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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月1日㈬~3月7日㈫】

アカデミー賞の授賞式が、日本時間の来週月曜に迫ってきました。うちはパブリシティを担当している『逆転のトライアングル』が作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされているので、仕事において全く関わりがない、というワケではないのですが、一映画ファンの立場で発表を楽しみにしている感じです。昨夜のTBSラジオ「アフター6ジャンクション」は、アカデミー予想がライフワークのMs.メラニーさん、オスカーノユクエさんがゲスト出演して、主要6部門の受賞者を予想するという回で、思わず聴き入ってしまいました。

私は作品賞候補の10作品、何本観てるのかな?と数えてみたら、日本での公開はちょっと先の『TAR ター』ウーマン・トーキング 私たちの選択』、上映時間の長さに躊躇してしまった『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、家のテレビで観るパワーが出ないまま未見の『西部戦線異状なし』の4本以外の6本でした。観た中では、個人的好みで言うと『イニシェリン島の精霊』が断トツなのですが(その次に支持したい『エンパイア・オブ・ライト』はノミネートもされなかった…)、今の流れから言うと作品賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスに行く可能性が極めて高いのでしょう。受賞に期待がかかる『エブエブ』の俳優勢を筆頭に、受賞者のスピーチが今から楽しみです。

仕事的に言えば、どちらかと言うと国際長編映画賞のほうが身近なザジフィルムズですが、今年はどう考えても『西部戦線異状なし』一強という感じであまり面白くないかも。『EO』『クロース』が獲れば、今後の興行が盛り上がる一助になるのだろうけど…。そう言えば、候補作の1本、アイルランドの『The Quiet Girl』は日本の配給は決まっているのかな?

アカデミー賞が終わると、次はカンヌ、ということになります(その前に私的には大阪アジアン映画祭があります!)。コロナ禍において、3年前はオンライン開催、一昨年は時期を7月にズラして、去年は同時開催の見本市は縮小されていたようですが映画祭自体はほぼ通常通りの開催、と段階的にコロナ前の状態に戻してきましたが、今年は完全な形での開催になりそう。ザジは、去年も一昨年も参加しなかったので、行くとしたら4年ぶり。ベルリン参加前は、「経費かかるし、体力的にもしんどいし、今年もカンヌには行くのやめようかな…」とぼんやりと考えていたのですが、ベルリンに参加して、やはり集中してミーティングをしたり試写をしたりするのは効率が良いな、と実感したので、参加の方向で準備を始めたところ。映画祭への参加登録のアーリーバード(早割)が3月3日までだったので、心を決めました。

が、しかし、問題は宿。前にも書いたことがありますが、コロナ前まで、カンヌ映画祭はいつも同じ3ベッドルームのアパートを借りて、社外の方も1名同宿して、男3人で合宿のような滞在をしていました。会場のパレ・ド・フェスティバルまで徒歩15分以上かかるけど、その代り静かで、とても快適なカンヌライフ(笑)。一番有難いのは家賃がリーズナブルなところで、会場に近い3ベッドルームのアパートなど、借りようとしたら期間中100万、150万はザラに取る物件がほとんどなのですが、激安ではないにしろ、目玉が飛び出るほどではありませんでした。が、普段パリに住んでカンヌのそのアパートを別荘として使っていたオーナー夫婦が、コロナ禍の影響で、パリを引き払いカンヌに居を移すことを決断、留守の間の期間貸しは、もうしてくれなくなってしまったのです。

13年間連続で借りていたカンヌのアパート。そんなに使っていたのに写真はこれ しかなかった…

なので、ここのところ毎晩のようにネットをさまよってBooking.comやらHotel.comやらでアパートを探す日々です。完全に出遅れているので、高いところしか残っていないのが実状。たまに激安の出物があったりするのですが、相場に比べてあまりにも安いものは逆に用心しなくてはなりません(過去に「現地に着いたら、予約して料金支払い済みなのに、そのアパートが存在しなかった」などと言う悪質な詐欺の被害に遭った方もいらっしゃいます)。負担の少ない料金の物件を探していると、どんどん中心地から離れ、会場まで徒歩30分ではたどり着けそうにないエリアになってしまうので、いっそのこと電車で隣町のジョアン・レパンやアンチーブにしてしまおうか…とも思うのですが、電車の本数が多いワケでもないし、下手をするとストライキに当たったりするので(わざわざ映画祭を狙ってストをやったりするから困りもの)、出来れば避けたい。ならば!と路線バスで通えるエリアに範囲を広げて、引き続き探している最中です。日本でもバス通勤なんだから、カンヌでだって…(笑)。予算が潤沢にあれば、こんなに苦労はしないのに…。貧乏が憎い。

最後に。3月4日㈯より、新百合ヶ丘駅近くにある川崎市アートセンター アルテリオ映像館で、ジャン・ルノワール監督の『どん底 4Kレストア版』が初日を迎えたので、ご挨拶を兼ねて観に行ってきました。アートセンターの15周年記念事業で、買付けのお手伝いをさせて頂きました。とても85年も前の映画とは思えない映像の美しさ!新百合ヶ丘って、新宿から小田急線の快速で20分ちょっと。ぜひご来場ください!

texte de Daisuke SHIMURA









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