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Zen2.0 2022 セッションレビュー 〜DAY1 オープニング&セッション#1〜

2022年9月10日 DAY-1

今年のZen2.0は、久しぶりの建長寺でのリアル開催に加え、オンラインでの同時配信・メタバース空間での試聴も可能という、初の試みであるハイブリッド開催となりました。

建長寺外観①

このnoteでは建長寺のメイン会場「方丈」で行われたセッションのレビューをご紹介します。それではDAY1開幕です!

オープニング:お経・坐禅 / 村田 靖哲さま(臨済宗建長寺派総務部長)


オープニング

般若心経で心を落ち着けた後、村田さまに坐禅をリードしていただきました。冒頭、建長寺の由来に触れた上で、現在も「色々なことを受け入れながら、建長寺という場を使うことを意識している」とのコメントが。Zen2.0の2日間を通して、建長寺の「場の空気」を今後の生活の一助として欲しいとお話しされます。まさに、3年ぶりにリアル開催が実現し、一期一会で多くの参加者が集まったZen2.0の会場の様子ともシンクロするお話でした。

オープニング①

続いて、「椅子坐禅」のご指導を頂きます。「坐禅の『坐』という字は、『土の上に人と人がいる』という様子を表しています。この人と人は、どちらも自分自身。忙しい自分の日常でふと立ち止まり、自分自身を見つめ直そうという意味があります。」なるほど、確かに瞑想を行うと、普段自分が使い分けている複数の役割やロールがゆっくりと一つに統合してくるような感覚がありますね。

「建長寺で座るということは、お風呂に入るようなもの。ここで座る体験が、お風呂の後のように『新しい自分になる』きっかけになります」。そして、村田さまの鐘の音で坐禅開始です。

オープニング②

オープニング③

方丈の龍神様の視線を感じつつ、厳かな空気感の中で呼吸を合わせた後、いよいよセッション開始です!

DAY1 #1 のプログラムはこちら。

スクリーンショット 2022-09-14 13.59.16

登壇者のプロフィールは以下でご覧いただけます。

・スティーブン・マーフィ重松さま

・島田 啓介さま

まず、感謝から始めよう

Zen2.0では既にお馴染みのお二人。リラックスした、ゆったりした雰囲気でセッションが始まります。冒頭、重松さまが「感謝の瞑想」をガイド。「呼吸へ意識を向けましょう。目を軽く閉じて、雑念が浮かんだらその雑念が雲に乗って動いていくイメージで。そして、今自分が何に感謝しているのか、に注意を向けましょう」

重松さん

「命という贈り物の奇跡。全ての生きとし生けるものが繋がっていることの奇跡。わたしたちを愛し守る、私たちを超えた存在の奇跡。そして、ここに私たちが集えていること、同じ空間で同じ空気を呼吸していることの奇跡」

体と心を通じてこれらを感じてみる、何を感じたかに注意を向ける。ゆったりとしたガイドで、会場の空気がしっとりと落ち着いたものに変わっていきます。

インタービーイングと「死の意識」の繋がり

このセッションでは、お二人によって3曲の歌が披露されました。その1曲目、「Precious Human Life(かけがえのない命)」と共に、重松さまがこのように語りかけます。

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「日々、死を意識することが、他者や神との繋がり・意識に繋がっていきます。私は、死にゆく人のベッドサイドで共通のメッセージを受け取りました。それは、『コンパッション』『慈愛』であり、死にゆく人が『私は大丈夫、だからあなたも大丈夫』というものでした。死にゆく人は既に違う世界が見えていて、その死を恐れる私を慰めてくれたのです」

「ある12歳の子は、怖がる私にThree Little Birdsという歌を歌って聴かせてくれました。その歌で、私たちは繋がっているということに気付かされました」このエピソードを受けて、島田さまはお父様を亡くされた時のことを回想します。「父のベッドサイドで長い時間を過ごしましたが、徐々に話ができなくなる状況の中で、父の『呼吸』に意識が集中していきました。そして、私を含む周囲と呼吸がシンクロしてきたのです。父は徐々に言葉を発する力を無くしていきましたが、体は生きようとする。その象徴が呼吸なんです。私たちは普段、意識をしなくても微妙な筋肉の働きが呼吸を継続してくれます。これこそInner Wisdomなのでは、と感じます」「しかし、父の呼吸もだんだんと消えていくのです。それでも亡くなった後に続く呼吸があるのです。私たちがシェアする体験もそうです。これらは亡くならずに続くものなのです」

ここで2曲目、「Three Little Birds」が披露されました。島田さまのギターにお二人の声が乗る、シンプルな演奏が方丈の空間に染み渡っていきます。

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演奏①


ONE LOVE

2曲目の演奏で空気がさらにほっこりしたところで、島田さまからティク・ナット・ハン老師が鎌倉を訪問された時エピソードが披露されました。

ティク

写真は、1995年にティク・ナット・ハン老師が鎌倉の大仏を見学された際の貴重なショットです。この際に、「坐禅や瞑想を通して自分と繋がる、自分の内面へ入っていき、気づきを得るということは、自分という井戸を深く掘って地下水と出会うことに似ています。そしてその地下水は絶えず流れていて、他者と繋がっているのです。これに気づくことができれば、繋がりに気づき、孤独ではなくなります。」島田さまは、当時このような話をティク・ナット・ハン老師が披露されたことを、先ほどの死にゆく人との繋がりとの共通点として紹介されました。

重松さまはこう続けます。「スタンフォードで全く経験のない若い学生に瞑想を教えると、その『繋がり』に気づく瞬間に彼らはとても驚き、同時に他者への理解が深まります。このように、体で知るという意味での体験がとても重要なのです」今日のセッションで音楽を通して対談を展開した理由が、ここで明らかになります。確かに、ここまでの2曲の演奏を一緒に体感したことで、会場の空気は明らかに質が高まっていました。

そして3曲目は、「When you are Mindful」2曲目と同様、ボブ・マーリーのあの名曲One Loveのリズムに乗せて演奏が始まりました。

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演奏②

ギターと声だけというシンプルでオーガニックな演奏であっても、歌そして音楽を通じてメッセージを伝えることがいかにパワフルか。また、歌を通じて参加者皆が呼吸を合わせ、空気を共有することがいかに繋がりを深めるか。そんなことに気付かされた、Zen2.0のオープニングにふさわしいセッションでした。

2022.09.14(text by Joe Okouchi)

<Zen2.0 公式Webサイト>