見出し画像

グローバルサプライチェーンに訪れた「2025年の崖」

この2年間はグローバルサプライチェーンにとって最も混迷を極めた期間でした。

コロナに始まり、ロシアのウクライナ侵攻や例を見ない規模の熱波・干ばつ、最近ではブラジルでの大規模デモなど…地政学と異常気象リスクがもはや常態化する現代では、「何か起こってからの情報収集」では遅く、何かが起こる前提で、製造や売上計画を更新してゆく上で、納期情報などにつき今まで以上に企業間のタイムリーな連携が必須となります。

国境を超え様々な関係者が携わるグローバルサプライチェーンにおいては、他業界以上に「速く・変化に強い」企業間連携が肝要となると言っても過言ではなりません。

しかし、そんな企業間連携の実現を阻むものがあります。それは、レガシーシステムの存在です。少し前、2018年に経産省より「2025年の崖」という言葉で警鐘されたこともあった通り、20年以上前に導入されたレガシーシステムは、「コロナ以降のグローバルサプライチェーン」の中でも現在様々な問題を顕在化させています。


グローバルサプライチェーンにおける「2025年の崖」問題とは?


「2025年の崖」という言葉に聞き馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。

これは経済産業省による2018年の「DXレポート」にて提示した日本企業への警鐘で、DX化が実現されないと2025年以降の5年間で最大で年間12兆円の経済損失が発生する恐れがあると発表されました。

DX化の実現が難しい要因として様々なものが挙げられていますが、主なものとして 1. レガシーシステム化の進行、2. エンジニア不足の激化、3. システム保守運用の費用高騰 などがあります。

グローバルサプライチェーンの文脈で2025年の崖問題を見た時に、どのような点に着目するべきでしょうか?

我々は、レガシーシステムがタイムリー且つシームレスな企業関連携を阻むという点だと考えます。

導入から20年以上経つ老朽化・非効率化したレガシーシステム(多くの場合、基幹システムを指す)は、長年に渡り一部分のカスタマイズ等を繰り返した結果、複雑化・肥大化している傾向があります。個社の単独業務のみ行うことも多く、他システムの連携を想定していないため、グループ企業間でさえ簡単に連携することができません。

結果、例えばグループ企業間の取引を本社で確認するという一見シンプルなプロセスにも、グループ企業のデータ収集・連携・分析にエクセルやメールなどの手作業に頼らざるを得ず、そこには膨大な量の時間と労力がかかっています。刻々と状況が変化するサプライチェーンマネジメントにおいて、それはタイムリーな連携からはほど遠いといっていいでしょう。

さらに、こうした状況は、予測困難な有事と、新しい市場への対応が困難にしています。

上述の通り、今は想定を上回る事態がいつでも起こり得る時代です。

それに対応する際に、エクセルやメールベースでの手作業のデータ連携では間に合いません。上記のタイムリーかつ受発注〜出荷までをつなぐシームレスな企業連携をベースに、蓄積したデータを活用して事業判断を下すことが求められます。

蓄積したデータとは、業務で培った経験の蓄積でもあり、この活用が的確なビジネスの判断をリアルタイムで下すことが危機を避ける重要な一手です。

しかし、レガシーシステムに蓄積されたデータは長年のカスタマイズなどを経て複雑化していることが多く、データベースの活用どころかまずデータがどのような形でどう保存されているのか確認し、他情報の連携の仕方を考える…と言った、一つ一つのデータベースの整理から始める必要があります。
また、レガシーシステムに準じた今までの業務体制を変えることも、並大抵の労力では成し得ません。

どうしたものかと頭を悩ませている間に、新しい市場獲得のチャンスや有事の危機に対面しても、なす術もなく立ち竦んでしまう。
そんな事態が、もしかすると既に起こっているのかもしれません。

最近Zenportにお問い合わせいただくお客様の中でも、「システムを全面的に刷新するのでは間に合わない」「別々の基幹システムがグローバル全体だけでなく国内の異なる事業に並存しており、横ぐしで連携するのは殆ど無理」と言ったお声を伺います。

混乱の2年間を経て、グローバルサプライチェーン領域では、上記のような2025年の崖の問題が顕在化しつつあるのではないでしょうか。


さいごに

いかがでしたでしょうか。
2025年を間近に控えた今、グローバルサプライチェーンから見る上記の「2025年の崖」がより実現可能性が高く、より深刻な問題となってきているかもしれません。
Zenportは「データ自動連携により事業判断を支援するSCMプラットフォーム」を提供することで、受発注〜出荷までをシームレスに、多企業間のシステムをつなぎます。(製品紹介についてはこちらをご参照ください:https://note.com/zenport/n/n00e1c6a0859e / https://note.com/zenport/n/n40a563df992d


ご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお問合せくださいませ。国際サプライチェーンのプロフェッショナルによる無料トライアルも行っておりますので、お気軽にお問合せください。
https://zenpor-contact.zendesk.com/hc/ja/requests/new

なお、今回の記事作成にあたり以下のサイトを参照させていただきました
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf
https://biz.moneyforward.com/erp/basic/911/


株式会社Zenport
株式会社Zenportの提供するサービス”Zenport”は、国際貿易におけるサプライチェーン管理SaaSプラットフォームです。国際サプライチェーンでは、多くの場合、受発注残・納期管理のために輸入者、輸出者、物流業者など多様な関係者がそれぞれ異なるデータを持っており、それを手作業で収集・連携・突合しています。こうした手続きが昨今の不安定な輸送状況下で急増し、社内外へのタイムリーな情報共有を阻み、売上・在庫・販売計画に影響をきたしています。
Zenportは独自の標準データ構造とインターフェースで、多様な関係者間でオープンかつ柔軟にご利用頂けるクラウドソフトを開発いたしました。これにより多くの企業様の、より精度の高い売上・製造管理とそれを実行する上での効率的なコミュニケーションを実現します。
https://zenport.io/





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?