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「旅の記憶」を模型にする デススト・モデリング

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「DEATH STRANDING」(デスストランディング、以下デススト)というゲームがありまして。

「メタルギア」でおなじみ小島秀夫監督が手がけたPS4のゲームなんですが、これがめっぽう面白い。
舞台は「デス・ストランディング」と呼ばれる謎の大爆発によって荒廃した近未来のアメリカ。
インフラが崩壊し、孤立した都市と都市を荷物の「配送」によって繋いでいくことで、アメリカの再建を目指す物語です。

...という壮大なストーリーとは裏腹に、プレイ時間のほとんどはとてもとても地味な作業を繰り返す事になるのがこのゲーム。
配送センターで重い(平気で200kgとかある!)荷物を受け取って荒野をひた走り、届けた先でまた荷物を背負って...の繰り返し。
中盤からはトラックやバイクが使えるようになるものの、前述の通りインフラが崩壊しているので、車の入れない徒歩頼りのルートも多く、めっちゃしんどい。
いうなれば、「北米大陸横断エクストリーム・ウーバーイーツ」をひたすら繰り返すゲームなんですね。給料もらえないのに。

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↑マジで道なき道を、半端ない荷物を背負って歩きます。

んで、これだけ聞くと「それ面白いの?」って感じなんですけど、なぜか面白いんですよねぇ、これが。
「配送」に関わるディティールの一つ一つがすげーリアルティがあって。
主人公の味わう「しんどさ」をプレイヤーが共に味わい、そのしんどさの分、荷物が届くのを待っている人々からの感謝をもらえるとめちゃくちゃ嬉しいんですよね。

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↑配送の報酬は他人からの「いいね」という某居酒屋チェーンもびっくりなドブラックシステム。しかしこの「いいね」が嬉しいんですよね。

なんかこう、面白さを伝えきれなくて申し訳ないんですが、いまさら私が言うまでもなく、いろんな所で絶賛されているゲームなので、気になった方は他の人のレビューを読んでみてほしい(丸投げ)
そして買ってほしい。

で、デスストについての正面きったレビューをいまさら書いてもアレなので、私が特にいいな〜と思った所をひとつ。

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主人公のプライベートルーム(旅の準備やセーブをする部屋)に飾られているミニチュアです。

このミニチュア、エモいんすよ...。(語彙力)
なにがエモいって、このミニチュアは「記憶を呼び起こすカギ」の役割を担っているからです。

これ、パッと見だとようわからんただのミニチュアなんですけど、このゲームで主人公と苦楽を共にしたプレイヤーからみると、旅の思い出一つ一つが形になって飾られている様に感じるんですよね。

どういう事かと言いますと、
例えば、写真のアルバムとか、旅行のお土産を見れば、普段は忘れている楽しかった旅行の思い出や、その時に話した下らない会話の内容までリアルに思い出す事ができますよね?
この時、アルバムや土産物はドルチェ&ガッバーナの香水よろしく「記憶を呼び起こすカギ」として働いています。
んで、デスストでは、この「カギ」の役割を先程のミニチュアが果たしているんです。

主人公の部屋のミニチュアは、旅の進行に合わせて少しずつ増えていきます。
ミニチュアとして飾られるのは、旅のハイライトである敵ボスキャラや、配送を支える道具など様々。
その一つ一つに旅のしんどかったり嬉しかったりした思い出が詰まっています。
ミニチュアが段々と増えていくにつれて、プレイヤーがゲームで遊んだ思い出もまた積み重なって行く。
そして、それを見返せば旅の記憶を振り返る事ができるのです。エモいんだよなぁ...。

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はい、というわけで、プラモで再現しました。(唐突)

エモいものは立体でほしい。モデラーの性です。
画面の中だけじゃなくて実際に手に取れると嬉しいんじゃ...!!

残念ながらデスストのメカのプラモは世の中に存在しませんので(めっちゃ買うから開発してくれ!!)、既存のそれっぽいメカや人形を色だけ揃えて塗っています。
近くでよく見るとゲームと全然ちゃうやん!ってなりますが、重要なのはリアルさではなく「記憶を呼び起こす」ことができるかです。
これを見るたびに、私の中ではデスストの旅の記憶が蘇るので優勝です。おめでとう、ありがとう。
ポーターがあなたの優勝に追加で1いいねしました。(?)

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トラックは1/48、バイクは1/35と縮尺が異なるんですが、並べた時のサイズ感はゲーム内のイメージ通りで最高。

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モンスターエナジーもゲーム内の重要なアイテムです。
ゲーム内ではスタミナ回復アイテムとしてジャブジャブ飲んでますが、モンエナの飲み過ぎは内臓が「壊れ物」になってしまうのでNGです。気をつけましょう。

デスストの世界では、発達したホログラム技術によって、人と人とが実際に会わなくても、あたかもそこに居るように会話をする事が可能です。
また、データと3Dプリンターさえあれば大概のものは遠隔で生産できてしまいます。
そういったバーチャルで生活のほぼ全てが賄えてしまう世界において、ホログラム投影された写真や置き物などではなく、あえて実体のある、手に持つ事ができるミニチュアという形で記憶を残すということ。(もちろん、ゲーム画面の中の話ですが)
そういう、物の「実感」に対してめちゃくちゃ意図を持ってミニチュアを配置してやがんな〜という感じがして、このゲーム内のミニチュア演出がめちゃくちゃ好きなんですよね。
(そもそも主人公の旅がバーチャルで賄えない物を運ぶ旅でもあります)

作り手のそんな思いを、勘違いかもしれないけど勝手に受信し、カタチにしたデススト・モデリング。
めっちゃ楽しかったし、作るのがラクなのでオススメです。よかったらマネしてみてね。
それでは。

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