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ビジネス系リアリティショー メキシコ版Shark Tankが面白すぎる


最近私がハマっている番組の紹介。
世界中でもフランチャイズ的に展開されているShark Tank(シャークタンク)について。調べてみたら、日本で始まった「マネーの虎」が原点だとか。

要はビジネスリアリティショーというわけです。

概要を言うと、事業家たちが自分たちの事業をプレゼンし、Shark(メキシコ版ではTibulonティブロン)たち投資家から投資を募るというもの。


投資が得られなかったら、結構厳しく言われて、ネットで叩かれ…という末路になってしまいますが、コンセプトとしては素晴らしすぎます。(高校生とか大学生あたりがこういう番組を見て、マネーリテラシーやアントレプレナーシップを身につけていってほしいですよね。変なバラエテイを見るよりも…)


今回はメキシコ版のShark Tankについて観察したことを書いていきます。

メキシコ版Shark Tankが面白すぎる

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Sonyチャンネルで2016年からメキシコ版が始まりました。中身はUSA版のメキシコ版ということみたいです。マネーの虎がネタ元になっており、同じく投資家に事業家たちがプレゼンをして、投資を募るという番組。

どんな人たちが投資をするのって気になりますよね。メキシコってまだまだ貧富の差は激しいものの、多くの富豪を生み出しています。

特にカルロス・スリムさんが有名。

自伝みたいなのを持ってるので、読んだらカルロス・スリム記事でも書きます。



さて、メキシコの投資家Tibulon(サメ)はどんな人たちなのか?メインキャストだけさらっと紹介します。なぜなら、事業家にとっても、誰から投資を受けるかというのは大事で、投資家それぞれの得意分野というのがあるみたいです。

Arturo Elías Ayub(通称アルトューロ)

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イケメンのおじさん。センターに座って、メイン的存在(勝手に思ってます)。見てる感じだと、とにかく事業家たちに対して熱い。投資をしてもしなくても、事業家たちへの思いが溢れています。なので、結構投資には積極的な印象。

何をしている人かというと、一言で「メキシコの電気通信界のドン」。(笑)
なぜなら彼が代表(大株主)の会社がAmérica Móvil、TELMEX Telcel、Uno TVとメキシコ通信大手企業を所有しているから。

おそらく得意としているのは、自社メディアを使ったマーケティング・広告だと。

そして彼のYoutubeチャンネルも面白いトピックが挙げられてるので、スペイン語わかる人にはぜひおすすめしたい。

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Arturoさんの動画翻訳記事もやりたいくらい、面白いチャンネル。(いつかやる)


Rodrigo Herrera Aspra(通称ロドリーゴ)

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まず51歳の割にみため若すぎませんか?(笑)肌艶といい!

そんなロドリーゴさん、Gennoma Labという医薬品、コスメティック製品の会社をたった4年で10ブランドを率いて成長させ、さらには8年間で14もの国で販売拡大させ、2010年に「メキシコの代表的な起業家」の一人にも選出された方なんです。

番組内でも炭水化物は食べない、と言っているほど、自身の健康管理にはかなり気を付けていて、そのため50代を超えてもこの美貌を保てるという。

番組での投資の特徴は自身の事業に関連すること、健康的で持続的、自分も共感するようなプロジェクトに対し投資を積極的に行っています。

逆に自分と共感しないプロジェクトになると厳しく(メキシコ料理のジャンキーなものなど)、投資は控えめな印象です。

Patricia Armendáriz Guerra(通称パティ)

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パティさんは投資の世界だけでなく、NAFTAにも財務面で助言役をしたりと、ファイナンシャルのプロです。

経歴も輝かしく、UNAM、ケンブリッジで学び、コロンビア大学で博士号を取得されていて、メキシコのエコノミストです。
今はFinanciera Sustentableの代表で、大手銀行Banorteの顧問、他にも2社のコンサルタントを務めています。

特徴としては、他のサメたちよりも遥かにファイナンス面が強いことがわかります。なのでかなり鋭い目で財政面を突いてくるので、印象としては「これだ!」と惚れ込まない限り、投資には消極的に見えます。ただ、ビジネスに共感したり、ファイナンスの面で固めている事業家には投資をされている印象です。

Carlos Bremer(通称チャーリー)

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絶賛食事制限中のカルロスさん。

Consejo de Administracionの代表取締役で、Value Grupo Financieroの社長で、収益性の低い銀行システムの改善をされています。
小規模から大規模なものまで幅広く投資を行っており、特にスポーツには勢力をかけて投資をしています。また映画監督の経験もあり、スポーツやカルチャー面に対する投資が彼の強みになるのかなという印象です。

食事制限中ということで、料理系の事業家に対しては投資は控えめ。(ヘルシーなものは除く)

|Marcus Dantus(通称マルクス)

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彼の強みは何せスタートアップ。
メキシコだけでなく、アメリカのスタートアップに対して、投資から運営、コンサルタントを行っています。現在50社もの企業に対しコンサル、メンターを行っています。

特徴としては市場規模が拡大しそうなポテンシャルのある分野に投資をしている印象です。

まだまだ投資家はいますが、主要な5名を紹介しました。


Tibulon(サメ)たちはメキシカンオリジナルに食いつく?

投資家の心を動かすのって、どこの国でも法則は一緒だと思います。もちろんそれぞれの国の特徴や市場規模にもよりますが、メキシコに限って、Tibulon(サメ)たちはどういうポイントに食いつくのでしょうか。

ここはメキシコの記事を拝借して、それプラス私が感じたポイントを書いていきます。

1. 原体験
結局投資を手にしている多くの人は、自分の原体験を熱く語れて、それが起業のアイデアや核になっています。

2. パワポ以上のプレゼン
あくまで思いを伝える補助的なものがパワポとかの資料になりますが、そこに頼らず、熱い思いを伝えることの重要性を説いています。
また、実際のプロダクトなど体験できるものがあればベストだとか。

3. ユーモア?もってこい!
完璧なかっこいいプロダクトだけでなく、合理的でないものもShark Tankにて投資を成功させています。馬鹿らしいものであっても、それが事業に繋がることってあるんです。

4. 課題解決
「ビジネスを見つける最も簡単な方法は、嫌いなものを見つけて、それを修正することだ」ヴァージン・エンポリアムの創業者リチャード・ブランソンさんは言っています。サービスやプロダクトが何かしらの課題解決に結びついていることがポイントです。

5. 自分の事業をよく理解している
事業内容だけでなく、原価は?マージンは?どれくらいの生産キャパ?どこに市場がある?投資のリターンは?など、数字面でよく理解しておくことが重要です。なぜならTibulon(さめ)たちは投資のプロ、丼勘定ではいられませんので、このような質問を必ず投げてきます。理解しているということは信頼にもつながります。
ちなみにこれが一番重要じゃないかな、と思います。

6. 意見を受け入れる
自分が創り上げた事業であれば、自分の意見を押し通したいという気持ちはありますが、投資家たちの意見を解釈して取り入れることが重要と言っています。

7. 掛け合い 
ただプレゼンして一方的に投資を募るのはナンセンス。結局投資家は起業家のサービスやプロダクトに投資をしているのではなく、起業家自身に投資をしています。彼らの意見を取り入れたり、インタラクチュアに投資家と対話をし、信頼関係を短時間で気づくことも重要です。

8. 投資家たちもハートはある
結局は投資家が理念や考え方に共感しないと投資は募れません。

9. メキシカンオリジナル(これは大善的視点で)
統計的に100%メキシカンオリジナル(物資調達も含め)は投資に成功しやすいのかなと思います。自分たちのアイデンティティで勝負するという姿勢ですね。


最高のMordida(噛みつき)を得た事業家たちとは?

実際にどんな人たちが投資(メキシコ版ではMordidaと言ってます)を得ているのでしょうか。事業内容についてだけサラッと紹介させていただきます。

なぜ投資をゲットできたのかはビデオでもわかりますが、私の視点で見ると、「市場に課題がある」「ターゲットが明確」「資金調達の目的が明確」とかそういうのんです。

Pizza at night

これは夜の22時から朝の6時だけのピザの宅配サービス。
この時間帯って週末は夜遅くまで飲んだり、友達と集まったりして、ふと「なんか食べたいなー」っていうニーズに応えているサービスです。

外に出るのも億劫だし、コンビニはロクなもんない。
さらにメキシコだと結構普通ですが、みんな夜更かしに強い。(笑)

サイトデザインも優れています。

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Chorizos DM Toluca

私が住んでる街トルーカにあるチョリソー(メキシコ版ソーセージ)屋さん。

何が優れているかって通常は80%か(忘れましたが)ほど脂肪分を含んでいるこのチョリソーですが、ここは20%(か忘れましたが笑)ほどで、かなり脂肪分を抑えています。またトルーカという街はチョリソーで有名な街なので、ここのチョリソーといえばまず100%当たりというわけなんですね。

投資のビジョンが明確(100%メキシカンブランドとして世界に売り出したい)で、必ずニーズが存在するものなので投資をゲットしました。

ちなみに、トルーカに来たての頃に参加したトルーカツアーで来てました。他のツアー客と一緒に謎の写真を撮らされるという思い出。(左のおばちゃんの髪はカツラです)

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La Chilacleta

チラキレスというメキシコのベターな料理で朝ご飯でよく食べます。詳細はWikipedia先生で。

こんな可愛いパッケージで販売されています。
このLa Chilacletaの特徴は自転車の移動販売でお持ち帰りとかを中心にCDMXで販売されているお店です。
味は投資家からもお墨付きで、またアクセスしやすい気軽な感じがウケているんじゃないかと思います。

さらにチラキレスはメキシコ人にとってもかなりポピュラーでジャンキーな食べ物なので、需要は必ず存在する。
移動販売や宅配サービスに特化し、さらに常に需要が存在するチラキレス、ここに魅力があったため投資に成功されました。


J LU Barber College

最近流行り(というと怒られそうですが)のバーバー(理容院)です。
彼らは普通のバーバー経営者ではなく、バーバー育成学校を展開しています。バーバーのテクニカルな部分だけでなく、顧客対応まで教育を施しており、基本的に2種類のコースを展開されています。

価格も手頃でバーバー開業講義が75ドル(月額)、技術講義が99ドル(月額)。コース内容の概略もサイトで公開されています。

私的にはただの開業指導ではなく、雇用創出にもつながるので投資につながったのかと思いました。



ここまでShark Tankの魅力についてだらだら語ってきましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。Shark Tankをお昼ご飯食べてる時にみていて、10分程度のビデオなので、スペイン語がわかる人は是非。

これを機にメキシコのスタートアップや起業家、メキシコ特有のプロダクトやサービスについての記事を今後も書いていこうと思います。

それでは。


また全ての画像は公式HPShark Tank Mexicoより拝借しております。



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