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世の女性が欲情して男たちをXXしまくるカオスな世界


今回は手塚治虫の「フースケ」よりド変態マンガを2編ご紹介します。

最初に断っておきますが今回は完全に男性向けのマンガです
男の変態的妄想といいますか
女性が見てこれを面白いと感じるのか正直わかりません。

とにかく設定がぶっ飛んでいますので感じ方は人それぞれだとは思いますが
気分を害されたくない方は今すぐ退出くださいね
それでは男のド変態マンガいってみましょう!


今回ご紹介する作品は「フースケ」という
ボンクラで、グウタラで、さえない普通のサラリーマン風のキャラクターが体験する短編シチュエーションマンガです。

これはシチュエーション=コミックと呼ばれるジャンルで
キャラは平凡だけどストーリーが主役というだけあって
はっきり言って
主人公にはなんの魅力もありません。
主人公が体験する奇妙なストーリーをただ楽しむという短編マンガです。


でもこの短編が大人マンガ独特の世界観を放っており面白い。
手塚先生もシチュエーションそのものが面白ければ主人公なんて狂言回しでいいと言っているくらいですから
まさにこのマンガは「ストーリーを楽しむマンガ」と言えるでしょう。
今回はド変態と思われる作品を2編ご紹介します


まずは表紙見てくださいこれ
さえない主人公の男が美女に操られているこの無様な姿…。
複数の美女に囲まれ不敵な笑みの中、無表情で身を任せるシュールな構図
これから起こる物語を予兆している表紙になっていますね。

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まずはこちらの短編からご紹介
「ペックスばんざい」 1969年作


ある日裏路地に落ちていた変な生きものをみつけます、
これってどう見ても男子のアレでしょ(笑)

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これをペックスと呼んでいるんですが
そいつがなんと歩き出します。のっけからとんでもないシュールさです。

さらにペックスの女性版も登場し
つがいになって繁殖しだします。

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所かまわず現われては交尾するペックスは
ものすごい数に増えていき
だんだん手に負えなくなっていきます

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これが公に(ペックスの存在)流行りだして、
収集がつかなくなり警察が来たり、都の衛生局が来たり
とんでもない大事になってなんと東京中にまで繁殖が拡大。
都内のあらゆるところでペックスのオスとメスの交尾が繰り広げられ
ペックスの存在がもはや当たり前の世の中になるというカオスぶり。

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そんなペックスが増殖した街はどうなってしまうのか?
ペックスの増殖によって…社会はどう変わったか?


あまりにもペックスの強烈なセックスを見慣れてしまったため
女性は人間の男では物足りなくなってしまいます。
完全な不感症になってしまうんです。

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するとラブホテルや連れ込み旅館と言われるところの客足が途絶え
キャバクラや夜の街の賑わいが消え
ピンク映画も観る人がいなくなり
夫婦生活の営みも薄れ離婚が急増します。


ペックスに蹂躙された東京はペックスを害獣として認定し
ついには都によってペックス殲滅計画に乗り出します。

かくして一瞬にしてペックスは全滅し日常に戻っていくというストーリー。

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どうですかこの発想の奇天烈ぶり!
男性器と女性器が意志を持って動き出す設定はまさに奇妙を超えたド変態。

そして
世の中から性行為が消えると社会がどう変化するのか
皮肉を込めて描いた手塚治虫の異色作

今読んでもぶっ飛んでますから
当時はもう本当に理解不能だったでしょうね。
いや~改めてすごい作品です。ストーリーも秀逸です。

これがすごいのが今から50年も前の作品ですからね。
50年前といえば
マンガそのものが批判されていた時代
アホが読むものとして言われていた時代に
これほど突拍子もない設定を描いたのは、今では考えられないくらい先進的で攻撃的であったと思います。

しかも手塚治虫といえば「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」といった児童マンガ家として地位を築いていた時代にその真逆を描くこの破天荒ぶり


今で例えると鬼滅の刃の作者が
「女性が不感症になった社会派マンガ」を描いたみたいな感じですよ。
信じられなくないですか?


いやはやただもんじゃないですよ。ほんと。


さて次の作品も負けず劣らず凄まじいですよ。
こちらも男女関係の異様な世界観を描いた作品。


1969年作「月に吠える女たち」


これは一言でいうなら
世の女という女が欲情して男たちを犯しまくるというお話です。

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月の光が何倍も強くなるという異変が起こり
地球上の生物の性ホルモンが異常をきたしてしまいます。
これにより世の中の女性が欲情しまくって男たちを犯し始めるんです。
ご存じのように月と女性のアレの関係性は語るまでもなく
月のバランスの乱れによって
女性の性欲が破壊的にまで高まるというお話ですね。

街中の男が女性に犯されはじめとんでもない修羅場が展開されます。

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(主人公はさえない設定なので主人公だけ犯されないというシュールさ)

しかし朝になり月夜が沈むと何事もなかったかのような日常に戻るのですが
街中には生気を吸われ続けた男どもの無残な姿が転がっています。


昨日の出来事に女性評論家はこう語ります。

「ゆうべ生まれて初めて心から解放された」
「女性は家庭のドレイだったが満月がその拘束から取り除いてくれた」
「あの夜女性は自由に性を享楽できた」
「世の女性よ!月1回の自由を満喫しよう」

…と。

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この発言に世の男性は月に一度の狂気の夜に戦々恐々…。

あの悪夢がまた蘇ってしまうのかと男たちは恐怖に怯えます

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満月の夜に始まる男狩りに
機動隊員2万5千人が出動
ちなみに婦人警官はひとりもいない(笑)

国は防衛費予算を拡大するにまで至り
いよいよ満月の夜を迎えます。


はたしてその結末はいかに…!?


ラストは今となってはあり得ないラストになっておりますが

どうですかこれ、もうとんでもないストーリーですよね。

性の在り方というものを逆転の発想として表現する対比手法。
これぞまさに手塚治虫の真骨頂。

まさにド変態マンガです。
1歩間違えばとんでもないバッシングを受けかねないクレイジーな設定は
マンガという表現方法がピタリと当てはまっていますね。

しつこいですけどこれが50年前の作品ですからね
こんなブラックで風刺の利いた社会派マンガを描いていたのかと思うと
いやはやすごい。

児童マンガの一線を走る作家が対極である風俗風刺を描くって
この時代においては、もはやマイナスでしかないと思うんですよね。

それでも果敢に新たなジャンルに挑戦し
マンガの新しい表現方法に活路を切り開いていくフロンティアスピリッツって手塚先生って本当にすごいと思います。

そしてそんな姿勢、行動力こそが今の日本漫画の発展に他なりません。

ぜひこういったあまり日の目を見ることがなかった
裏の手塚作品を見られてみると面白いかと思います。

すべての方が面白いと感じる作品ではありませんが
こういう側面もあるんだぞということを感じてほしいと思い取り上げてみました。

おしまい



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