みを伴う事を真正面から描いててそんな主人公や彼を取り巻く友人や元恋人との遣り取りに共感が生まれるんだよな。
うん、同年代としてホントに見応えのある一作だった。
だからこの作品は人間の【サガ】についての物語と言っても過言じゃ無い。
何もかも好き過ぎてラストのエピソードには頭爆発した！
この辺の監督の感性も凄く好き。
使用された調度品は監督の私物も多いって話で・・・まぁお洒落さね。
それでいて人間臭くて苦しみも悲しみも誇りも栄光も自信も喪失もひっくるめた【人の美】が描かれてる感・・・魂抜かれるわっ！！ｗｗ
人間の美しさって見かけじゃないでしょ？！
どんなに着飾っても心の中は顔や態度に出るよ。
そんなの直ぐに見抜かれる。
本質的に美しい人は人の目なんて気にせずに行動できる人。
この作品のタイトル通り『痛みと栄光』
痛みを知っている人だから誇りを持てる。
苦しみを味わったからより栄光の素晴らしさが解る。
挫折を経験したから成功の味わいがより沁みる。
ずっとドラッグには手を出さなかった主人公がどうにも出来ない身体の痛みから逃れる為にクスリに手をだすシーンも描かれてるが誰にでもそういう瞬間が有り得ると言う事。中毒や依存症は自分が問題を抱え弱っている時に訪れる。
でもこの作品はそこを描いているのではなく如何にして自分を取り戻すか？と言う問いかけになってるんだと思う。
必ず観ててくれる人、想ってくれる人が居るってね。
はぁぁ〜良い作品だったなぁ。
アルモドバルの個性にどっぷり浸れる。
&イイ男大集合なの(笑)
みんなゲイだけどね！！( ✧Д✧) ｷﾗｰﾝ
ぎゃー❣️
2020/06/25
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