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トーホグ在住の男。マイルス・デイヴィス、フランク・ザッパ、ソフト・マシーン、ボブ・ディ…

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トーホグ在住の男。マイルス・デイヴィス、フランク・ザッパ、ソフト・マシーン、ボブ・ディラン、ムーンライダーズ、松本隆、酒全般、阪神タイガースを愛す。

最近の記事

南佳孝 松本隆を歌う「Simple Song 夏の終わりに」

南佳孝 松本隆を歌う「Simple Song 夏の終わりに」              令和4年9月10日(土)開場15:00 開演16:00              於、大手町三井ホール  南佳孝さん作曲、松本隆さん作詞の楽曲のみを演奏するという特別なコンサートです。二人の共作、80曲くらいあるらしい。これまで松本隆さんのイベントで何度か南佳孝さんの歌声を生で聴いてきたけれど、単独ライヴはこれが初めてです。シブい名曲がたくさんあるので、期待を抱いて会場へ足を運びまし

    • マイルス・デイヴィスの「N」「Nefertiti」

      ジャズの世界で数多くの革新を成し遂げたマイルス。中には「なんじゃ、こりゃ?」な作品、演奏もある。この「Nefertiti」なんかもそれに入るかも。 まず、このテーマのメロディ、変でしょう。(マイルスではなく、ウェイン・ショーターの作曲ではあるのだけれど。)ふわ〜っとして、つかみどころがない、と言いますか。まずは聴いてみて下さい。 https://www.youtube.com/watch?v=s4QMU8CVlpM&t=85shttps://www.youtube.com/

      • マイルス・デイヴィスのAtoZ「M」「Milestones」

        初めて本格的に聴いたマイルスのアルバムは「Kind Of Blue」だったけれど、最初に聴いたマイルスの曲は「Milestones」でした。中学生の頃、あるラジオドラマの主題曲になっていて、毎日冒頭に触りの数十秒だけ流れるのでした。誰の演奏で、なんという曲か全く分からず、そもそもジャズであることも理解していたかどうか。なんせ中学生だったからなあ。それでも疾走感あふれる、カッコいい曲だな〜と思っておりました。それが何年も経って、マイルスを聴くようになって出会った時の驚き!「これ

        • マイルス・デイヴィスのAtoZ「L」  「Love For Sale」

          このシリーズ、一応マイルス名義の作品から選ぶことにしているのですが、この曲が収められているアルバム「Somethin' Else」は、アルトサックス奏者キャノンボール・アダレイのリーダー作です。ジャズファンは周知のことですが、契約上の問題でキャノンボール名義になってはいるものの、実質的なリーダーはマイルスです。 オープニングの「枯葉」だけがメチャ有名ですが、こちらもなかなかいいですよ。まずはお聴きあれ。 Cannonball Adderley - Love For Sal

        南佳孝 松本隆を歌う「Simple Song 夏の終わりに」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「K」  「Katia」

          「K」の一番は「Katia」です。実は「K」で始まる曲は案外少なくて、あとは「Kix」ぐらいしかないんですよね。選択肢が少ないので、これを選ばざるを得ないといいますか・・・。まあ、たまにはこういう場合もあります。 ジョン・マクラフリンのギターソロがフェイド・インして始まります。マクラフリンはマハビシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオなどで活躍した超バカテク・ギタリスト。マイルスとも多くの共演機会があり、何と言っても「ジャック・ジョンソン」での頭からガツ

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「K」  「Katia」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「J」 「Joshua」

          「J」で始まる名曲名演は「Joshua」です。オリジナル演奏はアルバム「Seven Steps To Heaven」に収録されています。このアルバムは2つのグループによる演奏が収められており、いよいよ60年代クインテットのリズムセクションであるハービー・ハンコック(pf)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)が登場します。カーネギーホールでのライヴや「Quiet Nights」といった企画盤を経て、新しいサウンド作りに移行する過渡期の作品。どの曲もいいのだけれど

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「J」 「Joshua」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「I」    「It Never Entered My Mind」

          俗に言われるマラソン・セッション四部作の一枚「Workin'」のオープニングを飾る「It Never Entered My Mind」です。(ちなみに四部作、あとの3枚は「Relaxin'」「Steamin'」「Cookin'」です。) 1956年5月11日と10月26日、二日間のセッションでまとめて録音された音源が4枚のアルバムに収められました。タイトルから、ING四部作とも呼ばれています。内容的にはどれも甲乙つけがたいのですが、ジャケット的にはこれが一番ヒドイ。あとの3

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「I」    「It Never Entered My Mind」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「H」「Hannibal」

          「Live Around The World」に収められた「Hannibal」は、1991年8月25日、ロサンゼルスでのライヴ音源。マイルスが人生の最後に演奏したナンバー。コンサート終了後に倒れ、翌月亡くなりました。というわけで良し悪しは別として、これを選びました。選ばざるを得ない。 実を言うと1980年代中盤から、結婚して音楽を聴く環境がガラリと変わってしまったため、晩年のマイルスはそれほど熱心に聴いていなかった。内容的にも音楽シーンの最前線を突っ走る、というものでもなか

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「H」「Hannibal」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「G」 「Gingerbread Boy」

          「G」で始まるマイルスのベスト曲は「Gingerbread Boy」です。 いつも怒っていて不機嫌そうなマイルスの珍しく微笑んだ写真がジャケットの「Miles Smiles」のラストに収められたナンバー。これ、ジャケットに騙されてホンワカした雰囲気なのかと思いきや、徹頭徹尾、緊張感を強いられる演奏ばかり。曲のテーマ部分も、50年代みたいにシンプルで誰もが口ずさめるようなメロディではない。(例えばソニー・ロリンズの「セント・トーマス」やアート・ブレイキーとジャズメッセンジャー

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「G」 「Gingerbread Boy」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「F」 「Fast Track」

          「F」は激戦区です。「The Man With The Horn」のオープニング「Fat Time」、ロン・カーターのベースラインが特徴的な「Footprints」、50年代ライヴの定番だった「Four」などなど。それらの強敵を蹴落として選ばれたのが二枚組ライヴアルバム「We Want Miles」に収められた「Fast Track」です。 メンバーは「C」でご紹介した「Come Get It」と同じ。アレと同じくらいカッコイイ演奏。マイルスがとにかく元気の一言に尽きます。

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「F」 「Fast Track」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ 「E」 「E.S.P.」

          「E」で始まる曲のベスト1は「E.S.P.」です。同名アルバムのオープニング・チューン。「Agitation」の項で少し触れた、60年代黄金クインテット初めてのスタジオ録音盤。 黄金クインテットは、1963年にハービー・ハンコック(pf)、ロン・カーター(b)、当時若干18歳の若き天才トニー・ウィリアムス(ds)が加入してリズムセクションが整い、翌年ウェイン・ショーター(ts)が加わって完成しました。このアルバム録音前にヨーロッパツアーがあり、5人のチームワークは既に出来上

          マイルス・デイヴィスのAtoZ 「E」 「E.S.P.」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「D」「Dr.Jackle」

          「B」と「C」はすんなり決まったのだが、「D」が難しい。ダントツの曲がない代わりに、二番目にいい曲がずらりと揃っているのだ。 例えば、初期の快演「Dig」、キャノンボール・アダレイ(as)がいい味を出す「Dancing In The Dark」、 ジョン・コルトレーン(ts)との対比が楽しめる「Dear Old Stockholm」、エレクトリック期の重要レパートリー「 Directions」 などなど。どれを選んでもおかしくない中、敢えて「Miles Davis And M

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「D」「Dr.Jackle」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「C」  「Come Get It」

          この一曲を選ぶのに苦労する場合もあるし、すんなり決まる場合もある。「C」は後者で、アルバム「Star People」に収録された「Come Get It」に即決! 何と言いますか、カッコイイにもほどがある。マイク・スターンのグワ〜ンと響くギターに続いてパーカッション軍団とマーカス・ミラーのベースが唸る。マイルスがなかなか出てこない。と思ったら最初の方はシンセを弾いているのですね。トランペットで登場するのは2分30秒の辺り。この時もう既に最高潮に達しているわけです。まさに帝王

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「C」  「Come Get It」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「B」 「Blue In Green」

          「B」で始まるマイルスの名曲は「Blue In Green」で決まり! テーマとなるメロディーがあることはあるのだが、この曲の場合、それ以上に印象的なのは「響き」だったり、演奏が醸し出す「透明感」や「雰囲気」だったりする。まるでドビュッシーの作品のようだ。この曲が収められているアルバム「Kind Of Blue」から、「So What」と「All Blues」は何度もライヴで取り上げられることになるが、「Blue In Green」は一切ない。これっきり。ピアニストのビル・

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「B」 「Blue In Green」

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「A」「Agitation」

          頭文字アルファベットの「A」から「Z」で始まるマイルス・デイヴィスの名曲・名演奏ベスト1を挙げていくという暴挙、スタートします。 最初に登場する「A」はライヴ盤「AT PLUGGED NICKEL , CHICAGO」に収録された「Agitation」です。YouTubeで探したら、後述するコンプリート盤からセカンドセットの演奏が見つかったので貼っておきます。(このテイクはお勧めするテイクに比べてイマイチかも。) https://www.youtube.com/watch

          マイルス・デイヴィスのAtoZ「A」「Agitation」

          「風のくわるてつと」と「ちぎれ雲」

          「風のくわるてつと」は松本隆さんがはっぴいえんど在籍中にしたためた詩とエッセイを収めた本(1972年11月発売)。当時、書店でたまたま見かけた青いハードカバーを購入し、「ゆでめん」から始まる壮大な歌詞の秘密に迫るべく、折に触れページを開いてきたが、未だに多くの謎は解けないままだ。というか、読むほどにかえって謎が深まるという摩訶不思議な本である。 本に収められている詩は、はっぴいえんどの楽曲でお馴染みの作品や、南佳孝さんに提供した「おいらぎゃんぐだぞ」(佐藤奈々子さんのカバー

          「風のくわるてつと」と「ちぎれ雲」