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北ア、後立山連峰縦走2(回想)

白馬大池~白馬岳~杓子岳~鑓ヶ岳~唐松岳

夏山の後立山縦走で歩き残してしまった唐松岳から白馬大池までの区間。SWというまたとない連休がそれ程の時を待たずにやってきた。
不帰嶮の難関を越えるには不安もあってある程度まとまった連休がほしかったが、これはもう行けという思し召し、秋の日の北ア縦走を楽しむことにしよう。
せっかくの4日間なので白馬大池から五竜岳まで縦走、遠見尾根も是非下ってみたかったので、車は五竜とおみスキー場にデポすることにした。
ここから電車、バス、と乗り継いで栂池を目指すのだが、交通機関の接続が悪く、それぞれに長い待ち時間が加算された。

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1日目

ゴンドラリフトに乗り込み、登山開始が10:45というのもなんだかなあだが、時間より経済を優先するとこうなってしまうのだった。
心持ち寒かったので、雨具の上を着込んで出発するが、案の定10分もしないうちに「暑い暑い」と言うのもお約束だ。
相方にはいつもの様に、「どうせ脱ぐんだから少しは我慢しろ」と言われるけど、こればっかりは歩いてみないとわかりません。雲ひとつない青空の下を歩けば、思ってもみなかったナナカマドの赤にどきりとする。

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登山道のジグザグ登りをがんばった先には、ぱあっと開けた天狗原が待っていた。湿原は樹林帯の中からいきなり現れる不思議な空間だ。
こちらは更に紅葉が進んでいて思わずためいき・・・
まさかこんなに紅葉していようとはうれしい誤算だった。
ここから(白馬)乗鞍岳までは大きな岩がごろごろした所を登って行く。

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だんだんと湿原が小さな風景の一こまになっていく様子を振りかえり眺めながら、あそこが山頂、もう少しで山頂とぜいぜい言いながら登っていく。

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飛び出したところはぽっかりと広い空間だった。
わあ~い、山頂どっちだあと登山道をきょろきょろ。広い山頂をケルンの方まで歩いて行く。
そこからやはり不意に現れる白馬大池にも憎い演出するなあとにまにまだ。

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常に大池を眺めながらの岩ごつごつの下り道は、あまりの美しさにうっとりだ。小さな女の子を連れた親子連れもあと少しだよ、がんばって。

白馬大池のテント場は小屋の前から大池の湖畔まで広くゆったりと広がっている。大池寄りにテントを張っていつも大池を眺めながら、あ~この時間からまた延々とビールタイムが続いてしまうんだなあ。
チングルマもクサモミジになってからもまだ果穂をつけていた。

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2日目

白馬大池の朝は赤く染まることもなく普通に明けた。今日もすばらしい晴天だ。
のんびりと朝のひとときを楽しむテント場の脇から白馬岳に向かって歩き出す。紅葉に染まる雷鳥坂はこれから始まる縦走路へのやさしいプロローグ、ときどき大池を振り返りながら紅葉と青空を写す大池の美しさにうっとりだ。

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船越ノ頭に近づくと小蓮華山方面が見えてきた。更に歩を進めると白馬岳、遠くには五竜岳と鹿島槍ヶ岳が重なり合って目に飛び込んでくる。
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富山側はたおやかな山裾を引いて、紅葉と小さな池が見える。

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船越ノ頭を振り返ると、そのはるか先には、高妻、乙妻、左に妙高、火打の山並みが連なる。

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2時間程で小蓮華山の山頂だ。山頂部分が崩落した為立入禁止となっていた。(ってかみんな入ってます)それでも白馬よりに下ると下の方まで崩落の跡が生生しかった。
縦走が進むに連れて白馬岳が迫力で迫り、その先の三山もだんだんに姿を現す。こうして目的のお山が近づいてくるのが縦走の楽しいひとときだ。

富山側は雪倉岳、朝日岳そして日本海まで続く長い長い山並みだ。

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白馬岳の山頂が近づいてくると、思ってもみなかった草紅葉の紅葉が覆いつくす。はっとする美しさにいい山だなあと見入ってしまう。
荒涼とした山頂を想像していただけに、うれしく期待を裏切られた。

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白馬岳山頂でゆっくり休憩してさらに歩を進める。人工物な白馬山荘との対比が良く似合う南側からの白馬岳の眺めもまたピラミダルだ。
進む先には釼岳がくっきりだ。

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丸山からは杓子岳、白馬鑓ヶ岳の展望が大きい。そして先はまだ長い。

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杓子岳の分岐で相方だけ杓子岳に登る。ぜいぜいは白馬中央縦貫?でスルー

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白馬鑓の中腹から白馬岳、旭岳、清水(しょうず)岳を望む。清水岳のお花畑はいつか行って見たいところ。杓子岳から相方はまだ下って来ない。

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白馬鑓ヶ岳はなだらかそうに見えるけれどジグザグ登りは結構な急登だ。
お互いに相手はどこにいるのかなと探しながらの歩きだった。
山頂では相方を待ちながら、団体さんに写真を撮ってあげたり展望を楽しんだりと一人山を満喫した。

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白馬鑓ヶ岳の山頂で相方と合流し荒涼としたガレた登山道を下って白馬鑓温泉の分岐を越える。だんだんとガスが出てきて天狗池のテント場に急ぐ。

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天狗山荘に着いた時はあたりは深いガスに覆われていた。テント場もなんとはなしにさみしい雰囲気が漂う。
ここのテント場はおいしい水が得られ、トイレもペーパーつきできれいだ。
小屋はそれなりに混んでいたようだがそろそろシーズン終盤、缶ビールが売り切れだったのは痛かった。

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3日目

昨晩から立ち込めた深い霧は朝になっても天狗平を覆っている。
岩場が濡れているとスリップは?などと心配の種ばかりがどんどんと増産されていく。天狗ノ頭でついに雨がぽつぽつと落ちてきた。
雨具をつけながらも不安に胸が押しつぶされそうで、相方の後ろをとぼとぼとついていく有様だ。

雨はそんなにたいした降りでもなく、天狗ノ大下りに差し掛かる頃には上がっていった。ガスで回りの風景が見えないこともあって恐さを感じることもなく黙々と下って行く。要所には鎖もあるので不安はない。

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たぶんあのあたりが不帰キレットな所が見えてきて、その先の不帰1峰は富山側に回りこんで越えて行く。

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ときどきガスが晴れるとあたりの紅葉が美しい。一峰を下る。

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すると目の前に二峰がすごい迫力で迫ってくる。
山頂までは見渡せなかったがすごい高度感で先行者が米粒みたいだ。
鎖を使ったり梯子を越えたりやはり対向者とのすれ違いが一番神経を使った。

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一旦長野側にトラバースし、痩せ尾根を更に延々と登って
梯子まで来ればな不帰二峰の北峰はもうすぐ。緊張はしたものの歩いてみれば、あっという間だった。

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あとはさしたる緊張もなく不帰二峰の南峰、不帰三峰とガスの中を黙々と歩いていった。
前方にはおぼろげに唐松岳が見えてきた。途中悪天ではおなじみの雷鳥さんに会い、そして唐松岳の山頂に着いた。

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やはり不帰の嶮を越えてきた満足感は大きかった。歩いているときは淡々となのだが、達成したときの感動はなにものにも変えがたい。
テント場に着き、唐松岳を見上げながらのビールはおいしかった。

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4日目

最終日はついに雨に捕まった。
予定では今日は五竜岳まで行くつもりだったので、車はもちろんテレキャビンとおみ駅Pに止めてある。
1日目に電車待ちバス待ちで無駄に時間を使ってしまったものが、文字通り無駄になってしまうのだが、結局唐松からこのまま八方まで下ることになった。

雨の中テントを撤収してゆっくりと下山にかかる。
晴れていればまぶしい紅葉なのだろうに・・・

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昨日越えてきた不帰嶮が小雨の中ぼおっと浮かび上がる。あれを越えてきたんだなあと、帰る頃というのはちょっとせつないような、誇らしいような気分だ。

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白馬三山の銃走路よりも300m程標高が落ちているので、唐松小屋からの下り道の紅葉は赤、緑、黄のコントラストがきれいだ。

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あとは滑る登山道を黙々と八方池山荘まで下った。
帰りのリフトは雨足がますます強くなってきたけれど、子供連れなどの観光客が多く登ってきていた。寒いんだけど。。。

ゴンドラを降りて、バスを待ったり電車を待ったりの時間がもう煩わしかったので、奮発してタクシーで五竜とおみのテレキャビン駅まで戻った。
雨具が濡れていて脱ぎますかって運転手さんに聞いたら、そのままでいいですよととても親切な運転手さんだった。
体が冷えていたのでタクシーの運転手さんに聞いたJR大糸線飯森駅近くの十郎の湯にすぐに行った。弱アルカリ性のとても温まるいいお湯だった。
建物も和の雰囲気がよかった。
エスカルプラザ2Fで菊池哲男の写真展をやっていたので、もういちど戻って見に行く。五竜岳、白馬大池界隈の各季節のすばらしい写真の数々だった。

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