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『草間彌∞INFINITY』

◆あらすじ◆
世界的に著名な前衛芸術家・草間彌生の半生を追ったドキュメンタリー。彼女の芸術への情熱を理解されなかった家庭環境、第2次世界大戦下の日本での生活、単身アメリカへ渡った以降も芸術界における人種や性の差別、自身の病など、草間彌生に降りかかるさまざまな困難。しかし、それらを乗り越えて、70年以上にわたり創作活動にすべてを捧げた彼女は、さまざまな分野で輝かしい功績を残してきた。そんな草間彌生の幼少期から、渡米後のニューヨーク時代に苦悩しながらおこなった創作活動、そしてそれらが国内外でどのように評価されたかなど、草間彌生の知られざる過去をアメリカ人女性監督、ヘザー・レンズの視点で切り取っていく。


両親から受けた強迫観念。
NYへ渡ってからの女性蔑視、反戦、米国保守時代・・・

既成概念と戦い続けた彼女の一生はやはり胸に迫るものがあった。

彼女の水玉は生命の集合体。
宇宙に溶け込む自我(細胞と捉える事も出来る)

自分が草間彌生と言う芸術家を知ったのは確か彼女が体調不良で日本に帰国した数年後、彼女の低迷期と言われている80年代初頭だったと思う。

彼女の身体とその背景に描かれたひしめき合う水玉の迫力は強烈な印象でまさしく【無限】の中に溶け込む様だった。

その後彼女が復活を果たす2000年代、六本木ヒルズの特設で開催されてた【草間彌生カフェ】なるもので流されていた映像にこれまた釘付けになり、その後はもう欲しくても手の届かない世界でも有名かつ人気のアーティストになっていった。

今ではちょっとしたグッズくらいしか買えないよぉ〜(´༎ຶД༎ຶ`) ww

今作も【彌生ちゃんTシャツ】着て行ったよ。

何故かシワシワ〜 (๑°⌓°๑)?


この映画では常に前衛で且つ未踏の芸術を打ち出した草間彌生作品の変遷も分かるので昨今の色彩豊かな作品でファンになった方にはかなり見応えがあるだろうな。

それと彼女に近しい人達が様々に語ってくれて彼女がどんな逆風や偏見、差別とどう闘って来たのかよく分かる。

まぁ、草間さんの言葉が時々聴き取りにくいのはご愛敬ww。
でも、いつも通り可愛い❤️

印象に残ったのはキャロリー・シュニーマンの「これがもしバナナだったら誰も座らなかったでしょう」と言う【ペニス椅子】へのコメント。

ペニスモチーフの作品含め、草間作品は途方も無く気が遠くなりそうなものばかりなのだが彼女は物凄い速さで描いていく。次から次へと発想が生まれて来るって言うから凄いわ。

そんな水玉集合体以外も彼女の作品は凄くて【自然と自我】を描いた【コラージュ期】は暗い色彩ながらその緻密さとモチーフに圧倒される。
今現在の作品から比べて見るとその頃の背景が強く感じられて胸が詰まる。今回の映画ではちょっと泣いてしまった。 

個人的にはNY時代の【網目】シリーズと【鏡の部屋】が好きなのだがその実物を目の当たりにすると一見平面的に感じる画風に絵具の立体に命を感じるのと彼女が常に語る【無限】を最も感じられる気がする。

この部屋は入ったらヤバイ!
まさに無限の宇宙的♾


とにかく実物は初期の小さい作品だろうがコラージュだろうがどれも凄く迫力がある!
まだ見たことないファンは是非体験して頂きたい。

今作で彼女の人生、生き方を改めて観てやはり非常に共感するものだった。

逆境に屈しない事で自分を確立させる…難しいかもしれないけど理解者は必ず居る。自殺未遂から復活し、病気(統合失調症、強迫神経症)とも向き合いながら付き合って行く。

誰の人生も平穏なだけなんて無い。
彼女だから出来たわけじゃなく誰もに備わってる能力だと思うのだ。

あっ、あと昨今の鮮やかな色彩の草間作品が好きな人が敢えて過去の暗さを含んだ作品を絶対知らなきゃダメって事はないと思うの。だから草間彌生と言う芸術家を知りたい人は観に行くといいし今の作品だけが好きな人はそれでイイと思う。


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