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『仄暗い水の底から』 怖いですよ。三益愛子もびっくりの新しいタイプの母子モノでもある。

評価 ☆



あらすじ
小さい頃、孤独だった淑美は将来、幸福な家庭に憧を持っていた。ところが現実は異なり、現在は夫とは離婚調停中。娘の郁子の親権をめぐって疲れる日々を送っていた。自分の経済的優位性を調停員に示すため、娘と共にマンションに引っ越すことにした。不動産に紹介されたのはある中古マンションだった。



黒木瞳主演の『仄暗い水の底から』を観る。2001年公開作品である。ホラーはもともと苦手だが『リング』は比較的好きな作品だし、中田秀夫監督、鈴木光司原作のコンビなら悪くないだろうと思った。「まぁ、怖いのもたまにはいいかな」と思いながらの鑑賞でした。出演は黒木瞳、小日向文世など。



結論から言えば「悪くない」けどいま一歩。思ったよりも怖くないし、ホラーという要素よりもドラマ性が強い。その点では『リング』の方が怖かった。ラスト近くは整理されていないせいか「わけわからん」という人がきっと出てくるだろう。監督もそれを前提にして「これでいいじゃない」なんて感じで作っている。



僕は鈴木光司&中田秀夫のコンビは、三益愛子もびっくりの新しいタイプの母子モノとして捉えている。今回も同じだ。『リング』の方が母のエゴイストが見えて面白かった。今回は、自己犠牲みたいな話なのでスッと冷めてしまうところがある。もっとエゴイスティックなホラーならよかったかもしれない。



ホラーの本質は人間がいかに醜い存在であるかを見せるところだろう。その意味では『仄暗い水の底から』はいま一歩の感じが否めない。



それにしても、黒木瞳ってどこかセクシーである。でも、なぜセクシーに感じるかはわからない。女の人ってわかりません。このセクシーさは多分、本人が計算づくなんだろうということはわかるけど。



いや。暗い題材。スガシカオの主題歌が救いでした。加えて、仄暗いの「ホノ」って漢字はなかなか読めないひとが多いことに最近気づいた。そっちのほうがホラーな気がする。



初出 「西参道シネマブログ」 2009-04-26



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