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【罪の声】感想文

感想文

35年前の未解決事件を追うミステリー。
ミステリーというより、ヒューマンサスペンスと言ったほうが適切なのかもしれないけど。

当然、地道な取材を繰り返して事件の真相に近づいていくという、映画にするのは難しいようにも思えるストーリーなんだけど、それを飽きないように纏め上げた構成が見事。純粋に面白かった。

事件の裏には、関わった人間がいる。起こった事実をそのまま文字で書きあげただけでは、語られることなく埋もれてしまう「ひとりの人間の人生」がそこにはある。

記者というのは、被害者や関わった人の心に土足で踏み込む側面がある難しい仕事だと思う。すでに時効となった事件を掘り起こし、その真相を明らかにした先にあるのは、シンプルなハッピーエンドでは無い。

「事件の真実に丁寧に光を当てることは、事件に関わった人たちの想いを知り、寄り添うことである。」
阿久津さんのように優しさと信念を持った記者が綴る文字を、同じ気持ちで読みたいと思った。

この映画をまだ見ていない人にコピーを作るなら

カセットテープが回る。録音されていたのは自分の声。
「脅迫テープに使われたのは、俺の声だった」
声の罪を、知らなかった者、苦しみ続けた者、逃げ続けた者…そこには「35年前」の終わった事件ではなく、「35年間」の人生がある。
時の流れが深淵に沈めた、あの事件の真実を探し出せ。

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