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塩人(しおんちゅ) (毎週ショートショートnote参加)

夜中にほとほとドアを叩く音がして、開けるとそいつが入ってきた。子供が作った人形のように不恰好で、透き通るほど白い生き物。

「なんだ、お前」
「ちおんちゅ、ちおんちゅ」

それしか言わないが、丸い目と上がった口角から笑っているのはわかる。ちおんちゅは俺以外には見えないようだが、犬にはよく舐められる。毎日散歩に連れ出されるので、運動不足だった俺はたくさん汗をかくようになった。

子供向けのアニメを観て一緒に笑ったり、時には涙を流す。クズだった俺の暮らしはすっかり人間らしくなった。

ある日、ちおんちゅが小さくなっているのに気づいた。膝くらいまであった身長が半分になっている。

それからも、ちおんちゅはどんどん小さくなり、ついに指の腹にのるほどになった。

「なあ、ちおんちゅ、お前どっからきた?」
「ちおんちゅ、ち ぉ‥」

俺の人差し指の上でほろっと崩れて白い粒になったちおんちゅをぺろっと舐めた。

「そうか、お前、塩人って言ってたんだな」

(410字)

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