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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【2月8日㈬~2月14日㈫】

この通信がアップされる頃、私は機上の人。16日から始まるベルリン国際映画祭に3年ぶりに参加してきます。

2020年2月のベルリン出張時、日本では既に横浜港に寄港したクルーズ船内での感染が連日報道されており、一方ヨーロッパでも映画祭期間中にイタリアで感染爆発が起こり、世界が“コロナ時代”に突入した“序章”とも言うべき時期でした。コロナが中国由来とされて、「欧米ではアジア人差別が起っている」との情報もあり、多少の緊張感を伴う滞在だったと記憶していますが、幸いベルリンでも帰りに一泊したロンドンでも、露骨な差別に遭う場面もなく、無事に帰国しました。あの頃は「コロナ終息」というニュースが、何ヶ月か後に流れて来て、また元の日常が戻るのだろうと楽観的に考えていた気がしますが、そう簡単にその日が来ることのないまま、丸3年が経過してしまいました…。

去年の6月、南イタリアのレッチェで開催されたイタリア映画の新作ショウケース、イタリアン・スクリーニングに参加したのは当通信でも書きましたが、相手先がイタリアのセールス会社に限られ、バイヤーとして参加した日本の会社はうちを含め3社のみだったので、いわば復帰に向けての“予行演習“。今回が本格的な復帰第一戦という感じです。行程も8泊10日と長めで、しかも冬の寒い時期に寒い都市へ出かけるので防寒の仕度も必要。以前はルーティーンで深く考えずに、毎年同じような服をスーツケースに突っ込んでいた気がしますが、何を突っ込んでいたのか、もうすっかり忘れてしまっているので、初心者な気持ちで慎重に着替えを選ぶところから始めています。

ところで冒頭の画像ですが、ベルリン映画祭、というと、いつも同じような会場の写真しか貼っていない気がするので、今回は意表を突いてニット帽の数々(笑)。パッキングの最中、引き出しから出して並べて撮ってみました。全部持って行くワケではありません。この中から必要最低限のものを選ぶ、取捨選択の途上。ラン用のものは毎日洗濯する必要があるので複数あったほうがいいし、同じニット帽を10日間かぶり続けるのも飽きてしまうので、いくつかあったほうが良いかな…などと頭を悩ましているうちに、昨夜は時間切れとなりました。そんなことより映画祭の上映作品の情報を集めるほうが先だろ!と、言われる前に自分で言っておきましょう(笑)。

ただでさえ寒い土地に出かけるため、ヒートテックのシャツやらタイツやら、かさばるものが多いのですが、私の場合は出張中に毎朝走る気でいるので、その分荷物が増えてしまいます。ランニングシューズはもちろんのこと、ウェアも洗濯して干してもすぐには乾かないので、上下2セットぐらい無いと回せません。何なら雨対応のパーカなどもあったほうが良いかも…とか(雨でも走る気か?)。ホテルにコインランドリーが併設されていれば、ウェアも下着もそんなに持って行く必要はないのですが、あいにく滞在するホテルには無いし、基本仕事しに行くのだから、出来る限り雑事に時間を取られないようにしたいので枚数が必要…、と言うなら走らなきゃいいんですが(笑)。

ヒートテック下着だ、ニット帽だ、ランウェアだ、などという話はどなたも必要としていないのは確実なので、この話題はこの辺で止めておきますね。それより少しはベルリン国際映画祭についての有益な情報をお届けしなくてはなりません。映画祭は金熊賞(グランプリ)を競うコンペティション部門、それに次ぐパノラマ部門、映画祭とは別組織で運営されている(と、私は今調べてみて初めて知りました!)フォーラム部門、子供が主人公の映画を集めたジェネレーション部門(2段階に分かれています)、3年前に新設された(尖った系の映画を集めた印象のある)エンカウンターズ部門、過去作の特集であるレトロスペクティブ部門、ドイツ映画部門の、計7部門から成り立っています。

バイヤーの立場で参加する私のような配給会社の人間は、映画祭と同時開催のEuropean Film Market(通称EFM)と呼ばれる見本市のメイン会場、街の中心地ポツダム広場から数百メートル離れたMartin-Gropius-Bau(通称MGB)という美術館で、各国のセールス会社のブースを巡って担当者とミーティングをしつつ情報を集め、気になった作品を試写する流れとなります。複数名で参加している会社は、最初からミーティング要員と試写要員の二手に分かれて動き、連絡を取り合って試写する作品を決めたりしていますが、私は前半の3日間は朝10時から夕方の18時過ぎまで、みっちりミーティングして、中盤以降を試写に充てるつもりです。「そんな悠長なことを言ってたら、良い作品は先に買われちゃうんじゃ?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、ザジの場合、先を争って買い付けることはほぼ無いので、焦る必要はありません。掘り出し物を見つけるべく、細かく情報をチェックしつつ、マメに動くのみ、という、いつものやり方で頑張ります。

はたして幸福な出会いはあるのでしょうか?次回の通信の更新は22日の予定。その時は既にマーケットでの仕事も終了しているので報告をお待ちください。おっ、そろそろ経由地のロンドン、ヒースロー空港に到着するようなので、この辺で失礼します(なんつって、これ書いてるのはまだ出発前です)。

texte de Daisuke SHIMURA






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