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あざらしが秋にやってきた「あざらしのひと」感想文

急に寒さを感じはじめていた10月のある日、Twitterをみていたら不思議な書き込みを目にした。
「『あざらしのひと』がうちに届いていました。嬉しい」
えっもう?
発売日は12月3日と発表があったはずだけど。

半信半疑でポストまで走り、中を覗いてみてみたら、うちにも届いていた。

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よくみたら、ちゃんと丁寧なメールが届いていて、手元にあるわずかな在庫分を早めに発送いただいたようだ。大変にありがたい。

『あざらしのひと』は作家の浅生鴨さんの最新エッセイ本だ。
浅生鴨さんは、出版される本の切り口やテーマによって様々な文体と表現で文章を自在に書きわけていく。

その表現と見ている視野の広さ。
感じている世界の伝え方が凄く大きい。
どこまでも世界を広く大きく伸ばしていく。

今回のエッセイは、どんな切り口で読者の私を何処に連れていってくれるのだろうか。

もう、浅生鴨さんの最新本が読みたくて読みたくてしょうがない私は、あざらしのひとの発売予約日にさっそく注文した。

注文したのが9月の上旬ぐらい。
9月の下旬には、浅生鴨さんの会社(ネコノス合同会社)から出版される『寅ちゃんはなにかんがえているの?』という本の発注会のイベントがTOBICHI東京であるとTwitterなどで告知されていた。

『寅ちゃんはなにかんがえているの?』の寅ちゃんも私はファンである。
私も話しかけてくるネコが欲しい。
この本も発売予約日にすぐに注文をした。

注文をしたのだが、『寅ちゃんはなにかんがえているの?』の中身の一部が見れるとのことでイベント会場に行くことを決めた。
更に嬉しいことに注文をした「あざらしのひと」の原稿がまるまる全部試し読みができると告知があった。

注文をした2つの楽しみにしている本。
もうドキがムネムネしながらTOBICHI東京に行くと、最新の原稿があるでは無いか!!

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夢中で読んだ。

浅生鴨さんが3メートルぐらいの近くにいることすら忘れて、「あざらしのひと」の原稿の試し読みを夢中で読んだ。

結果的に試し読みコーナーで全部、読み終わってしまった…。
試食コーナーで1パックのお惣菜をがっつきながら、全部食べてしまったような、気まずさと恥ずかしさ。

「全部読んだの?」
「はい……夢中で読んでいたら、全部読み終わってしまいました…」

でも、もうちゃんと注文したのです。
とか、浅生鴨さんに赤面しながら弁明を繰り返していた気がするけど、恥ずかしすぎて何を話したかは、よく覚えていない。

子供のころからの悪い癖で楽しいこと、面白いもの、があると集中して周りが見えなくなりやすい。いい大人なのに。

子供ころに通常のお店よりも早く買えるジャンプを購入し、全速力で帰宅して、夢中で読みふけったあの時のように。
誰も読んでいない「あざらしのひと」の原稿を、外にいることもTOBICHI東京の店内なことも忘れてひたすら読んだ。(申し訳ない)

ただ私には、外で立ち読みしていることを忘れるほどに面白くて、楽しくて……
そして最後の最後に泣いた。

正確には溢れる涙を、ぐっと、こらえて心の中で感動して泣いた。
私の心に強く響く、表現の内容だったのだ。
視野と考え方とそして決意。

私が映画やドラマなどで好きなものは、沢山笑って、そして振り幅が大きく感動する要素のある、感情が揺さぶられるものだ。

くすっと笑ってしまう視点や表現の数々に書かれた、最後の『観察者』のエッセイが本当に素敵だった。心にぐっときた。

あの日に『観察者』読んだ感動から、世の中は、かなり落ち着きを取り戻しつつある。
それまでは、ほとんど出社をしない月も今年は多々あったが、10月は会社に行く機会もかなり増えた。

自宅に届いたあの日から、バックのお供に「あざらし」がいる。
このあざらしは、今はどこを見ているのだろうか。
私を見ることは、あるのだろうか。

私は感情のままで怒ったり、笑ったり。
私の機嫌が悪い時は、あざらしが「とりあえず、どこでもいいからページを開いてよ」と話しかけてくる。

目線は、どこか遠くを見つめたままで。


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