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ホットワインで思い出すこと

はじめて海外で住んだ国は、ドイツだ。
仕事と生活の立ち上げのために、
僕は3ヶ月前から、家族と離れて暮らしていた。
家族が不安も不便なく暮らせるように、
仕事と家の準備に追われる日々だった。
10回以上はIKEAに行ったし、骨なしの鶏肉が買えるお店とか、
お米や日本の調味料が買えるお店をリストアップしたり、
主夫としてもよく働いた。

家族が来たのはクリスマスの時期で、
荷物の片付けもそこそこに、
近くの広場のクリスマスマーケットで、
初めてホットワインを飲んだ。
赤ワインとシナモンの香りをくんくん匂いながら、
無事に家族を受け入れられたことに安堵したのを、
今もよく覚えている。

そんな昔のことを、ふと思い出したのは、
僕がこっそり楽しみにしていたワインを、
さきほど妻が落として派手に割ったからだ。
キッチンに、赤ワインの匂いが充満している。
ただ、さっきから全く怒る気になれない。
あのときのホットワインが、ここでも、役にたつとは。

お蕎麦屋さん開きたい。