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私を構成する5つのマンガ【手塚治虫編】

以前の投稿で
「私を構成する5つのマンガ」という記事を投稿しましたが
この度noteが正式に企画をやっているので
マジのやつをやってみました。


好きなマンガを語ろう!お題企画「#私を構成する5つのマンガ」
企画内容はこちらです。

じゃあ、前のはマジじゃないんかい!


…ってことですが
マジでやると全部手塚治虫になってしまい面白くないので
「手塚治虫以外」という独自縛りでやってました。

ちなみにコレ

今回はマジなんで手塚治虫編で行きます。


そして事前に言い訳しておきます。


マジでやるときっと面白くないと思う。


きっとベタやん!…ってなるから。


でもこれ、しょうがないですよね。
うん、しょうがない。


ってなわけでプチ言い訳かましといて
マジのやつ発表です!


①ブラックジャック


出ました!ベタ中のベタ
でもしょうがない、面白いものは面白い
手塚作品の中で一番読んだかも知れない。
全集版、文化版、豪華版、あと○○版って何回買ったかわかりません。
コレクションしたくて買ったわけじゃなくて
ブラックジャックって短編なんでそれぞれにいろんな話が入っているんです。

もう分かんなくなって、
「あれ?これ読んだことないかな」
って買っちゃうんですよ。

こんなんとか、こんなんされると買っちゃう。

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もしかしたら読んでないかも?って買っちゃう。
読んだことあるのに(笑)

完全にアホです。


でも手塚治虫って書き直しや未収録の量が凄まじい作家さんなんで
世に出ていない原稿が唸るほどあるんですよ。
それを分かっているから「もしかして?」って買っちゃう。

1%でも手塚治虫の読んだことがない作品にお目にかかれるんじゃないかと
心が動くだけで手が伸びちゃうんですよ

最恐にファン泣かせの作家です

だから買ってページを開くと
ほぼ読んだことがある話なんだけれども

「どれが傑作に選ばれたのか」
「どれがどれが人気のある作品なのか」

ふむふむとマンガそのものよりも
その背景を楽しむようになってます。

アホ丸出しな所業なんですけど
それでも毎回読むたびに「面白かったぁ」ってなるんです。
読んだことあるのに…。えへっ

何回読んでも心震える
何回読んでも新しい発見がある

年齢やその時の環境、心理状況、体調など読む人の様々な変化によって受け取る情報が異なるのが手塚治虫の恐ろしいところ。


火の鳥なんかもそうなんですけど
読むたびに、こんなこと書いてあったっけ?
って思えるほど「気づき」を与えてくれます
ほんと、どんだけ巧妙に仕込んでるの?って思えるくらい
ちっちゃい伏線をバラまいています。


この手塚治虫の見えない伏線を回収するのが面白いんですけどね。


そしてブラックジャックから得られる学びって
単に「生命の大切さ」とか「人間は完全じゃない」ってとこだけじゃなく
純粋に「お金」に向き合っているのマンガというのが凄まじい。

「お金」は大切
「お金」がなければ自分の大切なものも守れない
失いたくなければ「お金」を稼ぐしかないって小さい頃に思ったものです。

だけど「お金」は死ぬほど大事と言いながらも
「お金」よりも大事なものを死ぬほど描いています。

手塚先生は
マンガとして「お金」という尺度は登場人物の価値観を数値化できる
便利なものでしか考えていなかったと思います。
ドラゴンボールのスカウターみたいに、数値化できた方が
命への覚悟の度合いが読者に伝わりやすいですからね。

法外な手術料を請求した一方で30円という激安のときもある

命の重さとはお金には代えられない唯一無二のものであるというものを
伝えるために、
進みすぎた資本主義を皮肉る「お金」を対比にして
「お金」の価値を通して「命」を伝える凄まじい作品だと思います。

それをエンタメとして昇華させている手塚治虫…恐るべき才能です。


②火の鳥


言わずと知れたマンガ界最高峰の傑作とも呼ばれる手塚治虫の代表作

これもブラックジャックと同じで伏線の数がハンパない。
というより
一生かかって回収するレベルの凄まじいマンガです

しかもラストの現代編を描ききる前に先生が亡くなったことで
最後の最後、手塚治虫が火の鳥を通して
「伝えたかったこと」「描きたかったこと」
が分からずじまいになっているからさぁ大変…。

手塚オタクはじめ、マンガオタク、文学評論家、大学教授など
有名な著名人もこっぞってその難題に憑りつかれ
それぞれの見解が飛び交っている曰くつきの問題作


まさに手塚版ダヴィンチコード
ワンピースのゴールドロジャーの名セリフ
『探してみろこの世の全てをそこに置いてきた』の手塚版

まさにコレ。

手塚治虫のすべてが火の鳥に詰まってる。
だからみんな火の鳥を解読しようとするんですよね。


だけど永遠に解答が出ない

読む人それぞれの感想が答えと言わんばかりに問いかけてくる
手塚治虫が放つ猛烈なエネルギーはまさに圧巻。


すでに70年近く前の作品になっているのに
何なんでしょうこの存在感
そして読んでも読んでも一向に距離が縮まらない距離感
むしろ熟読するほど離れていく感覚…。

まさにそこに本当に火の鳥が存在して
読者の成長に併せて
「ここまで来なさい」って笑顔で佇んでいる感じ

こんなんマンガじゃないですよ。マジで。

しかし手塚治虫ってとんでもないマンガを残していったもんだわ。

読んだら最後、火の鳥の呪いに憑りつかれますよ、ほんと。


③アドルフに告ぐ


これは小学生の時に読んで完全に打ちのめされました。
よく分かんなくても凄まじさが伝わってくるもんです

そして

ナチスってなに?
ヒットラーユーゲントって本当にあったの?
ユダヤ人ってなに?

のように歴史マンガから「なぜ?」を学び調べたもんです。
その調べたものがひとつづつ理解できるようになってくると
点が線になってどんどんストーリーにさらに没入できるようになります。

戦争という人類の汚点やら
非常時に陥る精神破壊、洗脳
身を置く環境によってここまで人格が変化してしまうのかなど
このマンガから感じ取った事は唸るほどあります。

大人になった今でもその時に得た学びはボクの人格形成において
非常に大きなウエイトを占めるようになっていますね。

単に文字の羅列だけの歴史教科書だけではきっとここまで心の奥底にまで
浸透するような溝を刻みこむことはできなかった事でしょう。


これこそがマンガの持つ破壊的な経験

ストーリーはよくわからなくても
感覚的に伝わる凄みを感じさせてくれたのは
なにより作者である手塚治虫の「描きたい」という
超絶なる執念の業だと思います。


④鉄腕アトム


めちゃくちゃ有名なマンガですけど
意外にも差別史観の強いマンガなんですよ。

アトムが科学の子で正義の味方で
児童マンガの代表作のようなイメージがあろうかと思いますが実は
人間とロボットの間の差別が描かれていたり
かなり社会性が強い作品です。

ボクの中のアトムって強いというより弱いイメージ
いつも悩んで苦しんでナヨナヨしているイメージ
でもそれが手塚先生が描きたかったことなんじゃないかなぁ

当時のロボットって鉄人28号とかマジンガーZとか
ゴツゴツして無機質なロボットが主流

そんな中、
アトムだけが心の弱さを持っているロボットとして描かれているんです。
その弱さこそが最も人間らしくて人間と共存する存在であるという
手塚流のメッセージだと思うんですよね。

そんな人間味を持ったアトムが作中では
人間にロボットだからといって差別的な発言や行動を投げかけられ
心にキズを背負っていく…。
これに当時は共感し心をキュンキュンさせたことを思い出します。

単なるヒーローで強いだけのロボットなら
ここまで人を惹きつける歴史的な作品にはならなかったでしょうね。

人間とは人類とはどうあるべきかを
人類ではない視点から
描かれた究極の作品であると言えます。


そしてその系譜は
「ドラえもん」に受け継がれ主人公にそっと寄り添う
人類共存型のロボットの姿として2作品とも国民的マンガになっていったのだと思います。

アトムのストーリーはあまり覚えていなくても
ロボットの在り方や立ち位置、
そして人間はどうロボットと向き合っていくのか
ロボットを通して人間とはどうあるべきかを問うた作品は
しっかりとボクを構成する要素になっているのは間違いありません。


⑤ブッダ


これも同じく分けわからんけど凄みを感じた作品。
小学校2年のときに初めて読んだけど、
無我夢中で読んだのを覚えています。

それこそ次の日が待てないというくらい
続きが読みたくてソワソワしました。

これまで見たことのない人間、社会、生活、価値観に圧倒されました。
何が面白いのかすら理解できないまま
貪るようにページをめくってましたね。


…で結局最後まで読んでも
何も言葉にできない。

この感動、興奮をどう、誰に伝えればいいんだろうと
困ったという事を思い出します。

同級生で読んでるやつなんていなかったし
親も当時は「マンガなんて」と言われてた世代だし
とにかくこの衝動を誰かに伝えたいわけですよ。

今のようにSNSとかアウトプットする媒体なんて何もなかったし
どう発散すればいいのか分かんないので
自分の心の奥にしまい込むしかなかったんですね。


「生きる」とか「生命」とか「人間」とか「人生」
なんてこのマンガ読むまで考えたことなんて皆無。

そもそも家族ですら「人間」なんて発想がなかった
「お母さん」はお母さんという生物

自分と同じ人間じゃなく「お母さん」という生き物
何言ってるか分かんないと思いますけど…(笑)

ともかくこれを小2で初めて読んで
「あぁみんな同じ人間なんだぁ」
って思ったのを深く覚えています。

お父さんもお母さんもボクと同じ小さい頃があって
同じような悩みや苦しみを経験して親になる。

決して生まれてからすぐ親になったわけじゃない。
ボクの中では、生まれてすぐボクのお父さん、お母さんっていう
イメージがあったんです(アホでしょ)


まぁ言葉では説明しづらいんですけど。

このブッダには「人間とは」とか「差別」などが描かれています。
同じ人間なのになんで差別なんてあるんだろう…。
って小さいながらも純粋に思いましたね。

そしてなぜ「争い」なぜ「苦しむ」んだろうとか
そういう小難しい話をお釈迦様の説法じみたテイストじゃなく
手塚治虫流のエンタメ作として描かれているので
児童であってもすんなり入ってくるんですよね。

こいつは本当に凄まじいマンガでした。


と言うワケで以上5作品、ツラツラとご紹介しました。

まぁ改めて…ベタですね。

面白くもなんともない5作品になってしまいましたが
でも凄まじいんだもんしょうがない。

良いものは良い。
改めて読み継がれる作品というのはケタ違いだということが分かりました。

おしまい。


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