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外出自粛の今だからこそ読みたい手塚治虫ベスト5

今回はズバリ!

家にいるなら手塚治虫を読もう。
今だからこそ読みたい手塚治虫ベスト5をお送りします。

こんなご時世ですから家に居なきゃいけないんですけど
家にずっといるのも苦痛ですよね。
何もすることがない、ヒマと言っている人は非常にもったいない。
そんな時こそぜひ手塚治虫を読みましょう。
ヒマじゃない人もちょっと息抜きも必要ですよね。
そんな時に手塚治虫を読みましょう。

人それぞれに色んな不安があると思いますが
思い詰めてもその不安は解消されません、
むしろストレスが増えて免疫力の低下を招きかねません。

違うことを考えたり、適度に気分転換をした方が良いです。

…というわけで今回は
手塚治虫専門youtuberが送る
「外出自粛の今だからこそ読みたい手塚治虫ベスト5」をお送りします。

膨大な手塚作品からむやみにオススメするのではなく
お子様にも読んで欲しいという主旨で選んでみました。
お子様の定義は小学校高学年からとします。

きっと新しい刺激や何かを考えるキッカケになろうかと思いますので
ぜひ最後までお付き合いください。

それではいきましょう!

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「外出自粛の今だからこそ読みたい手塚治虫ベスト5」


第5位 火の鳥


え? いきない火の鳥って感じですか?
まぁ、本当は1位でもいいんですけど全部で12編あって
なかなか全編読むのはしんどいと思うので5位にしました。

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あとね
なんか「とりあえずマンガの最高峰」って言っておけば間違いない
みんなが「マンカ界最高」って言ってるマンガだからケチつけられない。
これを面白くないって言ったら「カス」扱いされそう。
っていう純粋に書評できない…。
そういうハンパじゃない火の鳥ブランドの圧力があって
意外に手に取るまでにいろんな障壁もあると思うんですよね

そこで
ここはあえて言っておきましょう。
安心してください。

「火の鳥」スゲーって言ってる半分くらいの人は…

そのスゴさを理解できていないと思います。(笑)

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試しに「スゲー」って言ってる人に何回読んだか聞いてみてください
3回以下の人はパチモンです。

なぜなら

「何が言いたいのかさっぱりわからん」
これが第一印象

「なんかスゴそうだけど何がスゴイかわからん」
これが2回目

…で3回目が
「手塚治虫ってなんなの?」
これが火の鳥を読んだ時の感想のスタンダードです。

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はっきり言って「初見」で火の鳥の凄さを理解できる人はいないんじゃないかなぁ…。
感覚的に凄さを感じることができてもそれはただの違和感で
言葉で説明できるほど理解できる人は恐らくいないでしょう。

これはね凄いとか難しいとかじゃなく
そういうマンガなんです(笑)
意味不明のマンガ…

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なにが言いたいのかさっぱりわからない。
でも面白い
そしてその意味不明感が
呪いのように一生心の中に居座り続ける
これが火の鳥

だから一度読んだ時の感覚と二回目の感覚。
恐ろしいことに全然違うんです。
あら…不思議。
そういう意味でも一度読んだだけでは
本当の火の鳥の面白さに到達できないんです。
繰り返し読むことで見えてくる面白さの本質。
これをぜひ体験して欲しいと思います。

火の鳥は全部で「12編」あってすべてが繋がっているんですけど
1篇づつ完結しますので1篇だけでも読むことができます。
1つ1つはてんでバラバラで全く関係ないお話しに見えるけど
最後にはひとつに繋がるという物語

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時間に余裕があるなら全編読んで
その壮大な世界観を体験してみてください。

ちなみに世間的なオススメは「鳳凰編」で日本漫画界の最高傑作とも言われているので確かにそれも捨てがたいですが…
ボクのオススメは「未来編」です。

火の鳥の全体のテーマは「輪廻」です。
未来編の舞台は3404年ととんでない設定で
しかも火の鳥の最終話なんです。
火の鳥とは何者か?
これが一番わかるのが未来編だと思います。
まぁ一回読んでもわかんないと思いますけどね。

外出自粛の今だからこそじっくりと読んでみて欲しい作品です。ぜひ!




第4位 ブラックジャック


これもね、、1位でもいいんですけどさすがにまぁ読んでいるでしょ。
これは。だから4位です。

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図書館や学校の図書室にも置いてあるでしょうし
恐らく何らかの形で手に取った方も多い作品だと思います。

そんな超有名作品ですけど、まさかの読んでいない方が1%でもおられるかも知れませんが、これはねもう絶対読んでおいて欲しい作品です。

手塚治虫とか関係なしに日本マンガ界に多大なる影響を与えたマンガ
マンガ読んでいる人またはマンガ好きでまだブラックジャック読んでない人はある意味「モグリ」ですよ。

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これはねマンガを読むうえで絶対に嗜んでおく作法ですから。
絶対に読んでおきましょう。

でも、むしろ読んだことがない方は幸せですよ。
こんなとんでもない衝撃を今から味わえるんですから。
きっと心が打ち震えること間違いありません
もしかしたら生涯最高の1冊に出会える瞬間になるかも知れませんからね。

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全部で20冊以上ありますが
すべて1話完結ですのでどこからでも読めます。
短編集や作品集としても出ておりどこからでも読めますので
ぜひご覧になってください

手塚先生没後も永久に輝き続ける作品。
読まずに人生終えるのはもったいないですよ


はい、ここまではたしなみとしてのランキングでした。
ここからはいよいよベスト3の発表です



第3位 ユフラテの樹


これはぜひ学生さんに読んで欲しい
普通の高校生が思いのままの超能力を身につけたとしたらどうなる?
というお話し

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さぁどうなると思いますか?

学生のみなさんなら世界が何でも思い通りになったら
幸せだなと思うでしょう。

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でも本作の高校生は
「なんでも思い通りになっちまうことが
こんなに恐ろしいことだとは知らなかった」

現実と暴走した精神に耐え切れなっていくんですよ。

自分の許容を超えた「力」の暴走
人間の制御不能な欲望のコントロールが描かれています。

自分のエゴや社会との協調性が欠けた人間の末路を描いています。
人生思い通りになることが幸せなんじゃなく
どう生きていくことが幸せになるのか
を学生に向けて描いた作品です。
もちろん大人も読んで考えさせられる作品ですので
ぜひお子様といっしょに読んでみてください

そして全1巻で読みやすいので
気軽に楽しめる作品だと思います。



第2位 鳥人大系


高度な知能をもつようになった鳥たちが世界を支配し、人間に代わって地球の支配者となり人間は家畜のようになってしまうというお話
手塚版、猿の惑星、鳥の惑星です。

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「人類は歪んだ進化を辿っている」として
地球の主導権が鳥に移っちゃうんです

堕落した人類に未来はないとして
人類は鳥の家畜、奴隷になるんですね
その描写はまぁ見事です。読んでて人類として情けなさを感じますね。

人類への皮肉たっぷりのブラックユーモア作なんですけど
鳥に支配された世界も時が経つにつれ
差別や戦争、格差など醜い歴史を生んでいき
だんだんと人間と同じ歴史を辿るようになっていくんです

最終的にはとんでもない生物に支配者の座を奪われることになるんですけど
人間以外の「何者か」に支配された世界を描き
俯瞰的に人間というものを見つめるキッカケを与えてくれる本作

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人間ってなんなんだろう。
文明の進化ってなんなんだろう。

長い時の流れを感じながら今一度人類の行く末を
ふと考えさせられ自分を見つめさせてくれる良作です。

これでもかと人間や人間時代の文明を否定しながらも
最終的には人間に対して愛に満ち溢れている事が分かるのが手塚治虫のスゴイところです。
ここら辺が超一線級の表現者たる所以ですね。
重そうなテーマですがエンターテイメント性があるので
非常に楽しみながら読むことが出来ます。

人類なら一度は読んでおきたい漫画のひとつです


第1位 きりひと讃歌


賛否両論の議論を引き起こす問題作ですが1位にしました。

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これは医学界を舞台に、
陰謀に立ち向かう一人の医師の運命を描いた漫画です。

顔が動物のように変化する原因不明の「モンモウ病」を調べる内に自分が
この奇病にかかってしまい人生が破滅に向かっていくと言うお話し

醜い姿となり金持ちの道楽としてショーで見世物にされたり
牝犬と交尾させられそうになったり
人間の尊厳を考えさせられる内容が続々と出てきます。

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生々しくて残酷で目を背けたくなるシーンもあるんですが
これは生きることがこれほどまでに苦しいのかという手塚治虫のメッセージだと思います。

本作のメインは醜い姿に変わるこの奇病「モンモウ病」なんですけど
実は姿や形、見た目の怖さを描いているのではなく
それを見つめる
人間の内面の怖さの方が数倍恐ろしいということを描いているんです。
この辺の描写は見事です。
見事としか言いようがないくらい見事。

そして主人公の桐人(きりひと)という名前はキリストにかけてあり
作中で十字架を背負う描写であったり「ゴルゴダの丘」という話もあります。
生きる苦しみを表現する手法としてキリストが受けた悩み、苦しみ、葛藤など宗教的要素も絡めて表現されていて、難しそうに感じるのですが
全然そんなことはなく手塚治虫一流のエンタメ作に仕上がっているので
読み始めると最後まで一気に読み進めてしまう魔力があります。

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そして
もうひとつの『ブラック・ジャック』とも呼ばれるこの作品は、
ブラックジャックよりもリアルでシリアス
医局内の権力争いやそれにまつわる人間関係なども描かれており
現実に、医者としての知識も、医学界の現実も知る手塚先生だけに
めちゃくちゃ面白いです

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あの白い巨塔のような感じなので
白い巨塔が好きな方なら間違いなくハマれる作品ですよ。

現に発表当時は白い巨塔との類似点を指摘されたようですが手塚先生は
「医学界を舞台とした時に権威とかキャリアという要素を抜きに語れない」
と語っておりそれが真実だからしょうがないという
ある種の医学界の封建制度へのアンチテーゼにも見えます。


重厚なストーリーながら全4巻とあっさり読めますので
ぜひともこの機会に一気読みをおすすめします。


さて…ランキングいかがでしたでしょうか。


最後に
手塚作品の中には差別であったり性描写も含んでいます。
発行者側もそれを知ってあえて掲載しています
中には規制させろと言う声もありますが、
そこは思想の自由、表現の自由と言いますか、
そう言う人は現実と漫画の区別が付かない人なんじゃないかと思います。


子供ってそんなにバカじゃないですし善悪の判断もつきます。
いろんなものを見て良いもの、悪いものの取捨選択の判断ができるようになることが教育であり色んなものを規制することで「目的と手段」がごちゃごちゃになっている気がします。
良いものばかり見ていたら余計に何が悪いのか分からなくなっちゃいます

小学生の時に彫刻刀で指を切るから人を傷つけた時の傷みが分かるように
オブラートに包んで鳥かごの外に出ちゃダメって言う方が危険です。
規制ばかりが決して健全とは言えないと思います。
見ちゃいけない描写なら戦争マンガなんて完全にアウトでしょう。

どんなにアレだめ、コレダメって言っても
子供って面白くないものには興味を示しません。
面白いからこそのめり込むし面白いってことが一番大事な事だと思います。
マンガにはその役目を担ってると思います


手塚作品にはどんな悪を描いていようが
物語の根底には「人間愛」が流れています。
手塚治虫の描く愛を感じ取っていただければ幸いです。

それでは復習しましょう。
「外出自粛の今だからこそ読みたい手塚治虫ベスト5」

第5位 火の鳥
案外みんな知らないのでリラックスして読んでみましょう

第4位 ブラックジャック
マンガを愛する方なら読んでおかないとモグリです

第3位 ユフラテの樹
思い通りになる能力って実は怖いというお話です

第2位 鳥人大系
自分が人類と思うなら必読です

第1位 きりひと賛歌
人生は苦しい、だけど立ち向かう
そんな勇気を与えてくれる作品


以上となります。

すでに読んでつまんねーよ
お前のランキングむちゃくちゃだよって思った方。
すいません。

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でも全員を納得させるランキングなんて無理です。
むしろそんなランキングなんて存在しません。


アトムを読んで科学者、研究者になった
ブラックジャックを読んで医者になった
火の鳥を読んでお坊さんになったなど
手塚作品から人生に影響を受けた方は多いです。
お家でヒマしている方ならひとつでもいいので読んでみてくださいね。
もしかしたら人によっては人生変わるキッカケになるかも知れません。


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