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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【5月10日㈬~5月16日㈫】

5月16日から第76回カンヌ国際映画祭が始まりました。コロナ禍の影響で2020年は現地での開催を見送り、2021年は7月に時期をずらしての開催、そして去年ほぼ通常開催まで形を戻していましたが、私は去年はまだ渡航を控え気味にしていたので、実に4年ぶりのカンヌとなりました。

パリからの乗継便の出発が2時間近く遅れたために、アパートに着くのが22時半を過ぎてしまいましたが、事前に到着が遅れた場合の鍵の引き渡し方法をメールで貰っていたので、キーボックスから鍵を難なくピックアップすることが出来て、先ずは第一関門突破。しかし、初めて滞在するアパートは1階に自動車修理工場があるせいか、エントランス周りは雑然としており(何故か玄関前に、修理中と思われる小型船舶が…)、建物自体も「下町風情がある」という言い方も出来なくはないけど相当古く、内部への不安が募ります。が、中に入るとそこは小じんまりはしているけど、リノベーションが施されていてスッキリした印象の、リビングダイニング&キッチンを挟んだツーベッドルームの、使いやすそうな物件でありました。やれやれ、ホッとひと安心。これから8日間お世話になります。

小型ヨット?があるので、出入りしにくい(笑)。

先週の当通信で触れた“ピエール(仮名)脅迫もどきメッセージ事件”は、読んでくれている知人友人から、予想外に心配を頂いてしまったのですが、ピエール(仮名)のアパートも無事借り手がついたのでしょう。あれからは何も言ってこないので、もう大丈夫だと思います(たぶん…)。

そしてお次はキッチン備品あるなしチェック。ん~、これは13年続けて借りていたアパートと比べるべくもなく、無いものだらけ。食器も似たり寄ったりの大きさの皿がごっちゃりあるだけで、ご飯茶碗と大小の汁椀をダイソーで仕入れて来てやっぱり正解だった!という感じ。到着した晩から、すぐに自炊生活に突入しラーメンを作成したのですが、持ってきた大きめの汁椀が早速役に立ち、鍋から直接食べる、という蛮行(笑)は避けられました。…ってせっかくカンヌに来ているのに、私ってば一体何を長々と書いているのでしょう?アパートネタはこのぐらいにしましょう。あ、最後に一つだけ。これから味噌汁はもちろん、カレーやシチューを作ろうというのに、オタマが 無いのに気づきました。フライパン返しが無いのはどうにかなるとして、オタマが無いのはかなり困ります。なので、翌日“フランス版ダイソー”みたいな店で、3.99ユーロでオタマを買ったのだけ、ご報告しておきます。

大型スーパー「MONOPRIX」では8.5ユーロでしたが、こちらは3.99ユーロ

翌朝は、しっかり時差ボケで午前5時前にパッキリ目が覚めてしまいましたが、とりあえず体力を温存するために今日のところは朝ランはやめておき、純和食の朝食を摂った後は、早めにマーケットのメイン会場となるパレ・ド・フェスティバルに出向きレジストレーション。すでにネット等でご覧になっているかと思いますが、今年の映画祭のメインビジュアルは1968年のアラン・カヴァリエ監督作『別離』撮影時の、サントロペの海岸を背景にしたカトリーヌ・ドヌーヴのショットが使用されています。素敵です。

ドヌーヴご本人は、この写真から55年を経た今も現役バリバリ。凄いです。

パレ・ド・フェスティバルの会場内は4年前と特に変わりはないように思いますが、いくつかある各部門毎の映画を上映するホールの一つが、“Salle Agnes  Varda”となっていました。これは去年からだそうで、以前は確か“60回記念ホール”みたいな名称でした。隣接する“Salle Bunuel”と同様に、こうしてカンヌに名前を残すのですね。

いかにもヴァルダさんが好きそうな外壁の色!

コロナを経て街中はさぞや店も様変わりしているのだろうな、と想像していましたが、そこまで「激変」という感じではありませんでした。しかし今回、アパートから会場へ向かう途中にある鉄板焼き屋「TOKYO」が閉店しているのを知りました。アパートでの自炊生活方式になってからは、ここ10年以上行っていなかったので、正確には何年前に閉店になったのかは分かりませんが、ガランと廃屋になった店内が外から見えて寂しい限り。確か経営しているシェフとサービス係のご夫婦はベトナム人だったのかな。シェフのBENIHANA的パフォーマンスが懐かしいです。

外されていなままの看板が寂しいです…。

この店で思い出すのは、是枝監督の『誰も知らない』が上映された年のこと。『誰も~』の配給会社の方で、劇場の編成も担当していた女性(今は独立してプロデューサーをなさってます)と会食した帰り道、彼女が「柳楽優弥君が主演男優賞でも獲ったら最高なんだけどね」と話していて、その数日後その通りになって嬉しくも驚いたこと。つい数年前のような気がするのですが、もう19年も前の話なのですね。

昨夜はその是枝監督の『怪物』がコンペで上映されていました。さて、今年はどの作品にパルムドールが渡るのでしょうか?私も安いオタマとか街中を捜し歩いてないで、頑張って仕事します!

texte de Daisuke SHIMURA


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