「そのままの君でいて」




そのままの君でいて、的なことを別れ話の際に言われたことが三度ある。
それは私が振られたり、振ったものの実質振られたようなものだったりするパターンにだ。


良く言えば、
魅力的な部分を失くさないでほしい
ということ。

悪く言えば、
でも、それを凌駕する最悪さがある
ということだと私は考える。



だいたいそういうことを言う人は、別れた後も友達でいたいとか、SNSで繋がっていたいとかを言う。いつかまたどこかで出会いたいけど、一旦別れときたいと言った人もいた。

離れたところから見ておきたい魅力はあるが、直接的に関わりたくはない。
自分の手には負えない人。
みたいな感覚って、有名人とか漫画のキャラクターとかに抱くことあるよね。
恐らくあの感覚に近いのだと考えられる。


しかも、嫌いになった部分は、好きだった部分の裏返しだったりもする。
ex)
好きだった部分→情感溢れる、豊かな感性
嫌いになった部分→情緒不安定すぎる
豊かな感性でい続けてほしいけどその情緒不安定さに耐えられないから、離れてたまに見ていたいみたいな。



何だかんだで冷められる結果になるのなら、その特性は魅力でも何でもないやんけ!と、私は徐々に、自分を繕うようになった。






そして今年の春、私はかなり繕った自分で生きていた。なりたい職業に向けて準備を進めていた時期で、ガッチガチに作った自分でその職業の審査に挑もうとしていた。

・前向きで華やかなお姉さん風
・後ろ向きなことは一切言わない
・明るくて元気
・いつもニコニコ
・自分のご機嫌は自分で取れる

みたいなキャラクターを作り上げていた。


この間振られた彼は、そんな私を応援してくれていた。
彼は付き合う前に私に、
「キラキラしたお姉さんって感じ」
と言っていた。
今思えば実像とあまりに違いすぎる。
私は精神年齢が中学生だし、キラキラして見えたのはポジティブぶって常に微笑を浮かべていたからだ。
本当は自虐的でやさぐれていて情緒不安定だし、下ネタばっかり思いつくただのエロガキだ。
でも、その時の私はそれなりにポップな自分になれたと信じ込んでいたから、へへっと鼻を人差し指で擦るような気持ちでいたのだった。




審査では、
優等生なキャラクターを作り込みすぎていて、実際のあなたの個性が見えない
と言われた。

突然崖から突き落とされたような感覚になった。
その職の憧れの人たちへのイメージ、こんな人間になりたいというイメージを体現した自分で挑めていると思っていたのに。
それは作り物だと外からはっきりわかって、本当は違うんでしょ?と突きつけられているような気がした。


そして、私のハリボテの素敵なお姉さんキャラは崩れ落ち、夏の陽炎みたいにジリジリした湿度の高い本来の自分が出てきた。
春の正午みたいな爽やかで軽やかな自分から、一気に夏の夕暮れみたいな重苦しい自分に変わってしまった。
思い返してみれば、化けの皮が剥がれた7月8月は色んなことにブチギレていたし、常が瞳孔が開いてるぐらいに眼光が鋭かった気がする。


別れて半月経った今ならわかる。
彼はきっと等身大のジメジメした私よりも、作り込まれたポップ♪でお姉さん♡な感じが好きだったんだろう。

彼の前ではそれなりに繕い続けたつもりだったが、きっと意図しないうちに本当の自分が滲み出てしまっていて、
彼は、思ってたんと違う…となったのだろう。
知らんけど。



本来の自分を出したら振られるし、作り込んだら審査で落ちる。そして、また本来の自分が出てきたら振られた。





ぐるぐるぐるぐるぐーるぐる






自暴自棄になっていた私はnoteを始めてみた。
noteを始めたきっかけは、友達の初恋エッセイ企画に参加するためだ。初めての投稿の「初恋は呪いだ。」がそれにあたる。
(この時は振られる前やわ)
文章を書くのが気持ち良すぎて、ありのままの自分をさらけ出せるのが心地良すぎて、私は今どっぷりnoteにハマっている。
そのためか、私のnoteはオナニーか!ってぐらい自分が気持ちよくなるために書いてるものばかりだ。

私のnoteを読んだ友達から
自分をさらけ出していて個性がバリバリある
と言われて嬉しかった。
思えば、こんなじっとりした自分の感性を表に出したことはなかった。




私は、私のままでしかいられない。

「そのままの君でいて」なんて言われなくても、例え繕っても、私は私のまま。
理想の、明るくて優しくて頼りになって前向きでいつもルンルン♬なお姉さんにはなれなかった。
「そのままの君でいて」が含む、魅力を凌駕する最悪な部分も、全て私の個性。

結局、自分の愚かさも丸っと受け入れて、体当たりでぶつかっていくしかないのだ、何事も。




というわけで、なりたい職業へ再アプローチをする決心がやっと着いた。
当たって砕けろ!
さすがにこれで上手くいかなかったら諦めも付くだろう。変なエロいバイトも辞めて、また普通の会社員に戻ります。
自分は自分やし、繕っても仕方なくて、この馬鹿さを売りにしていくしかない。
このクソさを受け入れてくれる人と出会ってフォーリンラブするしかない。

頑張ります。

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