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『ジュディ 虹の彼方に』

原題「Judy」

◆あらすじ◆
1968年。元ハリウッド・スター、ジュディ・ガーランドは、若いころからの薬漬けがたたって心身ともに消耗していた。映画出演のオファーもなく、巡業ショーで生計を立てるも、膨らんでいく借金。愛する子供たちと一緒に暮らすこともままならず、やむなく彼らを元夫に預けることにする。


ショービジネスの【商品】として疑問を持ちながらも敷かれたレールの上を歩まざるを得なかった彼女の人生の光と闇。

正直あんな子供の頃から夜中まで働かせる為に覚醒剤を与えるなんて世界は信じられないんだけど、長年の薬漬けでボロボロの彼女が亡くなったのが47歳。でも晩年の彼女を良く知らなかったのでこの作品に出て来るレネー・ゼルウィガー演じるジュディがまるでおばあちゃんの様だったのが衝撃。後から実際の写真を見てみたらとても47歳には見えなかった。5番目の夫ミッキーとの2ショットはまるで親子の様で映画はとても忠実だったんだなと思う次第。

今作はもちろん彼女の壮絶な人生を描いているんだが個人的にはその生き方に共感するか否かよりその生き方しか出来ない彼女に周りがどう接するかが興味深かった。

実際、精神不安定な状態でステージに来るのか来ないのか?みたいな状況では呆れられてチャンチャンで終了~~~だ。
でも倫敦公演でのスタッフ達は何処かで「もぉぉ・・・」と思っていただろうが親身に接する事で最終的には自分達もジュディと共に感動のステージを体験出来たんだと思う。

【情けは人の為ならず】
やっぱりこれなんだよね。

人は独りで生きてるわけでは無い。
「思い通りにいかない事は数多あるがコツコツ自分の道を歩もう」と歌う彼女の声は胸に染みたよね。


今作がとても上手いなぁと思ったのはあのゲイカップルの描き方がとってもアクセントになってたって事!!

ジュディはゲイ・アイコンで有名だけどそこを説明じみた演出無しで見事に魅せてくれたなぁ。
『オズの魔法使い』でコンプレックスを抱えたお供3人やマイノリティへの理解の点でもゲイ・コミュニティで想いを重ねた人が多かったんだろう。

この事実を知って観るのと知らずに観るのじゃ、あのカップルの演出の映え方が違うと思うわけ。
もう最初に二人と出会ってアパートに着いて行って・・・の一連のシークエンスはマジ涙だったよ。
でも、なんだかそこで泣いてんのアタシだけみたいで内心「えぇぇ~~~!!!ここ絶対に泣くよねぇ。泣くでしょ?」って叫んだわ!!!
で、そのシーンは完全にこの映画の肝だったわけでいやぁあの感動のラストがこの二人によって齎されるのかぁぁぁあぁっぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!!だわよ!!!

もう号泣(T_T)

この映画に関して言えば、どんなに人生が惨酷で壮絶でもこんな風に想いを寄せてくれる人達が居た事に彼女が気付いていたならそれはそれで人生の幸せな一部だったよねって・・・。


人の人生だけは他人がとやかく言える筋合いのものじゃないから良く解らないけど、養育の事とか恋愛、結婚の事とかね誰か心の拠り所が必要だったんだろうと思ったりするわけ。
でも彼女はそれを自分から放棄する形になってしまう不幸を背負わされてしまったんだな・・・って思わなくもない。

結局は「金になれば人間と言えども商品なんだから使い捨てればイイ」みたいなアメリカのショービジネス界に物申したい気持ちにはさせられた。
やっぱり意思をしっかり持たなくちゃだめだけど持てない内に奴隷化するクスリ漬け手法に嫌気がさす。

女性として母としての人生を楽しんでみたかっただろうな・・・

I'm Sorry.


劇中の衣装はどれも素敵だった。当時のファッションは大好きさ(๑˙❥˙๑)

特にジェシー・バックリーの衣装が好きだった。


2020/03/09

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