税金太郎

弁護士です。税務が専門です(といつか言ってみたい)。税務と法務との繋がりに興味がありま…

税金太郎

弁護士です。税務が専門です(といつか言ってみたい)。税務と法務との繋がりに興味があります。法務マンの方々のコメントお待ちしております。

最近の記事

日本の租税法にとって外国法は「法」か、それとも「事実」か?

この文章は、宮崎裕子「国際課税におけるデファクトスタンダード『他国』規範準規範と、『自国』の規範形成」(ソフトロー研究9号79頁(2007年))に準拠(以下、「本文書」)して記載をしています。  まず、本文書では、外国の租税規範又は準規範が、日本の租税規範形成に影響を与えている例をタックスヘイブン税制をあげて説明しています。すなわち、日本のタックスヘイブン税制は、外国において課税が少ないか、課税がない場合に適用される規範です。そして、外国において課税が少ないか、課税がない場

    • 各国の法人税制は一定の型に収束しているか?または、人為的に調和化できるか?

       本文章は、増井良啓「法人税制の国際的調和に関する覚書」税研160号(以下、「本記事」)の記載基に、感想等を記載しています。  まず、現在デジタル経済に対する課税の第2の柱でも論じられている「法人税の過度の切り下げ競争」は、1998年のOECDでも論じられていたらしい。本記事においても「租税競争が進むことで政府の税収調達力が失われれば、国民が望むレベルの公共財を提供し、国家として再分配政策を実施できなくなる」から、「いきすぎた税金の引き下げ競争に歯止めをかけること」が望まし

      • 租税史回廊

        税経通信の記事や、各種講演記事、関連論文をまとめて一冊の本にしたもの。 内容としては、租税の歴史を過去、現在、未来までの歴史を振り返るもの。雑誌の記事や論文を集めたものであるためか、記載内容にかなり重複がある。中里先生の関心分野がどこにあるか分かりやすいというメリットがある反面、同じ内容が度々色んな箇所で出てくるのは少し食傷気味になる。 具体的に、繰り返し述べられているのは以下の点かと思われる。 (1)租税の歴史 まず、ウェストファリア条約による主権国家の成立によ

        • (税務と法務)従業員不正(横領など)が事後的に発覚した場合における重加算税について

          0 あらまし 従業員が横領などをしていたのに気がつかず、税務調査などで発覚することがあるかと思います。その際の重加算税の取り扱いについて検討をしてみたいと思います。 1 要件事実(1)過少申告加算税の規定に該当すること(要件①) *従業員不正が事後的に発覚する場合、通常は、無申告や不納付といった他の重加算税の累計には当たらない場合が多いと思います。ですので、ここでは過少申告の重加算税類型を取り上げます。 (2)納税者が事実の全部又は一部を仮装又は隠蔽(要件②) (3)

        日本の租税法にとって外国法は「法」か、それとも「事実」か?