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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』 

原題「The Death & Life of John F. Donovan」

◆あらすじ◆
アメリカの人気俳優ジョン・F・ドノヴァンがこの世を去ってから10年。1人の新人俳優ルバートが、少年時代に交わしていたドノヴァンとの文通を公開する。やがてルバートは、そのときの記憶を回想してドノヴァンの死の真相を明かしていく。


この監督の作品はどうも相性が悪いと言うかいつもあまり惹かれないので観る気が無かったんだが、ドラン監督のインタヴューで「今作の主人公ジョンはリバー・フェニックスとヒース・レッジャーがモデルだ」みたいな事を言っていて「えっ?マジ??そんな事言われちゃあ観ないわけにいかないだろ!」って事で観に行ったわけだ。

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が、やっぱこの監督とは相性が悪いのが改めて証明されただけだった。


自分の目に見えている物はほんの一部で自分は理解されないと思う自分も相手の事は何も見えていないと言ういつもながらに負の要素が充満してた。

今作も一貫して母と子をテーマに撮って来たドラン監督らしい【親子の溝と理解】を描いた内容だ。三元中継の様な展開は決して嫌いじゃ無い、むしろ好きなパターンだ・・・が、物凄く好きな俳優を若くして失うと言うルパートと同じ様な気持ちを味わった者としては導き出された答えに全く以て新しさは無く、【OVERDOSE】と言う言葉をどう解釈するか?あの時ヒース・レッジャーが亡くなった時の報道を逐一見逃さない聞き逃さない様にして事の真相を知ろうとした者としては何か気持ちの深い所にアプローチして来るものが描かれているのでは?と言う期待があった。しかしそれは無理な話で何より監督とは年齢の差があり過ぎる。【睡眠導入剤と風邪薬を同時服用し過剰摂取で亡くなった】と言う現実をどう受け止めるか?と言う問いの答えがもうワタシの中で充分に精査された【信じるのみ】と言う言葉しか導き出せない事が解ってしまっている。だからこの作品は若い人が観た方がきっとココロに刺さるものがあるんではないだろうか?

この作品の中盤に差し込まれる『スタンド・バイ・ミー』やラストの『マイ・ライベート・アイダホ』のパロは監督のリバーフェニックス愛だ・・・

が、ルパートの答えを導き出したモデルは完全にヒース・レッジャーの死だ。
ジョンはルパートとの手紙に「眠れない、ずっと寝ていない・・・・・・今は眠りたい」的な事を書き示している。まるでヒースが姉のケイトと電話で話した様な出来事でビックリした。
報道はクスリでのオーバードーズに犯罪や自殺を匂わせたりする。
でも、精神的にも肉体的にもタフな仕事で私生活に影響したり体調もくずしていたら自分を【休ませたい】と思うのは当然で睡眠導入剤の使用もごもっとも・・・だ。

だから「眠りたい」と言う言葉に嘘は無くて・・・ただ彼(等)は誤ってしまっただけだ。

でもこの作品には居なくなる側にも失う側にもそういう複雑な感情や想いが正直感じられなくてがっかりだった。

アイドルスター像も都合良く作り出された感があり魅力がない。
若い頃にアイドル俳優として学園モノで売れてシリーズは続いていてこれからは大人の俳優として知名度を上げていく矢先に同性愛者だと言うスキャンダルが流れる。本人はゲイである事は隠していたがそのアイデンティティを自分の中に見出すと言う設定も今更だしその見出す過程の演出も頂けない。「コイツ、アホなのかな?」と思わず彼のお子ちゃまぶりに絶句した。

ワタシはね、この取って付けたような人物像が頂けなかった。
ジョン・F・ドノヴァンと言う若い俳優にそこまでのカリスマ性も感じないしそれ程人気が出る様な雰囲気さえも感じなかった。

ただ、この作品はメインテーマが冒頭に書いた通り【母と息子の溝と理解】なのでその部分ではかなり俳優(特に女優と子役)のチカラで見られるものにはなっている。それが無かったら目も当てられないぞ。

ジョンの母を演じたスーザン・サランドン、ルパートの母を演じたナタリー・ポートマン、ルパートの先生役アマラ・カラン(この人好きだったわ)、ジョンを突き放すマネージャーのキャシー・ベイツ、記者のタンディ・ニュートン・・・そして「そこで登場かっ!」なマイケル・ガンボン!いやぁ・・・イイ味だしてるよね、皆さん!!
特にスーザン・サランドンは久しぶりだったけどこの作品に於いての素晴らしい母親像を作り上げてた。
そしてなんだか頼りない弱々しい排他的な俳優を『ゲーム・オブ・スローンズ』から抜擢?されたキット・ハリントン(良く知らない)がコミュ障的に演じてた(この役ホント可愛そうとしか思えなかったわ)。

でも、そんな凄い俳優達を喰いに喰ってた名子役!ジェイコブ・トレンブレイ君の凄さには圧倒される!

彼を初めて見たのは『ルーム』って映画。この映画の彼が素晴らしくてその後『ワンダー 君は太陽』でトリーチャーコリンズ症候群が原因で顔の形が変形した少年と言う難役を演じててこれは本当に見逃せない一作だと思った。
いやぁそんなジェイコブ君に全て持ってかれると言う・・・
内容云々より彼の凄さが再露見した映画として記憶に残るかもな。

前にも書いたかもだけど、ドラン作品はもう観ないかもな・・・
性分が合わないんだね。


まぁ、二人の夭折した俳優への想いは理解出来た。


途中、感情が乱れに乱れ捲って支離滅裂な文章になっている事をお詫び申し上げます。

m(__)m



2020/03/20

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