建築とWeb ー モダニズムとフラットデザイン
建築とWebは似ていると思います。(2回目)
モダニズムとフラットデザインというムーブメント
19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて建築界ではモダニズムという運動が起こっていました。詳しい話は諸先輩方に譲るとして、簡単に言うと、それまでの様式に則ったデザインではなく、機能に基づいたデザインを目指すものでした。
無駄な装飾を廃し、機能性を考えたシンプルで合理的な設計がモダニズムです。今日のオフィスビルに凝った彫り物や円柱がない(中にはあるでしょうけど)のもこのモダニズムの影響です。
この背景には鋼鉄や透明なガラスといった新建材の登場が建築の技術的可能性を広げ、モダニズムによる新しい表現を支援していた背景もあります。同時に社会的な側面では産業革命後の社会構造や人々の生活様式の変化が従来の建築様式に合わなくなっていた事実もあります。
他方、WebデザインのみならずコンピュータのUI設計にもフラットデザインというムーブメントがやってきました。その嚆矢となったのはWindows8のメトロUIと言われています。それまで、 ボタンは本物のボタンらしく、立体的なデザインでしたがフラットデザインの登場で平面的なボタンが現れました。
その背景にはスマホやタブレットといったタッチデバイスの登場があります。ボタンを押すことなく、タッチで動作をします。本物のボタンのようにはなりませんから、ボタンも平面的になったのです。つまり平面なデザインはタッチという機能に則したデザインなのです。
同時に装飾的要素を排除し、シンプルなデザインがトレンドになりました。これは非機能的な装飾はユーザに余計な情報を与えるだけであり、機能主義的観点からすれば不要なデザインと考えられるからです。
このようにモダニズムとフラットデザインの隆盛は成り立ち方は似ていると思います。
モダニズムへの批判とフラットデザインへの警句
モダニズムへの批判として、ただ単に経済的・機能的合理性を追求しただけの無味乾燥な建物を増やしたという批判があります。(それに対するモダニズムの反論や云々はここでは置いておきます。)
フラットデザインにも同じことが言えるでしょう。つまり、単に装飾をなくし影を取り去り色ベタで作ったデザインをフラットデザインとして濫造することは、使いにくい、分かりづらいといった批判を招きます。
両方に言えるのは色や形だけ真似ても、そうはならないということです。意義を踏まえたデザインをしないとデザインそのものの貶めることにつながりません。
フラットデザインもまた、プルーイット・アイゴーの解体のような憂き目を見ることになるかもしれません。
フラットデザインの未来
フラットデザインが最良のデザインとも思いませんし、実際にマテリアルデザインのような派生デザインも出てきました。もしかしたらWebデザインにおいてもポストフラットや脱構築主義的なデザインが登場するのかもしれません。
その時、建築にヒントを求めることも良さそうです。
Photo by Samuel Zeller on Unsplash