今月の葡活。「ブドウ界期待の新人『クイーンルージュ®︎』デビュー!長野の“ぶどう三姉妹®︎”をハントせよ。」
こんにちは。全農広報部note編集部員Nです。
涼しくなってきましたね。秋のご到来です。そう、食…味覚の秋!青果売り場には梨、ブドウ、桃、柿、リンゴ…と、秋のフルーツたちが勢ぞろいしています。
そんななか、今年、長野より「クイーンルージュ®︎」というブドウが正式デビューしました。クイーンルージュ®︎…、一体どんなブドウなのでしょう。JA全農長野 生産販売部 果実課の担当Tさんに聞きました。
※「クイーンルージュ®︎」は長野県の登録商標です。
※「ぶどう三姉妹®︎」はJA全農長野の登録商標です。
今年、正式デビューのブドウ「クイーンルージュ」!
部員N:今年、本格的に市場デビューとなったこの「クイーンルージュ(以下、ルージュ)」は、どんなブドウなのですか?
担当T:「ユニコーン」というブドウに「シャインマスカット(以下、シャイン)」を交配して生まれた、長野県オリジナルの赤系ブドウです。黒系なら巨峰、青系ならシャインと、全国的に有名なブドウ品種がありますが、赤系で全国に広まった品種はあまりありません。
部員N:(ブドウは果皮の色で、黒系・青系・赤系と分けられます。黒系は巨峰やピオーネ、青系はロザリオ・ビアンコや瀬戸ジャイアンツ、赤系にはデラウェアやクイーンニーナなどがあります)
担当T:市場などでは人気のシャインに次ぐ赤系ブドウが求められているので、赤系の品種を確立させようと各県で開発に取り組んでいます。長野では今までブドウ産地ではなかったところにもルージュの苗木が植えられていたりと、県全域で普及が進んでいます。
部員N:赤系ブドウのレースに名乗りをあげたわけですね。
担当T:「クイーン」は「女王のような上品な甘さ」、そして「ルージュ」は「口紅のような赤」を意味しています。シャインが今のブドウ界のキングならば、それに寄り添う女王(クイーン)でありたい。このルージュを、長野を代表する赤系ブドウにしていきたいと思っています。
部員N:そんなルージュさんの特長や推しポイントは?
担当T:親がシャインなので、大粒で種なし、皮ごと食べられるというのもありますが、一番の推しは甘さです。私自身、初めて食べたのは4〜5年前になりますが、もう忘れられないくらい甘くて、逆に甘すぎると言われていたほどです。ルージュは糖度が20%ほどあり、シャインを超える甘さを持っています。そしてほのかにマスカット香があります。
部員N:シャイン好きな人にも受け入れられそうですね。
担当T:ただ、黒系や青系と違って赤系ブドウの普及が難しい要因のひとつに、「着色が安定しない」ということがあります。ルージュも色がつきすぎる傾向が考えられるので、最初の4~5年は気温や日照条件などで産地によって着色のばらつきが出るのではないかと思っています。今植えられている苗木の果実品質を見て、産地ごとに調整しつつ、安定した品質のルージュが出荷できるよう、産地一丸となって取り組んでいきます。
クイーンルージュ®︎
「ユニコーン」と「シャインマスカット」の交配品種で、長野県オリジナル。
2019(平成31)年、品種登録。
品種名は「長果G11」で、「クイーンルージュ®︎」は長野県が取得した商標。
主な産地:JA中野市、ながの(北信地区)を中心に県内全域
出荷時期:9月下旬〜10月上旬がピーク。産地によって前後あり。
ルージュの登場で、長野の「ぶどう三姉妹」デビュー!
部員N:このルージュさんデビューとともに、「ぶどう三姉妹」も誕生したとお聞きしましたが…。
担当T:実は長野には「りんご三兄弟」がいまして…。知名度はあまりないかもしれませんが、長野県生まれのオリジナル品種「秋映(あきばえ)」(長男)、「シナノスイート」(次男)、「シナノゴールド」(三男)を三兄弟として、産地化に取り組んでいます。
部員N:(知っています!私、次男・シナノスイート派です)
担当T:今回、ルージュが登場したことでブドウも3品種そろったので、「ぶどう三姉妹」を結成しました。
部員N:ナガノパープル(左、以下パープル)、ルージュ(センター)、シャイン(右)の3品種ですね。パープルさんとシャインさんについて、その特長や推しを教えてください。
担当T:三姉妹長女のパープルは長野オリジナル品種の黒系ブドウです。種がなく皮ごと食べられて、味がいい。出荷量がそれほど多くないですし時期も短いのですが、「いつ出荷が始まりますか?」といった問い合わせが一番多いのは、このパープルです。その濃厚な味わいは、一度食べたらやみつきにさせます。
部員N:「ブドウ好きは知っている、この品種!」なんですね。
担当T:でも、作りこなすのが難しいんです。割れちゃうんですよ、収穫前とかに雨が降ると。パカッと割れちゃう。生産者の技術力が求められる品種です。とてもおいしいのですが、それもあってなかなか出荷量が増えません。
部員N:なるほど。出荷時期はいつごろですか?
担当T:露地ものは2週間くらいで、9月上旬から9月中旬がピークですね。一部、冷蔵保存もしているのでほかの時期でも食べられますが、一番味がのっていると思います。私もパープルが好きなので、この時期はいろいろなお店に買いに回って囲い込みしています。
部員N:この時期が、より“本気のパープルが味わえる!”というわけですね。
部員N:続いて、次女のシャインさん。今や絶大な人気を誇る品種になりましたね。全国各地で栽培されていますが、長野のシャインの特長はありますか?
担当T:長野のシャインは房が小ぶりなことがポイントです。
部員N:小ぶり?
担当T:房が大きい方が見た目のインパクトはありますが、粒をたくさんつけると養分が分散してしまうので、房を小さく作った方が一粒食べた時の味がいいんです。ブドウは栽培の途中で「摘粒(てきりゅう)」という作業で、たくさんついた実をハサミで落として房を整えます。シャインをはじめ、巨峰やパープルなど大粒系のブドウは「ひと房35粒で作りましょう」と指導しています。
部員N:そうすることで、一粒一粒においしさが凝縮される…ということですね。
担当T:今やシャインは人気の品種になりましたが、シャインという名前だけで売れる時代はいつか終わるだろうと思っています。そこで長野県では「ぶどうプロジェクト」を立ち上げました。県下JAの、主に若手の営農指導員が集まって栽培技術面での課題共有や情報交換などをおこない、品質向上に努めています。さらに上のシャインを目指し、「長野のシャインがうまいよね!」と産地名で評価してもらえるよう、県下一丸となって取り組んでいます。
部員N:シャインさんの出荷時期はいつごろですか?
担当T:露地栽培のピークは9月下旬くらいから。長野県全域で栽培しているので出荷量が多く、9月10月は十分に楽しめます。
部員N:そんなぶどう三姉妹たちと出会いたい!パープルさんやシャインさんはスーパーの青果売り場でもよく見かけますが、三女のルージュさんはどこで出会えますか?
担当T:ルージュは今年、東京・大阪・名古屋の市場へ出荷しています。今年の出荷予定数量は20トンほどとまだまだ少ないので、果物専門店での販売が中心になると思います。
部員N:三姉妹、それぞれ味わいが異なるので食べ比べてみるのも面白いですね。
担当T:ルージュは来年、今年の2倍の出荷量を見込んでいます。ルージュが三姉妹のセンターを張れるよう頑張りますので、応援お願いします!
部員N:そんな「ぶどう三姉妹」ですが、2021年9月25日から10月10日まで、全農の直営飲食店「みのりみのる」にお目見え!パフェやフルーツサンド、どら焼きに季節のフルーツをはさんだ「くだどら」で登場しています。お近くの方は、お買い物にいらした際に、ぜひお立ち寄りください。
登場店舗:みのりカフェ三越銀座店/みのる食堂三越銀座店/みのりカフェア ミュプラザ博多店
詳しくはこちら
https://www.zennoh.or.jp/press/release/2021/84855.html
小耳寄り情報
ただいま、JA全農長野ではフルーツフォトコンテスト「パシャフル!」を開催しています。インスタグラムで「#パシャフル」をつけて、ブドウをはじめ長野県産のフルーツを使った写真・動画を投稿すると、長野のおいしいモノが当たるかも!
「パシャフル!」キャンペーンサイトはこちら
https://shinshufruits.com/
長野県のブドウについて
部員N:長野県はブドウの出荷量が全国2位(令和2年産の農林水産省生産出荷統計より)ですが、長野のブドウについて教えてください。
担当T:主な品種は巨峰、パープル、シャイン、デラウェア、そこにルージュが仲間入りしました。全農長野が取り扱うブドウ出荷量約1万トンの50%強がシャインで、巨峰が30%ほどの割合になります。
部員N:長野のブドウのおいしさの理由は?
担当T:長野県は標高が高く、低いところでも300数メートルはあります。まず、寒暖の差があることで、果実は日中蓄えた養分の消耗が少なくて済み、旨みが増します。そして、日照時間の長さ。果実は太陽の光をたっぷり浴びて育つので、ぎゅっと旨みを蓄えます。気候面で長野県は果実の栽培に優れているんじゃないかなと思います。また、長野は山間地でも平坦な園地が多く、かつ水はけもいいので、ブドウの栽培に適しています。
部員N:なるほど。地の利に、生産者の技術やJA栽培指導員との連携があって、おいしいブドウが生産されているんですね。
担当T:9月23日は「長野県ぶどうの日」です。露地栽培の中で一番収穫の遅いシャインが始まり、各産地のブドウが出そろうのがちょうどこの時期なのと、ブドウの房にかけて23。長野県のブドウを楽しむ1つのポイントになればと思っています。
部員N:今が長野ブドウたちの旬真っ只中!てことですね。これは覚えやすいです。これからもおいしい長野のブドウ、楽しみたいと思います。ありがとうございました!
長野を代表するブドウたち
巨峰
「石原早生」と「センテニアル」の交配品種。
たっぷりな果汁と強い甘みが特長。近年は種なし巨峰が増えている。
主な産地:長野県内全域
出荷時期:ハウス5〜8月、露地9〜12月
ナガノパープル
「巨峰」と「リザマート」の交配品種で、長野県生まれのオリジナル。
2004(平成16)年、品種登録。
糖度が高く、種なしで皮ごと食べられる。
主な産地:JAながの、中野市(北信地区)
出荷時期:ハウス5〜8月、露地9月上旬〜11月
シャインマスカット
「安芸津21号」と「白南」の交配品種。
糖度が高く、マスカット香がある。種なし。皮ごと食べられる。
主な産地:長野県全域
出荷時期:ハウス5〜8月、露地9月上旬〜12月
デラウェア
種なしが主流。
主な産地:JA松本ハイランド(中信地区)
出荷時期:露地8月中旬〜9月下旬
長野のぶどうについて詳しくはこちら
https://www.nn.zennoh.or.jp/products/fruits/more/grapes/
たわわに実るルージュさんたちが整列しています。んん〜美しい!