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第76回MMS(2014/3/28対談) 「会社員を続けながら起業でき、それを勤務先の企業も応援するエコシステムの創造」 チーム0→1 赤木優理さん

本記事は2014年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

MMS本編

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enmono 本日は、「チーム・ゼロイチ」代表の赤木さんとのMMSです。「44田寮(よしだりょう)」というコワーキングスペースを立ち上げられた経緯を教えてください。

赤木 私は建築の出で、父親も建築家です。小さい頃から、「建築家にはならなくていい。アーキテクトになれ」と言われてきました。アーキテクト=「物事の始まりを構築する人間になりなさい」と。約2年半前に「起業家をサポートする仕事をしよう」と思ったのが、きっかけです。

enmono 有名なschooも、44田寮の出身なんですよね。

赤木 そうですね。投資家とは違って基本的には出資はせず、彼らのように起業したい人達をサポートしながら、起業家の研究をしています。44田寮に入るには、審査があります。一番のポイントは、既にあるビジネスモデルをリメイクするのではなく、今までにない市場を創造しようとしているか。儲かるか儲からないかは、重要ではありません。成長する人物であるかどうかも、一つの判断になっています。どういう経験から起業を考えたのか。覚悟があるか。それと、人をまきこんでいけるか。コンセプトが共感しやすいものをつくれるかを重要視しています。

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enmono なぜ、44田寮とは別に、起業体験セミナーのような「チーム・ゼロイチ」を始められたのですか?

赤木 実は44田寮を始める前から、私自身「アーキテクト」たるには何をやらなければならないのか、考えていました。その中で「新しい市場をつくる」ことに本気で向き合わなければ、これからの日本はヤバイんじゃないか……と考えるようになったのです。まさに44田寮で日々起業家と接している中で、その想いが確信に変わりました。

 つまり、「自分のやりたい事」をビジネスで実現していけるビジネスマンが一人でも増えることが、経済的にも精神的にも日本を健全にするのではなかろうか、現在、日本の労働人口6500万人の約80%を占める会社員が起業家のように働くことで、自身の経済的価値の向上や精神的な問題が解決できると感じたのです。

 起業家のサポートも重要ですが、彼らは労働人口のほんの数%です。会社員の人が変わっていかないと、日本は何一つ変わらないのでは。チーム・ゼロイチは、起業家の研究から得た「新しい市場をつくる」というメゾットを、会社員に移植しようとしているのです。会社員か起業家かの二者択一ではなく、会社員をやりながら起業をするエコシステムを日本で構築していきます。

 実は44田寮を始める前から、私自身「アーキテクト」たるには何をやらなければならないのか、考えていました。その中で「新しい市場をつくる」ことに本気で向き合わなければ、これからの日本はヤバイんじゃないか……と考えるようになったのです。まさに44田寮で日々起業家と接している中で、その想いが確信に変わりました。つまり、「自分のやりたい事」をビジネスで実現していけるビジネスマンが一人でも増えることが、経済的にも精神的にも日本を健全にするのではなかろうか、現在、日本の労働人口6500万人の約80%を占める会社員が起業家のように働くことで、自身の経済的価値の向上や精神的な問題が解決できると感じたのです。起業家のサポートも重要ですが、彼らは労働人口のほんの数%です。会社員の人が変わっていかないと、日本は何一つ変わらないのでは。チーム・0→1は、起業家の研究から得た「新しい市場をつくる」というメゾットを、会社員に移植しようとしているのです。会社員か起業家かの二者択一ではなく、会社員をやりながら起業をするエコシステムを日本で構築していきます。

enmono 起業を、夜や土日にやるのですか?

赤木 そうです。起業家の方達を見ていて感じたのは、24時間仕事をしていても、すごく楽しそうにやっているということです。自分のやりたいことと、ぴたっとはまって、仕事じゃなくなる。趣味なんです。会社員の方達が休みの日にゴルフをやるのと同じように、趣味として起業ができるようになれば面白いなと思っています。

enmono 会社員をやりながら起業するというやり方を、企業側に提案されているそうですが、反応はどうですか?

赤木 反応は良いです。ニーズはあると感じています。まず、事業創造というキーワードでお話すると、こちらのグラフの横軸がイノベーションステージです。何もない状況が0です。いろんな定義があるんですけれど、1はビジネスモデルができたタイミング。10はマーケットインして黒字化できているレベルです。更にビッグビジネスにして100にしていきます。

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 大手企業が高度経済成長期から今迄やってきたのは持続的イノベーションで、コアとなる商品に新機能を付加して新製品として投入するイノベーションでした。この持続的イノベーションは、図で言うと10から100に向かう形です。しかし今、多くの企業で必要とされているイノベーションは、既存事業とは異なる第二第三の柱をつくる非連続(破壊的)イノベーションと呼ばれるもので、0から立ち上げる形です。

 社内ベンチャー制度とかビジネスコンテストなど様々な取組が既に多くの企業で導入されていますが、この取組で0から1まではできるようになってきています。しかし、非連続(破壊的)イノベーションが多くの企業で上手くいかないのは、実は1から10までの間が一番難しいからなのです。会社のシステムが今迄やってきた持続的イノベーションに最適化されているので、この「死の谷」を乗り越えられない。

 人事評価制度も、稟議システムもそうです。僕は「高度にガラパゴス化している」と言っているんですけれど、日本人は真面目で優秀なので、そのシステムが会社の細部にまで密接していて一部を変えても変えられない。そもそも、社内でやるのは無理なんだというのがあって、チーム・ゼロイチでは「死の谷」の部分を社外でやることを提唱しているんです。実績が出来て持続的イノベーションに最適化した社内システムに対応できるようになってきたら、社内に戻すことで暫定的に非連続(破壊的)イノベーションを企業でも実現させようという試みです。

enmono 社内に戻ると、やる気がなくなったり、先祖返りしませんか?

赤木 大いにあると考えています。ですので、その会社の代表が理解をし、会社を巻き込みながらやらなければならないと思っています。会社に評価されなければ、趣味で終わってしまいます。「忙しい」と言ってやらなくなってしまう。会社員は、社内評価を見ているんですよ。人事評価、自分の給料を見ているんです。ですからチーム・ゼロイチ は社員教育という文脈で、社外でやったことの成果が会社に戻り、失敗しながらでもトライしたことが会社から評価される新しい人事評価制度をつくろうとしています。

enmono 例えば、ボーナスが増えるとか。それはいいですね。

赤木 事業創造スキルを測れる人事評価制度があり、会社が採用すれば、会社としては給与に反映できます。TOEICは、ここ数年で非常に注目されるようになりました。これまで日本の企業は国内市場がターゲットだったので、ビジネスで英語を使う必要性がなかったんですが、圧倒的なグローバル市場のなかで、海外に出ていかなければいけない状況になったからです。

 それで、企業はビジネス英会話のスキルを測るTOEICを利用して、社内の誰をアサインしたらいいかという判断指標をつくろうとしています。今後、既存の事業がどんどん縮小していけば、新しい事業を創らなくてはならなくなる。そのような時、チーム・ゼロイチの研修や制度を大手企業に採用してもらえたら最高ですね。

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enmono 研修はどのような内容ですか?

赤木 まず、「やりたい事」をみつけるというプロセスから始まります。起業家と違って会社員の人達は、「やりたい事がみつかっていない人がほとんどです。それから、それに共感してくれる研修仲間を見つけてチームをつくります。外部から連れてきてもいいîですけれど、3人もしくは4人のチームをつくれた人だけ、次のステップに進めます。そして、ビジネスモデルをを実際に市場に出していく。リリースしながらブラッシュアップしていきます。

enmono 期間はどれくらいですか?

赤木 市場にリリースするくらいまで、半年間くらいですかね。何回コースというのではないんですよ。自分の最適なクラスに行くというやり方をしているので、個人によってばらばらで。クラスはステージ別と基礎スキルの二種類があり、この二つの柱が同時に走っています。

enmono 緻密に考えていらっしゃいますね。教える側、コーチも必要だと思いますが、その点は、どのように考えていらっしゃいますか?

赤木 ボランティアスタッフを増やしていこうと考えています。生徒で参加してくれたり、運営側を少し手伝ってくれたりと、サポートしてもらっています。研修モデルで儲けようとはしていないので、コンテンツはどんどんオープンにしていこうとしています。ですので、体験していただきながらチーム・ゼロイチのコンテンツを理解して、ボランティアでサポートしてもらいたい、教える側にまわってほしいと思っています。そのためのマニュアルづくりを、今、やっているところです。

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enmono 考え方は、我々も近いですね。シナジーがあると思うので、ぜひ、一緒に何かやりましょう。

赤木 モノづくりの場合、町工場の方達に最適なやり方があると思いますので、連携していきましょう。

enmono マイクロモノづくり検定制度にして(笑)。

赤木 いいんじゃないですか(笑)。モノづくりは日本の強みだし、失ってはいけない部分。そこから新しい事業をどんどん起こすサイクルが出来上がると、日本としてもすごく強くなると思うんですよね。

enmono 日本のサラリーマンの未来について、お話いただきたいのですが。

赤木 未来と言えるほど先かは分かりませんが、「新しい市場をつくる」ということが、経済的にも精神的にも非常に重要だと思っています。


 このグラフの縦軸は、市場の成熟度で、マネタイズモデルが成熟しているかを表します。横軸は市場の大きさです。簡単に言うと、困っている人が多いかどうか。

 困っている人や欲しいと思っている人が多くて市場が成熟している領域は、車や生命保険など、大手企業がやっているビッグ市場です。「新しい市場をつくる」というところでは、マネタイズモデルが成熟していない、領域から下(斜線の部分)を狙わなければいけないんです。

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 ニッチ市場は3つあります(円の部分)。困っている人が少なくてマネタイズモデルが成熟している領域は、富裕層ビジネスやオタクビジネスなどがあります。AKB48はこの領域からビッグ市場に変わっていったんですが、ここは先駆者がいるので、やる必要がない。起業家、事業創造者は、残りの2つのニッチ領域を開拓しなくてはなりません。

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 これらの領域は市場化されていないので、ライバルがいません。成熟度も市場の大きさも少ない、リアルニッチと呼ばれている領域は、僕らがやっている起業家ビジネスなどがそうです。

 困っている人は多いけれど、マネタイズモデルが整備されていない領域は、例えばいじめ問題とか。株式会社でいじめを解決しようというところはありません。市場化するという事は、上記2つのニッチ領域にマネタイズモデルを提供することで、他のプレイヤーの参入を促すということです。

 参入者が増えることで、ソリューションの選択肢も増え、価格も下がります。つまり、市場化するということは、2つのニッチ領域にいる悩みを抱えているユーザーの現状(=ソリューションの選択肢も少なく価格も高い)をより満足度の高い方向に変化させるということなのです。

 今は、「新しいビジネスをしないと儲からない」と経済的な理由でやろうとしている人が多いですが、新しいビジネスをやる社会的意義(=困っている人の解決策をたくさん、そして安く提供する)を理解した上で「新しい市場をつくる」ということに挑戦する人が増えればいいなと考えています

enmono 日本全体が元気になりますね。

赤木 市場化して大手が参入することもあります。大手企業は資本力と人の力がありますから、起業家が勝つには戦略が必要なんです。44田寮では、参入者を上手く活用しながら自分も成長する「ニッチ市場のスケーラブル戦略」で、起業家をサポートしています。そこをきちんと体系化していかなければと思っています。それが出来れば、経済的な目線で入ってくる人もさらに増えてくるでしょう。

enmono 今日は勉強になりました。赤木先生、ありがとうございました。

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