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スーパースター

 どんな競技にでもスター選手がいる。そこから更に、そのスポーツにおける、ひとつの時代の象徴となるようなスーパースターが出てくることがある。
 マイケル・ジョーダン。王、長島に野茂、松坂、イチロー。千代の富士に貴乃花。セナとシューマッハ。そういった人物は引退後に伝説となる。

 競輪というスポーツとギャンブルの狭間に存在するマイナー競技にも、伝説的な選手は何人も存在して、その中に「吉岡稔真(よしおか としまさ)」という元選手がいる。

 吉岡がどれぐらい凄いか、競輪を知らない人にも分かりやすいエピソードをひとつだけ紹介すると、現役時代に「笑っていいとも」のテレフォンショッキングに出演した。長江健次からの紹介を受けて、吉岡は次に林家いっ平を紹介した。この見事なスパースターリレーを見れば、彼がレジェンドであることに疑いを持つ人はいないだろう。

 引退してもう十四年経つ。現在は競輪の解説なんかを中心に活動しているが、私がそこまで熱心な競輪ファンではなくなってしまったことが原因で、しばらく彼の姿を見ていなかった。

 先日久しぶりに動画サイトで吉岡の姿を見た。髪形にあきらかな違和感を覚えた。別にいいんだけど、なんかショックでテンションが下がった。

 私の様子を見て心配した嫁に訳を話すと、

「カツラでも植毛でも髪形に気を使えるのは生活に余裕がある証拠よ。あなたのその、レジェンドとかいう人は、引退したあとも落ちぶれてないってことでしょ」

 そんなことを言われた。


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