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杜氏としての不安と再発見|また呑みたい!と思われる酒を目指して

はじめまして。玉乃光酒造株式会社で製造部長杜氏をしています、白崎と申します。個人的な日本酒の好みは、華やかなタイプではなく素朴なタイプ派です。

さて、私たちが自信を持って生み出した、プレミアム新日本酒ブランド【禅利(ZENRI)】(ぜんり)の発売日が近づいてまいりました。

そこで僭越ながら、製造部長杜氏である私の【禅利】や日本酒造り全般への想いについて、簡単に語らせていただきます。

自己紹介(プロフィール)

私は高等専門学校を卒業後、玉乃光酒造株式会社に入社しました。この時点では、酒造りの知識も経験もまったくなく、興味本位のみで酒造業界に飛び込みました。

そして、玉乃光入社後 3名の杜氏に酒造りを教わりました。

まず、上田杜氏には酒造りや社会人としての礼儀を、松本杜氏には酒造りのおもしろさを、そして森本杜氏には酒造りの奥深さやむずかしさを――
この経験が今現在(入社23年)の杜氏である私の原点になっています。

杜氏としての不安と挑戦

世の中には「うまいっ!」と思える酒は多々あります。

ですが、それを実際に醸せるかは別の話。そのため今回、プレミアム新日本酒ブランドを生み出す、という新たなプロジェクトが立ち上がった際は、「おもしろい」と「不安」が4:6で、不安のほうが大きかったのが本音です。

日本酒は、どこまで行っても嗜好品です。酒造りに携わる上で「自分好みの酒を造りたい」という想いと、それがどこまで受け入れてもらえるかの不安があり、正直難しい企画だと当初は思いました。

唯一無二の日本酒を造るために

玉乃光の酒造りの良さを残しつつ、新しいものを取り入れていきたい――これが私の率直な想いです。

日本酒の原材料は米・米こうじ・水とシンプルに表示されますが、実際は農家(米)・醸造(米こうじ)・玉乃光(水)の三位一体の作品だと考えています。

造り方で味が違うのはもちろんですが、酒米の特徴でも違いが表現できる。そのため、玉乃光ならではの個性を表現していきたく思います。

現代社会では多種多様な日本酒が、ネットの普及により以前にも増して目につきやすく、表に出てきています。そこで、「うまい」だけではなく「また呑みたい!」と思われる酒を目指したい。

もちろん視野を広く世界に通じる日本酒を目指しますが、最終的には「玉乃光に来たい」「京都・玉乃光に来なければ呑めない」唯一無二の日本酒を造るために日々精進しています。

改めて酒造りの面白さを実感

プレミアム新日本酒ブランド【禅利】を生み出すために様々なことを考えていくうちに、作業、設備に関しての課題を発見することもできました。

この経験を通して、まだまだ伸びしろがあることを認識し、改めて酒造りの面白さを実感しました。

これまでは作業として愚直に酒を造る(育てる)を目標としていましたが、これからは設備を含め、お客様に提供される(送り出す)までの過程を含めて包括的に考えていかなければ生き残れない。

【禅利】誕生における試行錯誤の日々のなかで、以上のことを学ぶことができたのは、私にとっても良い機会となりました。

ぜひ多くの方々に【禅利】を楽しんでいただき、「また呑みたい!」と五感で感じていただきたく思います。


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■この記事を書いた人
株式会社玉乃光酒造 白崎 哲也

平成12年に玉乃光酒造に入社。以来、歴代の杜氏の元で修業。平成27年に森本杜氏より玉乃光酒造の杜氏を引き継ぎ現在に至る。350年の歴史を持つ 玉乃光酒造の杜氏として、純米吟醸の酒造りに日々研鑽している。

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