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この詩集は明るい

図書館で本を借りた後 少し大きめなダイソー
へ行くと 何処のダイソーにもなかった木箱
100円があった よかった 買い占めるのも何
なので一つ残して三つ買った これで暇すぎる
時に塗る白木の箱のストックが出来た かれこ
れ10ほど塗っているが 暇だから塗っているだ
けで 何かを入れる予定がない 食品対応塗料
なので小ぶりなおにぎり二個ぐらい入れて弁当
箱として使う事も出来る 歩き疲れて 公園の
ベンチで蓋をひらく なんていう事も出来る 見
られたら恥ずかしい

先日買った 望月遊馬 「焼け跡」 著者第二
詩集 派手な装丁というのは以前書いた カラ
フルに 虫 鳥 蜘蛛の巣 ムラサキツメクサ
花 プチトマト 蛇苺 薔薇などの植物 三つ編
みになった髪 コップ Tシャツとキャミソールと
タオルの洗濯物 朝日他が密接に描かれてい
る このような現代絵画を詩人の田野倉康一
氏がFBで上げていただいている様々な展覧
会の作品の写真で見た 暗い絵より私は明る
い絵の方が好きだ 題材ではなくて色遣いと
いった観点で キミドリなんかがいい 液体の
キミドリを描い

ていたり

この詩集は明るい 一読とても明るい本だとわ
かる 明るさが書かれている 焼け跡なのに
そして 何をどのように書こうとしているのか私
にはよくわからなかった 何かのイメージを描写
しているのか 想念を形にしようとしているのか
描かれている対象が何なのか 背景を読み取
ることが私には困難だった というと批判のよう
に聞こえてしまうだろうが 私はこの本が好き
だ 本のたたずまい 内容の明るさ 明るいの
はわかるが何を書いたのか どのような想念が
書かれているのかわからない ともすれば す
べてが燃えてしまった後の柱だけが残された
住居跡から 空を見上げた時の明るさなのかな
などと月並みな感想すらい抱いてしまう 実際
にそういう焼け跡を何度か見たが 匂いはとも
かく 三つ編みのような木柱のすっと立った炭
はこう言っては何だが美しかった

詩句引用

雨の中で肌とアボカドの関係だけが離せない

たかが貝のために、金を払うのがどうしようもなく面倒で、牛に助けを求めようとするけれど、牛はもうシンドバットになっている。

あなたは耳のない女子「明け方よ」まつ毛がながい。

明るい言葉 語彙 そのようなものだけで構築
されたシュルレアリスムなのかもしれないとも
思った あるいは明るい中原昌也 あらゆるとこ
ろに花束が のあの何も書かれていない感じ
私にはそういった連想が浮かぶ本だった 作品
を盛り上げ 構成し 終了させることにこだわら
無い感じ あなた あの子 という呼びかけや
語っているはずなのに語っていないように読め
る言葉の虚ろ そういったことが私には想起さ
れたが それをこの本の最大の美点と独創性
とあくまで私は感じ取った ともすれば私は何
も読めていないのかもしれない しかし それを
敢えて言葉にすることも意味のない事ともある
事とも思わない 欲求に従って感想を述べる
あくまで欲求があるから書いているのでその
意味にまで意識がいかない だが 少なくとも
批判としての感想を書いているわけではない

この本は今から10年前に書かれている 私の
見知った90年代頃の現代詩とはまったく様相
が異なっている 今 それで ここ10年くらい
に書かれた現代詩の様子をたどってみている
という訳なのだけれど 語りの多面化 長文化
散文化 物語化 と言ったことは何度か繰り返
し感想として述べた気がする 自由詩がさらに
自由になっている ハイパー自由詩といったと
ころか 自由に囚われすぎて余計不自由にな
ってしまっているきらいも感じられるが 文学と
いうところからはなかなか自由になれていない
のではないか 文学から自由になった文学と
しての詩 というのは一体どんなものだろう そ
のような夢想を有り余る時間の中で 箱に塗料
を息をつめて塗りながら 頭のどこかではいつも
縦横にしているのだけれど 

この後 せっかく塗り終えた塗装がおおかた
フィルムとなって剥がれるという惨事に見舞わ
れ激しい脱力感がいまだつづいている

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