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鳳凰登山(回想)

南アルプス、鳳凰三山(薬師岳、観音岳)

またとない晴天に恵まれての山行となった。
鳳凰は7年ぶり、その時は夜叉神峠の森から三山を縦走して、高嶺~白鳳峠に下ってバスで夜叉神峠の森まで戻った。子供たちも3人一緒に付き合ってくれたが、今回付き合ってくれるのは長男だけ。

11月下旬の鳳凰なので、まだ降雪はさほど期待できないけれど、雪に覆われた白峰三山の展望を楽しみに、芦安の駐車場にて長男と待ち合わせをする。

車1台にて夜叉神峠の森Pに向かう。ここで朝食を済ませて、さあ出発!

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比較的歩きやすい傾斜の登山道からややゆるいトラバース道をこなして
ほどなく夜叉神峠に到着です。ここまで雪はなし。

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夜叉神峠では、前回かなわなかった雲ひとつない青空の中、白峰三山がその勇姿を現します。
右端に鎮座している北岳は、ここではやや控え目だけれど、その存在感はやはり大きいです。
間ノ岳の尾無尾根と弘法小屋尾根に挟まれた細沢は、いつかは遡行してみたいところ。農鳥岳に深く切れ込んでいるのは大門沢でしょうか。
深く切れ込んだ谷と尾根が、雪と岩肌とのよいコントラストを作っていて、雪山はいいなあとしみじみ思います。

夜叉神峠の北斜面に少しだけ凍結箇所がありますが、問題ない程度です。
少し下ってから細尾根を登り返すと、大崖頭山の崩壊地が目の当たりで、ここから薄暗い延々としたトラバースが始まります。
コメツガやシラビソの黒木の中は、単調で気分の滅入る所ですが、
松に似た木肌、ブナのような白っぽい木肌などを見分けながら歩くのも、一人歩きの楽しさでしょう。
そう、すでに先頭集団からは遅れての単独行です。一般的にはお勧めしませんが、お互いにペースも知れ、それなりの登山経験も積んでいるので、
我家的には許される範囲です。

ちょっと開けた所が杖立峠の標柱のあるところですが、本来の杖立峠は一旦下った鞍部で気づかずに通り過ぎてしまいます。
この辺りを歩きながら、今まで経験したことのないひどい睡魔に襲われて、うとうと朦朧と歩いていて、
「もしかして高山病?今までなったことないしまさか」とちょっと不安になりますが、ここは、無理してはダメだと日だまりに腰をおろして、ほんの数分ぐっすりと寝入ってしまいます。
朝起きたのが、2:30と早かったので、たぶんそのせいかなと思うのですが、気分一新、歩き始めることができました。

ここからゆるゆるとやはり暗いトラバースを抜けていくと、ぱっと開けた火事場跡に出ます。
ここまで長かったなあと思わせる場所で、前方には辻山の先端らしい所も望まれて、もう少しと気合を入れ直します。
火事場跡から雪も少しづつ増え始めて、積雪は数cmといった所、もちろんアイゼンをするような凍結はなくさくさくと踏みしめていきます。
こちらはもうトラバースではなく尾根通しに変わるので、樹林の中とはいえ空の広さを感じることもできてだいぶ気持のいい歩きになります。
登りつめた所が苺平で、仙頭星山と甘利山の分岐、そのちょっと先は辻山の分岐です。

長男と相方は、辻山の山頂でそれぞれに気持のいい時を過ごしたようです。
なんといっても展望がすこぶるで、目の前に白峰三山、奥に乗鞍岳、樹林越しの富士山、観音岳、八ヶ岳と飽くことのない展望を満喫したようです。
もう少し体力があったらと思いますがこればかりはしかたがないですね。

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なだらかな登山道をもうひと歩きで南御室小屋に到着です。
ちょうど相方たちがテントを張り終わったタイミングで、昼寝をしてから宴会突入~夕食はこれに具だくさんうどんです。

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今思えば、こんな狭いテントに大人3人よくぞと思いますが、
登山中は極力荷物を削って、最小の装備でいかに快適に過ごすかなので、
当時は全く苦労とかは思わなくて、喜々としてやっているわけでw

途中長男は辻山まで日没を見に出かけます。美しく朱に染まる空と山々、
南御室小屋は山あいのため、展望は望めないと思っていたけれど、
辻山まで足を伸ばせば、素晴らしい日没に巡りあうことができるんですね。ちょっと盲点でした。

翌日、相方と長男は観音岳まで、私は薬師岳まで向かいます。
4時起床、朝食を食べて5時出発です。
真っ暗な登山道を、ヘッデンの明かりを頼りにぐいぐい登っていきます。
樹間から、街なみの明かりや朱に染まりだした空が望まれだしてから、日の出に間に合わないんじゃないかと気持が焦って、もう少しもう少し待ってと、おのずと歩みも速くなります。
こういう時は速く歩けるから不思議といえば不思議。

砂払岳山頂直下は凍結があってちょっといやらしく、砂払岳で日の出を待つことにします。
真冬に比べたら暖かいのでしょうが、やはり稜線の風は冷たいです。

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刻一刻と変わっていく今目の前で繰り広げられる大自然が織りなす舞台のすばらしさ。何ものにも例えようがありません。

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青暗い空を朱に染めていく太陽の力強さと、それを真っ向から受け止める富士山の神々しさ。
そして、モルゲンロートに輝く白峰三山の美しさ(トップ画像)

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充分堪能してから薬師岳に向かいます。
薬師岳小屋に下る岩場が、雪付きだとちょっとやだなという感じですが、まだまだノーアイゼンでも大丈夫。
広い白砂のなだらかな山頂です。

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ここまで来ると、八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳もはっきりと見渡せます。
目の前の観音岳のトンガリもかっこいいですが、今日は私はここまででよしとします。

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相方たちと分かれて先にテン場まで下山します。
砂払岳直下では案の定尻もちです。。。
テントでは二人を待つ間、コーヒーを飲んだり片付けをしたりしてのんびり過ごします。

相方たちは観音岳でその素晴らしい展望をつかみ取りました。

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地蔵岳のオベリスク

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そして甲斐駒ヶ岳

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南御室小屋を後にし長い長い下山では、危惧していた足裏筋膜炎の激痛にまた襲われてしまいます。
痛みさえ出なければスタスタ下れるのになあと、残念ですがもう歯を食いしばって降ります。

昨日は暗くて気付かなかった芦安への林道は、カラマツやモミジ、ミズナラなどが、いい感じに紅葉しています。

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芦安の駐車場から少し下った、ややぬるめの金山沢温泉にゆったりとつかりました。

2013.11.23~24


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