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ライ麦畑でつかまえて

 高校生の頃に初めてホールデン・コールフィールドと出会い、彼の旅に同行した。その後も、何度か彼とNYをほっつき歩いて、最近気づいたことがあるのでまとめようと思う。  端的に言えば、ホールデン・コールフィールドは、自分の出自を受け入れることの出来ない青年なのではないだろうか?  すなわちユダヤ人であるということを。実際、ホールデンが嫌うものをあげていくと、ユダヤ人のイメージに結びつく。 ①ハリウッド映画 ②金儲け ③人生をゲームに例えられること  ①のハリウッド映画はアメリカに

    • 斬捨て御免

      登場人物 田辺源沓……侍 姫 女の子 女房 遊女 家老 浪人頭 浪人1〜4 ○宿場町・(夜)    月の輝く夜。    腰に刀を差した侍、田辺源沓が重たい足取りで歩いている。    唇を噛み締め、目には怒りの色が見て取れる。    一軒のあばら家に入っていく。 ○あばら家    浪人達が集まって酒を飲んでいる。    皆、押し黙っている。    源沓が戸を勢いよく開け入ってくる。 浪人頭「何だ、お前は?」 源沓「『三途の川ま

      • クルミとモモ

        登場人物 寺田家 クルミ(20)大学二年生 モモ(15)高校一年生 ○キッチン    二人の姉妹が料理をしている。    野菜を切っているクルミと卵をかき回しているモモ。 クルミ「モモ、殻入っちゃってない?」 モモ「入ってないよ」 クルミ「入っている」 モモ「どこ?」    指差し クルミ「それ、殻だよね」 モモ「ああ本当だ」    クルミ、スプーンを出し クルミ「これで取って」 モモ「ねえ、せっかくママ達居ないんだし、ピザでも頼もうよ」    呆れて笑いながら クル

        • 「あの子のピアノ」

          登場人物 野中(18)……女子高校生、三年生 生田(18)……女子高校生、三年生。野中の友人 矢島(24)……野中の担任、音楽教師 小林(15)……女子高校生、一年生 ○高校・音楽室(夕方)    誰もいない放課後の音楽室。    野中(18)がピアノを弾いている。    曲はサウンド・オブ・ミュージックの「私のお気に入り」。    扉が開き、生田が入って来る。 生田「ごめん、野中。お待たせ」    ピアノを止め 野中「大丈夫だよ」 生田「矢島ちゃんの進路指導が長くてさ」

        ライ麦畑でつかまえて

          サティー

          ○火葬場   喪服を着た一色英子(57)、火葬炉の閉じられた扉を向いて佇んでいる。   背後から甥の一色歩(21)が肩に手を置く。 歩「伯母さん、待合室に行こう」   歩の手を握り、社交ダンスのステップを踏み始める。   歩も英子に合わせてステップを踏む。 英子「サティ―って知ってる?」 歩「エリック・サティ―?」 英子「インドで夫に死なれた女が自分に火をつけて命を断つの。愛の照明よ。でも、あの人に死なれてもそんな気にならない私は貞淑な妻じゃないってことかしら」 歩「そんなこ

          サティー

          地下鉄のザジ(レーモン・クノー)

           以前、放送されていた「クレラップ」のC Mで街を駆け回るオカッパ頭の女の子の元ネタがこの作品のザジ。  ルイ・マル監督が1960年に見事に映画化したが、ザジ含め登場人物の如何わしさやパリという都市、パリジャンといわれる人々への皮肉の強烈さは小説の方に軍配が上がるだろう。  1950年代、田舎からパリにやって来た少女ザジは口癖の「ケツくらえ」を連発して、大人達を閉口させるが、その大人達は腹にイチモツ抱えたインチキギリギリ(もしくわアウト)の人物達である。作品中では登場人物

          地下鉄のザジ(レーモン・クノー)

          ポラーノの広場(宮澤賢治)

           TVで宮澤賢治特集があってもスポットが当たらず、「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」のように映画化された作品と比べても、知名度が今一つなのが、この「ポラーノの広場」。  じゃあ、この童話があげた代表作とされるものと比較して見劣りするのかと言われれば、そんなことはない。賢治特有の美しい情景描写に溢れているし、キャラクター達も個性的で多彩なメンツが揃っている。では、何故、この童話がメディアや教科書で紹介されることは無く、私たちの目に触れることが少ないのか?  この作品を「童話」

          ポラーノの広場(宮澤賢治)

          オツベルと象(宮澤賢治)

           中学校の国語の教科書で初めて出会ってから、賢治作品を自分でも買ってみるなどして何度か読んできた作品。  「読む度に何か新しい発見が!」とも言いたいけれど、教科書や文庫本の解説やらを読んで何となく「そうなんだ」という感想しか持とうとしなかった。が、他の賢治作品や外国の童話などを読んでいるうちに気づいたことがチラホラと出て来たので書いてみようと思う。  ストーリーとしてはずる賢い経営者のオツベルが、ある日、フラっとやって来た白象を騙し、あの手この手で過酷な労働をさせ、最終的

          オツベルと象(宮澤賢治)

          好きなことだけ 好きなものだけ

          色々書いてみようかと思います。

          好きなことだけ 好きなものだけ