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【2019/7/26開催セミナーレポート】『「トランステック」 ∞ 「マインドフルビジネス」』 〜SXSWに出展した東芝のプロダクトデザイナーを交えたトークイベント〜 ①enmono三木

開演~三木の講演

三木:今日はトランステック×マインドフルビシネスということで、趣旨はSXSWに出展した東芝のプロダクトデザイナーさんを交えたトークイベントということで、

マインドフルネス関連とかトランステックはどうしてもベンチャーとかスタートアップ寄りの製品開発が多いように見受けられるんですが、

東芝という大きな企業らしからぬものを開発した開発者のご苦労とかを聞きながら、日本のトランステックとかマインドフルビジネスの先をみんなで対話していこうというイベントになります。

今日のタイムラインなんですが、まず私から鎌倉から生み出されるマインドフルビジネスというお話を20分ぐらいさせていただいて、

その後ヒューマンポテンシャルラボの山下さんからトランステックのお話をいただきます。

その後大企業でのトランステック製品開発の実情ということで駒木さんからお話をいただいて、パネルディスカッションで日本のマインドフルビジネス、トランステックの可能性ということで1時間ぐらい対話をしていきたいと思っております。こちらの部屋は20:45で一旦終了になるんですが、21:30まで取っておりますので、その後残って色々対話したいという方はぜひつながっていただければと思います。

今日の登壇者のご紹介をさせていただきたいと思います。まず左から駒木さんは東芝のデザインセンターで戦略デザインの担当をされていて、今机の上に乗っている製品“マインドフル(仮)”というものを開発されたということで、大企業でのご苦労のお話を伺えればと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

山下さんはヒューマンポテンシャルラボという会社の代表を務められておりまして、私とは鎌倉つながりということでご登壇いただきました。ヒューマンポテンシャルラボは先日アカツキから資金調達をされまして、日本の様々なトランステックの可能性というのを日本と海外をつなぎながら探ってらっしゃる会社の代表です。今日は主に海外のトランステックの動きをお伝えいただければと思います。

私は株式会社enmonoの三木と申します。あとでご紹介をさせていただきたいと思います。

マインドフルビジネスについて

今日は私から鎌倉から生み出されるマインドフルビジネスというお話をさせていただきたいと思います。弊社の社名の由来なんですが、元々町工場の製造業の支援をしていたので、人のご縁でモノを作るということでenmonoという社名になっております。理念はワクワクモノづくりで世界が元気になるという、ちょっと浮足立った感じなんですが、製造業って何となく地味な感じがあるので、もうちょっと明るくワクワク感を取り出していきたいと思っています。私と後ろのほうにいる丸っこい方(宇都宮)2人でやっております。

コンサルティングってちょっと堅いのでゆるキャラで2人でやっています。

略歴なんですが、富士通という会社におりまして、その後慶應のSFCというところでその当時いらっしゃった製品開発論の榊原清則先生の下でイノベーション研究をやっておりました。その後ITベンチャーのほうの役員になったんですが、ITベンチャーって業績が悪くなると「ちょっとそろそろ…」という感じでリストラをされまして、自分の心が不調になってうつになってしまいました。そこで何とか自分の心を回復するために自宅で座禅をして、不思議なことにどんどん良くなって自分の心が良くなると同時に、その自分の体験を外の人にもお伝えするようなお仕事ができるんじゃないかということでzenschoolという中小企業のモノづくりを支援する、そしてそこのプロセスで座禅あるいはマインドフルネス瞑想を始めました。

私鎌倉から来たんですが、今鎌倉で起きていることを象徴する1枚の写真がございます。こちらは鎌倉の雪ノ下教会という教会なんですが、僧侶の方、神主さん、そして神父様がいらっしゃいますが、鎌倉宗教者会議というのが3.11の震災の後で起こりました。

それは宗教を超えて共に犠牲者の冥福を祈ろうということで、お坊様がこちらの教会で賛美歌を一緒に歌っていらっしゃるという話でして、共に宗教を超えてつながっていこうという動きに我々は非常に刺激を受けまして、ITベンチャーってコンペティターとかもあるんですが、そういったものを超えてつながって新しい価値を生み出そうということで、この動きにも産業界としても刺激を受けて動いています。

我々は鎌倉を勝手にマインドフルシティと名付けております。The birthplace of Japanese Zenと言っておりますが、日本の禅の発祥地の1つと言われております。このマインドフルシティのコンセプトは4つのコンセプトで共に仲間を集めて動いています。

1つは非常に豊かな自然がございますので、それを大切にしながら遊ばせていただくということ、そして今マインドフル文明をベースに後で紹介するZen2.0というイベントをやっていまして、

それで一緒に座禅をしたり瞑想をするようなコミュニティがどんどんできています。お互いのことを思いやりながら新しい価値を作るコミュニティができています。写真はスタンフォード大学の先生が鎌倉を好きになって半年鎌倉にステイするということでワークショップをやっていただいている写真です。今日の話題のトランステック、人の意識をアップデートするテクノロジーがいくつか生み出されてきています。これを1つの産業として鎌倉が発信していきたいと。そしてマインドフルな経済ということで、何か大きな大企業が町の経済を全部ドミネートするのではなくて、中小とか個人事業主が連携していく経済システムができないかということで、こういった4つのコンセプトでマインドフルシティとして発信していこうとしています。

ご存知のように鎌倉は日本の禅の発祥の地の1つでございます。日本の鎌倉禅というものは武士道と非常に密接に結びついて800年かけて育てられてきました。

この写真はお水と何か置いてあるんですが、これは実はチョコレートでして、座禅をすると舌の感覚が変わるので、座禅する前に試食して、そして座禅をしてまた味わうということで、味の変化と禅と組み合わせたチョコレート禅というのを我々のイベントの中でやっていたりします。そういった新しい取り組みもしながら伝統も大切にしながら、このマインドフルシティは少しずつ我々と一緒に成長していければなと思っております。

その中でZen2.0というイベントを我々はやっております。ビデオがありますのでそれを少しだけ御覧ください。

<Zen2.0紹介動画>

2日間のイベントになりまして、北鎌倉の建長寺というお寺でやらせていただいているイベントになります。全てのスピーチは日本語と英語で同時通訳あるいは逐次通訳をしています。登壇者はネイティブアメリカンの伝統儀式を広めてらっしゃる方ですとか、チョコレート禅、そして実際に座禅をしていただいたりとか、あとは藤田一照さんという日本とアメリカを往復しながら新しい禅を広めてらっしゃる方にご登壇いただいて、禅の新しい取り組み方をご紹介しています。尺八を聞きながら瞑想したり、あと食べる禅というのもやったりしています。これは伊藤園さんとコラボしたお茶のワークショップです。結構海外の方もいらっしゃいまして、非常にインパクトがあったというコメントを。これは人口知能の専門家でこういった方達にもご登壇いただいています。

このイベントは今年で3年目になりますが、今年も9月21日と22日の2日間土日に北鎌倉の建長寺で開催します。どういった方がご登壇いただけるのかということなんですが、著名な方ですと例えばこちらアカツキという会社の塩田社長さんにご登壇いただきます。

そして鎌倉の著名な起業家カヤックの柳澤社長にもご登壇いただきます。

あとは早稲田大学の熊野先生ですとか、こちらは人間の愛を育てるLOVOTを開発中の林要さん、こういったテクノロジーそして伝統的な僧侶の方、あるいはキリスト教のシスター、脳科学者、スタンフォード大学の先生、慶應大学の先生みたいな感じで、テクノロジー、伝統宗教、アカデミック、お茶、インドの舞踊、これをミックスしたイベントを行います。

そういったイベントを3年ほどやりましたが、日本中世界中から色んな人が集まるという流れができました。具体的にはこちら先ほどのスタンフォード大学の先生が初年度にイベントに参加してインパクトを受けて「鎌倉にちょっと移住してみたい」ということで半年スタンフォードで半年鎌倉みたいな感じでステイしていただいて、色々我々と一緒に動いていただいたりとか、

あるいはシンガポールのほうでヘッドハンティングの仕事をしていた女性の方がゴングを使った瞑想で起業されたりとか、

色んな方達が集まって来るようになりました。

ビジネスの変容ということで、私は元々製造業にいたんですが、日本の産業が少しずつ変わってきてるのかなと思っています。それは製造業そして金融とかIT、それが今ココロのほうにシフトしてるんじゃないかと思っています。

そういった心を今産業にするということで、我々が仲間と一緒に考えているのがマインドフルビジネスという新しい産業のあり方になります。

定義をしますと、人の心の能力向上を目的としたビジネスで、心の能力は慈愛心、お互いに思い合ってチームで働くのに非常に必要な心の力、そして集中力、ストレスに対する抵抗力、あとは感情知性(EQ)、そして創造性を単に机の上で体験するのではなくて肉体の感覚、マインドフルネスの実践そして肉体の感覚から「気付」く能力を高めていって意識を変容していくということがテクノロジーあるいはサービス様々なセクターで今含まれていて、それを仕分けしていくということになります。

その市場規模がどれぐらいあるのかということで、3年ほど前に我々が2025年に211.8兆円になるんじゃないかという数字を出しましたが、もう苦笑みたいな感じですね。ちょうど昨年の11月にサンフランシスコのほうでトランステックというカンファレンスが行われまして、かなり近い市場なんですが、その市場規模は300兆円と彼らは試算していますので、彼らのほうの妄想力のほうが大きかったということです。

これは2019年に“旅先で体験したいこと”をオンライン旅行会社のアゴダが取ったアンケートで、1位は海外などで新しい言語の学習だったんですが、2位はセルフケアとかリトリートということで、リトリート系の関心が非常に高まっていることが分かります。

これも1つのマインドフルビジネスのセクターの1つだと思っています。

私なりに今までの製品の付加価値をいくつか分解してみたんですが、一番重要なのが例えば洗濯機だったら洗濯物を洗える機能なんですが、単に洗濯物が洗えるだけじゃなくてデザインが良いほうがいい、あるいは洗った洗濯物で様々な体験をしていくということ、その上に例えば社会性、より少ないお水で洗濯物が洗えるみたいなものがあると思います。これがこれまでの付加価値として考えますと、これからの価値としてその上に1つ乗ってくるのがセルフトランスフォーメーション=自己変容というものです。

よく「体験とセルフトランスフォーメーションの違いは何か?」と質問されるんですが、体験はその時は覚えてるけど忘れてしまうもの、セルフトランスフォーメーションは1回体験するとなかなか元に戻りにくい不可逆な自己変容と言っています。

これは時代の変遷と共に日本なので昭和、平成、令和と置いてみますと、機能というのがどんどん下がっていって、それ以外の価値がどんどん大きくなってくる時代が来るんじゃないかと思っています。

マインドフルビジネスを生み出す鎌倉のインフラとしていくつか鎌倉の起業家向けのインフラを紹介したいんですが、カヤックさんという会社が鎌倉にあります。その会社が町のインフラシリーズということで1つ作ったのがまちの社員食堂でありまして、

鎌倉で働いている人であれば誰でもお昼に使えるということで、観光客が多いのでなかなか食べられないんですが、働いている人だけのお店ということで、週替わりで鎌倉のおいしいお店屋さんがここでメニューを提供して来てくださいます。こんな感じの内装になっておりまして、毎週毎週色んなお店が出店してくれるので全然飽きることがないです。もし皆さんもご興味がある場合は私とゲストであればお連れすることができますので、ぜひ鎌倉にいらしてください。こんな食も非常に起業のインフラとしては重要かなと思っています。あとはカヤックさんが中心になって保育園を駅の近い所に作っているということで非常にありがたいです。あとはまちの人事部とかまちの社員寮みたいなのも企画をされているそうです。

あとは起業家あるいは新しいことをしようとする人達が集まるカマコンという団体がございまして、

実は私もカマコンのメンバーをしています。毎月100名鎌倉市民が集まって鎌倉を良くするアイデアをブレインストーミングをして出すというイベントでして、こういったところを通じて新しい産業、新しい会社を興そうということで会社がいくつもできたりとか、先ほど紹介したZen2.0も実はこちらのイベントから生まれました。どんな会社があるのか紹介です。これは農業用のロボットのinahoという会社で今非常に注目されています。

農業って非常に手がかかるので収穫とか植え付けに時間を割いてしまう。でもロボットを導入することでその時間が半分ぐらいになると、農家さんは半農半Xみたいな別のお仕事もできるということで、そういった時間の空いたところで例えば農業とマインドフルネスリトリートもできるんじゃないかということで、あえてマインドフルビジネスの1つとしてご紹介させていただいております。

あとは鎌倉投信さんは100年先に成長していくような長期投資ということでお金のところを色々サポートされている会社で、これも1つの優しい金融ということでマインドフルビジネスの1つに挙げさせていただいております。あとは先ほどご紹介したゴング瞑想で人の意識を変えていくということで、単に瞑想するだけではなくて今企業向けの社内リトリートで採用されたりとか、あとはこの瞑想を受けた後にブレインストーミングすると非常に良いアイデアが出てくるということで、8月から私どもと一緒に企業向けのワークショップをやることになっています。当然ヒューマンポテンシャルラボもマインドフルビジネスの1つです。

こんな会社がどんどん増えてきていますが、こちらがマインドフルビジネスです。マインドフルビジネスは成長してスケールさせようっていうお仕事も企業も対象なんですが、どちらかと言うとローカルで継続的に続いていくことを目的にしております。そこはサンフランシスコ発のトランステックとは少し違うのかもしれません。ここはまだ区分けは明確ではないので、もしかしたら日本型のトランステックビジネスというのも生み出せるかもしれません。

マインドフルビジネスは1個1個の小さい中小企業が連携していこうという考え方で、こういうビジネスのスタイルが非常に参考になる町がありまして、アメリカのセドナという町があります。

特に大きな会社はないんですが、今非常に税収が上がっています。なぜなのかと言うと普通の住宅街にいわゆるスピリチュアル・ヒーラーみたいな方がいっぱいいて、そこに海外からの観光客がどんどんリトリートのために行きます。1回のセッションが例えば3、4万なんですが、それが非常に高回転で回ってます。そこに市長が変わったところでそれをもっと増やしていこうということで税収がどんどん上がってきています。小さい個人事業主とか中小企業が連携していくとこういった新しい産業スタイルが生み出せるんじゃないかということで鎌倉の1つの参考にしていきたいと思っています。

最後にお伝えしたいメッセージは、日本が800年以上培ってきた禅だけではなく神道あるいは他の宗教も拒否することなく包含していく1つの“和の叡智”とテクノロジーを掛け合わせることで全く新しい産業が日本から生み出せるんじゃないかということで、ぜひそれを皆さんと一緒に考えながら作っていければいいなと思っております。どうもありがとうございました。

質問は最後のパネルディスカッションでお受けしたいと思いますので、山下さんからトランステックについてのお話を伺えればと思います。


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