情弱者のババ抜き?〜新築の投資用マンションの罠〜

皆さんも新築の投資用マンションの勧誘を受けたことはありませんか?「老後の年金代わりに」「生命保険代わりに」「節税対策に」さまざまな甘言で勧誘してきます。
では実際はどうなのでしょうか?
今日は数字で解明していきたいと思います。
実際に営業さんからもらった数字。それをどう取るかはあなた次第です。
では行ってみましょう!

どこにあるものを買うのか?

立地です。投資用マンションはイコール賃貸で貸し出す、を世間一般では意味します。私の師匠の一人は

「不動産は値上がりを狙うものだ。その為には東京5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)、できれば3区(千代田区、中央区、港区)で買い、人に貸さずにじっと待て」

と言います。値上がりが見込めるのはその辺しかない、という事です。もちろん長期での事はわかりません。どこが値上がるのかなんて予想はつきません。ただし、長期で見れば少子高齢化なのは間違いない。そう考えると都市部に集中する可能性は高いですね。

投資効率では実際の物件を見ながら計算していきましょう。ここで使う物件は台東区にある実際の物件です。業者さんの計算によると

・物件価格 3,300万円
・ローン金利 1.65%(35年)
・家賃保証なし(家賃保証が必要になるとここにも費用が発生。その点この業者さんは良心的)

収入
・賃料 111,000円
支出
・ローン支払い 103,169円
・管理費 8,850円
・修繕積立て費 1,800円(!?)
・管理代行手数料 3,500円
収支
月々6,319円の赤字

様々な営業マンに会ってきましたが、東京の物件(彼らは値が落ちにくいと口をそろえます)は月々の収支は黒にはなりません

節税効果

上記の赤字に加え、会社員では落とす事が出来ないものを経費として計上する事ができるので、節税対策と業者さんは言います。

年間6,319円×12ヶ月=75,828円の費用を払ってどのくらいの節税効果を見込むのでしょうか。少し高めの800万円の年収の人の所得税率は大体23%。住民税と合わせると33%。75,000円の節税効果を得るには23万円の支出が必要です。

利益はどこから?

上記の計算でわかるように、ローンを払い続けている間は赤字続きです。それを解消するには、
ローンを払い終わった後に家賃で回収
途中売却で利益を出す
の二つの方法が考えられます。

ローンを払い切る

では払い切ると単純な計算でどうなるでしょうか?35年間前提条件が全く変わらずと考えて…

赤字額
6,319円×12ヶ月×35年=2,653,980円約265万円の赤字が出ます
265万円÷(11.1万円-諸経費1.4万円)=27ヶ月

ローンを払い切って約2年で赤字額を回収できそうです。そしてここからは念願の年金代わり!

10年後に途中売却

同じように計算していきましょう

赤字額
6,319円×12ヶ月×10年=758,280円
約76万円の赤字です。
という事はそれ以上の売却益が出れば元を取れることになります。

ではローンの返済は10年でどこまで減っているでしょうか?

10年まるまる払い終えてると残債は25,347,375円。約2,535万円。
これに赤字額76万円を足して、2,611万円。これを越えれば利益が出そうです。

では15年後だとどうでしょう。
赤字額約114万円、ローン残高2,100万円。
合計2,214万円

ちなみに…この地域の中古マンションの価格相場は85.2万円/m2。計算に用いてる部屋の広さは約26m2という事は、現在の価格は
26m2×85.2万円=2,215万円という計算になります。

机上の空論?

上記計算は前提が変わらない事が条件です。ですが不動産は経年劣化が避けられない資産です。ざっと考えられる事を列記しても
・修繕時の一時金
・入居者が変わった時のクリーニング、修繕
・機器類(給湯器、クーラー、レンジ、トイレ、風呂)の交換

ギリギリの計算でやっているので上記一つでも突発事項があると一気に収支が悪化します。もちろん空室リスクも。

修繕積立費の不足

特に気になるのは修繕積立費の不足です。
今回計算に使った物件は20戸。同じ部屋ばかりではないですが、単純に20倍すると
積立基金129,000円×20戸=258万円
修繕積立費1,800円×12ヶ月×20年×20戸=864万円
合計1,122万円

大きい部屋もあるので、全体を1.3倍して、
1,122万円×1.3倍=1,458万円
1.5倍にしても
1,122万円×1.5倍=1,683万円

1,500万円や1,700万円だと足場もかけられないでしょう。これが20年後に積み立てられた修繕費の合計金額なのです。

解決策は

営業マンに聞くと「35年も所有しないで、途中売却です」とこともなげに言い切ります。
ん?「老後の年金代わり」じゃないんだね笑
そして、次の購入者が修繕積立費の一時払い100万円以上を負担するのです。まさに情弱の人たちのババ抜き状態。少し知識がある人は当然修繕積立費の積み立て具合を確認し、将来払わねばならない分を値引き要求します。そうすると始めの購入者が結修繕費の一時金を負担することになります。

まとめ

投資用マンションを購入する場合は計算式に載っていない

・修繕積立費が妥当であるか
・長く待てば持つほど部屋の中の「機器類」の交換費用が嵩むこと
・税金がかかってくること
・売却時は売却手数料がかかること

この辺をきちんと試算に入れて検討することをお勧めします。計算に入れると手を出せませんが…

そしてもう一つ、長く持てば持つほど空室率は高くなり、家賃は相対的に下がってきます。
新築の物件と築30年の物件、あなたはどのくらいの家賃の差があったら納得して「入居」しますか?同じ事をお客さんも考えていますよ。
逆に長く持てば持つほど、ほったらかしていればほったらかすほど複利で増える金融商品もあります。あなたならどちらを選びますか?

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