【ネタバレあり】劇場版アイカツプラネット感想

15日公開の劇場版アイカツプラネット!を観に行ってきました。

今回はその感想です。

ネタバレや若干ネガティブな感想も含まれるため,まだ観に行っていない方や鑑賞を終えて気分の良い方は閲覧しないことをおすすめします。

なお,僕は,アイカツプラネットも含め,アイカツのテレビシリーズ及び劇場版を全作品みています。


1 一言で言うとビックリマンチョコみたいだった・・・

今回の映画を一言で表すとビックリマンチョコです。

ビックリマンチョコというのは,シールのおまけがついたウエハースチョコです。ちょっと世代のわかる商品なのでちょっとアレですが・・・。
何回かブームの時期があったそうで,僕はビックリマン2000の世代です。

余談はともかくさっそく感想を(ビックリマンチョコと表現した趣旨も追々と・・・)。


2 よかった点

(1) アイカツプラネット

アイカツプラネットのテレビシリーズのその後を描いた作品です。

トップアイドルとなったハナこと音羽舞桜ちゃんが,一緒にアイカツした仲間やファン達に感謝の気持ちを伝えるためのイベントを企画したよというストーリーです。
アイカツではよくあるストーリー展開なので,アイカツのファンにとってはスッと馴染むと思います。
わいわいとお祭り騒ぎの明るいストーリーです。

以上,簡単に概要を紹介したところで,満足した点について紹介します。
個々のエピソードだけあげると,アイカツプラネットのテレビシリーズで示されたその後の展開がしっかり回収されていていいなと思うんですよね。

・実写パートのレディ・レディ・レディ
バンカツを始めた響子先輩のために一緒に演奏をするシーンがあります。
響子先輩,栞ちゃん,杏ちゃん,紗良さんの4人により,レディ・レディ・レディがロックバージョンで演奏されました。

いきなりの展開でびっくりしましたが,鳥肌が立ちました。
フルじゃなかったのが残念なくらいです。

実写で歌っていても全く違和感がありません。
実写パート,アニメパートの声,歌唱パートを全て一人でやるというアイカツプラネットだからこそという感じです。

・ファッションショーシーンのるりちゃん
るりちゃんのゴスロリが可愛かった(小並感)。
語彙はショボいけど,本当に可愛かった。

・キューピットとアンのミュージカルシーン
お次はアニメパート。
ミュージカルもステージもそれぞれ別で曲を用意してよかった。
キューピットこと愛弓ちゃんとアンこと杏ちゃんは,テレビシリーズの最後でユニットを組むという話が出ていたのですが,これがついにみられたわけです。
仲がよさが伝わってかわいい。

・ハナとローズのステージシーン
さすがのクオリティでした。ステージについては全く文句がありません。
ライバルがユニットを組むという展開はいいよね。

・エンディング
メイキング映像が流れていました。
テレビシリーズでもメイキング映像がありましたが,本当に好き。
こういう順番で撮影されていたんだとよくわかって面白いし,現場の和気あいあいとした雰囲気も伝わってきました。

特に気に入ったシーンは以上のとおりです。
個々のシーンだけ切り取ると本当に良かったんですよね。

(2) 未来へのSTARWAY

アイカツ!の新作。
時系列的にはアイカツ!第4シーズン最終回直後から半年後くらいの間。
いちごちゃんとあかりちゃんのユニットであるコスモスがはじめてのライブを成功させ,これから全国ツアーというタイミングです。
こんななかであと半年で卒業を迎えるいちごちゃん世代を描いたものです。

憧れが次の憧れを生むという世代間の継承はアイカツにおける大きなテーマです。
では,次の世代にバトンを渡したアイドルのその後は?
当然,そのアイドルにもその後のアイドル人生はあるわけです。

劇場版アイカツ!では,神崎美月さんの引退に触れられていました。
しかしながら,結局美月さんは,引退を撤回してその後の話はうやむやになってしまいました。

もちろん,作中にはアイドル学校の学園長になった光石織姫さん,結婚した星宮りんごさんという元マスカレードの2人がおり,アイドルのその後のロールモデルは存在します。
もっとも,彼女達の引退に関するエピソードはあまり深堀りされていません。

ついにこの問題を正面から描くときがきたのです。
これを描くということはいちごちゃん世代の,ひいてはアイカツというシリーズの最後を描くに等しい。

アイカツというシリーズを最後まで描いてくれることは本当に幸せなことです。

ソレイユの3人がそれぞれ悩んでいる姿やそれでも互いを信頼している姿はとても美しい。
あおいちゃんは具体的な進路を決め,蘭ちゃんも新たな挑戦を目指す。
では,いちごちゃんは?

これほどの壮大なテーマを25分では到底描ききれないだろうと思っていましたが,やはり続編があるとのことです。
早く続きが観たいです。

来春に劇場版公開とのことですが,STARWAYの続きでしょうか?


3 不満だった点

まず,STARWAYの内容には全く不満がありません。
また,アイカツプラネットについても,個々のシーンには満足できるところも多々ありました。

とはいえ,なんです。
鑑賞後にはなんともいえないモヤモヤ感が残りました。

不満点を大きく分けると以下の4点です。

(1) 公開時期について

まず第一に,なぜこの時期の公開なのか?

アイカツプラネットのテレビシリーズの終了から約1年後の公開です。
内容は,アイカツプラネットのテレビシリーズを観ていたことを前提とするものなのに,肝心のテレビシリーズ本編から時間が空きすぎている。
さすがに1年もたつとアイカツプラネットの感動や記憶は薄れてしまいますよ。
僕も観ているうちに色々思い出してきましたが,最初から没入したかった。

もちろん,ウェブ番組は細々と続いていたし,観る側が直前にテレビシリーズをおさらいすればいいだけなのかもしれません。
ただ,これをしなかったファンを置いてきぼりにするのは,ちょっとハードル上げすぎではないかと思います。

テレビシリーズと劇場版がセットになったBDBOXが出るらしいので,今度は一気見しようかと思います・・・。

STARWAYとの関係でも劇場版は少なくとも半年後。
今後の展開は不明ですが,あまり細切れに分けないで欲しいと思います(おそらく未来へのSTARWAYについて一本にまとまったBDが今後発売されるんじゃないかと思います。)。

なぜこの時期か真相は不明ですが,今年の10月でアイカツシリーズはちょうど10年なので,10周年に近く,かつ夏休みということでこのタイミングにしたのでしょう。

最後にまとめますと,アイカツプラネットの続編という意味では公開が遅すぎ,未来へのSTARWAYとの関係では公開が早すぎということです。


(2) 同時上映という形にしたことについて

冒頭の「ビックリマンチョコ」の話を回収します。
放映時間は,プラネットが約55分,STARWAYが約25分です。
そして,タイトルは「劇場版アイカツプラネット!」でSTARWAYは同時上映という扱いです。

そうすると,作品の形式上,本作のメインはプラネットで,おまけはSTARWAYなわけです。
しかしながら,STARWAYを目当てに観に来た層は少なくないと思います。
他方,プラネット目当てという層はどこまでいるか?
アイカツプラネット!に初めて触れた女児層といってもテレビ放映終了から1年経っていますし・・・(あくまで肌感覚なので,実際のところはわかりませんが・・・。)。

そんなわけで,本作をおまけ目当てで買われるビックリマンチョコに例えたわけです。
これは余談になりますが,私よりも前の世代では(のむらしんぼ先生のコロコロ創刊伝説によると),シールだけ買ってチョコを捨てるというのが社会問題になったらしいです。

同時上映というのは子供向け作品ではよくある手法です。
この手法における問題は,セットにされた一方の作品に興味がない場合の扱い及び各作品の時間が短くなることです。

僕の感想は,同時上映にしたことで劇場版アイカツプラネット!自体が歪み,未来へのSTARWAYも細切れにせざるを得なくなったというものです。


(3) アイカツプラネットへの不満① アイカツ!要素の記号的な消費

アイカツプラネット!というのは,半実写作品ということもあり,賛否両論ある作品でした。
僕含めアイカツプラネット!まで着いていった層には概ね高評価だったように感じますが,アイカツプラネット!を観ないで離れた層もそれなりにはいるように思います。

制作サイドもこういった層がいることは把握していると思われます。

上映の順番からそのことがもうかがえます。
本作は,アイカツプラネットから上映され,その後にSTARWAYが上映されました。
STARWAY上映直後に来春の映画の宣伝をつなげるという意図もあったのでしょうが,先にSTARWAYを上映すると一定の層が上映途中に席を立つという事態が生じかねないという側面もあったのではないかと思います。

さて,そんなわけでSTARWAYだけを観に来た層は約1時間あまり興味のないプラネットをみせられるわけです。ここで悪い印象を持つとアイカツシリーズ全体に悪影響を与えかねない。
そこで,制作サイドは,STARWAYだけを観に来た層に,プラネットもアイカツシリーズなのだとしっかり伝え,ファンになって貰わなければならない。
そのため,作中に一目でわかるアイカツの要素をちりばめた(以上は推測。)。

これが,僕には,アイカツの要素を記号的に消費していると感じたわけです。

作中で出て来たのは3つ。
斧・パラシュート・崖のぼりです。
どれも一目でアイカツだとわかる要素ですが,どれも唐突な感じが否めませんでした。

特に酷いのが斧で,木彫りのメルリ(クマのマスコット)を削るのに舞桜ちゃんが唐突に斧を持ち出し,周りに危ないよと止められます。
過去のアイカツシリーズにも斧はたびたび登場していますが,「伝統」,「伝説のアイドル」等それなりの扱いを受けていますし,ちゃんと木を切る場面で登場しています。

アイカツプラネットのテレビシリーズをみれば,プラネットもアイカツ精神を受け継いだアイカツシリーズだと分かります。
アイカツの精神を感じさせるのにアイカツ要素を記号的に使うことは不要なのです。
手っ取り早くアイカツの後継作品なのだと理解させるためとはいえ,ちょっとなぁと感じるわけです。


(4) アイカツプラネットへの不満② ドレシアの扱い

これは尺の関係なのか,構成の関係なのかわかりませんが,ドレシアの扱いが雑じゃないかと感じました。

問題のシーンは,ハナがローズの望みをかなえるシーン。
ローズは,ハナとユニットを組んでステージをしたいと言います。そして,ステージにふさわしいドレシアの存在を紹介します。
そこで,イベント中にハナとローズがそのドレシアを探しに行くというエピソードです。

外国の文献で見つけたドレシアという割にあっさりと見つかります(結構遠い距離を走ったような描写はありますが。)。
そして,ドレシアは,ハナとローズに試練を課し,二人を見極めます。
その内容は,
・丸太の橋をわたらせ
・暗い洞窟を歩かせ
・崖のぼりをさせる

アイカツにしてはしょぼくない?

ハナとローズといえば,トップアイドルの座を争ったライバル。
その二人がユニットを組むに至るのだから,もう少し何かあってもよかったのではないかと思うのですよ。

正直,尺の関係でこれくらいの試練しか描けないのであれば,最初からローズがドレシアを見つけておいたよくらいでも正直変わりがなかった。

ドレスはアイカツの命ですよ。
それは,アイカツプラネット!でも変わらない。
それなのにちょっと雑すぎやしないか?


(5) 不満点のまとめ

アイカツプラネット!は個々のシーンではよかったものの,アイカツプラネットの重要な要素であるドレシアに関するエピソードのガッカリ感と雑にちりばめられたアイカツ要素のために全体的にみるとややガッカリな印象でした。

なんかまとまりのない作品だと感じました。

おそらくガッカリ感の原因は,STARWAYと同時上映にしたことによる,尺の圧迫とSTARWAYだけ観に来た層への配慮にあるんじゃないかと思いました。

そして,STARWAYからみても,いいところで切られた感じがしてムズムズしてしまう。
どうせだったら一気に見たいのです。
短編上映やWEBアニメで何分割にもされては感動も台無しですよ。

両作品にとって不幸な同時上映だと感じました。
もちろん,同時上映にしなければならない事情もあるのでしょうが・・・。

同じ同時上映でもアイカツスターズについては全く不満は感じなかったのですが・・・。

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