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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【9月13日㈬~9月19日㈫】

現時点で全国21の劇場で好評上映中の『オオカミの家』渋谷シアター・イメージフォーラムでは18日も、祭日で、かつ月曜サービスデーという好条件もあって、もう5週目に入っているというのに、初回から3回満席が続きました(4回目も数席を残すのみ)。連休明け、劇場の方と電話で「一体何が起こっているんでしょう?」と、驚くやら、嬉しいやら。ご覧下さった皆様にあらためて御礼申し上げます!

TBSラジオ(全国5局ネット)の「伊集院光 深夜の馬鹿力」という番組内で、伊集院さんが『オオカミの家』を観た感想を語って下さったのは、その日の夜。こちらから仕込んだワケでもなく、こうして自発的にご覧下さり(ハライチの岩井さんから「とにかくスゴイから観て下さい」とお薦めされたそうです)、番組で取り上げて下さるのは本当に嬉しいです。曰く「何がなんだか分からない」「話してる僕がついていけていないのに、聴いてる人がついてこれなくて当然」「他人の悪夢をずっと見せられてる感じ」…と、熱を入れて(CMを挟みつつ)約20分、語り倒して下さいました。翌朝、X(旧ツイッター)をチェックすると、ラジオを聴いて「観てみたい!」とポストして下さっている方、多数。番組はRadikoでの視聴可能期間が終わってしまったみたいなのですが、youtubeにもあがっているようなので、チェックしてみて下さい。

喋るのがお仕事だから当たり前なのかもしれませんが、伊集院さんの語りは抜群ですよね。比べるのもおこがましいですが、私は本当に下手くそ。先日も自己嫌悪に陥りまくりの出来事が…。

当ザジ通信、業界内で読んで下さっている方もいらっしゃるので、おそらく何人かの方の目には触れていると思われますが、先日某業界紙に“『オオカミの家』がなぜヒットしているのか?“みたいな記事が、私へのインタビュー込みで掲載されました。取材を受けている最中も「あぁ、何でもっと気の利いたことが言えないのだろう…」と自分でも感じてはいましたが、出来上がって来た原稿を、入稿前にチェックさせて頂けたのですが、今さらながら言ってることが幼稚極まりない。でも、言い回しを大幅に変えたり、言ってないことを付け足したりするのも憚られるので、何か所か細かな部分の修正をお願いするにとどめて、大筋には「ま、いいや」とOKを出しました。

が、数日後に届いた掲載紙をあらためて読んで激しく後悔。もっと熟考してコメントし直して、加筆修正してもらえば良かった…。何人かの同業者の方が「読みましたよ」と連絡を下さったので、「お恥ずかしい限り。ホント、私本人が読んでも、この人スゲー頭悪そう、って思います…」と返しました。実は「そんなことありませんよ!」と否定してくれる返事を期待していたのですが、そこには触れないか、「ドンマイ!」的な返事しか来ませんでした。二重にショック(笑)。

以前からありますが、特に最近増えてきた気がするのが、劇場での“アフタートーク”。来日中の監督が観客の質問に答えたり、作品内容に沿った人選で、識者の方が、その作品の背景を説明してくださったり。その際MCはその道のプロの方に頼むことが多いですが、その作品の配給会社の人間がMC役を務める場合もあるのはご存じかと思います。私も他社さんの配給作品のトークイベントをちょこちょこ見せて頂いたりしますが、配給会社の方が、器用にその役をこなしている姿を羨ましく思って見ています。私には出来ない…。
なので、ザジの場合は、私ではなく宣伝担当の2人がやってくれています。身内なので最初の頃はハラハラもしましたが、最近はこなれてきて、安心して見ていられるようになりました。

なぜそこまで舞台に立つのが苦手なのでしょう。それはトラウマがあるから。以前もどこかで書いた記憶があるのですが、それは小学校3年の時の学芸会に起こりました。私のクラスは「一本のロウソク」という民話だか昔話だかを上演しました。村のあぜ道に落ちていたロウソクをめぐる騒動を描いたお話で、私の役は“知ったかぶりの和尚さん”。誰もロウソクを見たことがない村人たちが、使い道が分からず揉めているところに現れて、いい加減な使用方法を長々と演説する、というシーン。その長セリフの最中、頭の中が真っ白になって、セリフが出てこなくなってしまったのです。続く沈黙…。

舞台の下から担任の先生が、セリフを小声でささやいてくれています。それは助かるのだけど聞こえない。何度も繰り返してくれるのですが、やはり聞こない。堪え切れず「えっ?何だって?」と先生に駆け寄る私。体育館内はそこでドッと爆笑。それはもう、映画『キャリー』のクライマックスシーンのよう。児童、先生、父兄が爆笑している姿がいくつもの円形になって、クルクルと回っている感じ(笑)。覚えているのはそこまでで、どう乗り切ったのかは全く記憶にないのですが、これが原因で私は今でも極度の“あがり症”なのでした。この歳ですから、今まで断り切れずに披露宴関係(祝辞やら、乾杯の音頭やら、実は司会も!)とか、いろいろやってきましたが、満足にこなせたことは一度もありません。3年前、岩波ホールでのアニエス・ヴァルダ監督の特集上映の際の2日にわたるオンライン対談(1日目は安藤玉恵さん、小泉今日子さん、渡辺真起子さん、2日目は井浦新さん、斎藤工さん)のMCをやった時のことを思い出すと、今でも手のひらにじっとりと汗をかいてしまいます。

こちら、本文とは関係ないのですが、安定のMCで定評ある某Y氏のウクライナ映画上映会の一枚。

今週のザジ通信は伊集院光さんの素晴らしい話術の話題から始まって、需要があるとは到底思えない、こんな自分語りの回になってしまいました。しかも何のオチもありません(笑)。今さらこの歳になって“あがり症”が克服出来るとは思えませんが、次に舞台に立つ機会があった時は、ネタ作りのために敢えて引き受けてみようかな…。いや、やっぱりムリ。

texte de daisuke SHIMURA





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