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【読了】『流浪の月』---800字感想

映画化か。と思って、凪良ゆうさんの『流浪の月』を再度読みました。映画は観ていません。

少しネタバレ的な内容を含む感想を書きたいと思います。

発売後すぐ、友人に「面白いよ!」と勧められて初めて読んだ時は、物語や登場人物の設定が刺激的で、あっという間に読み終わってしまいました。

例えば親のネグレクト、パートナーのDV、職場環境の人間関係、そして各々が抱える思考のパターンや病気(病的な何か)など。

様々なタイプの人間の闇や事件が次々と襲いかかってきて、文字通り息つく暇無く最後のページまでひた走りました。

2年ほど経過して改めて読み返すと、かなり色々忘れていて、自分の相変わらずのいい加減な読書姿勢に苦笑いでしたが、お陰様で再度新鮮に読むことができました。

そして今回は、”世間というものの狂気”、そして、”言葉の通じない人間とのコミュニケーションの気味悪さ・しんどさ” が印象に残りました。

この2年の間に世界も自分も大きく変わっていて、特に私の中では下劣な大国のリーダーによる隣国への侵攻が、自分が思っている以上に心に傷をつけているんだなと実感しました。

ウイルスというコミュニケーションが図れない相手に共闘すべき時に、人間同士が話し合うことができないという状況に対する悲しみと怒りとやるせなさ。

主人公の女性に対して不快感を抱くレビューもいくつか見かけましたが、私はそれよりも、世間(小さな世間、大きな世間どちらも)という同調圧力に対しての恐怖の方が大きく、自分の反応の変化に少し驚いています。

例えばワクチンに対して、マスクに対して、国の自衛に対して、そしてもっとささやかな日常のあれこれについて、SNS上では毎日何らかの対立が起こっていて、その諍いはこの2年でより大きく、より頻度を増しているように感じます。

「生きづらいな」と思うことが増えているのかな、と自分のストレスに向き合う読書体験になりました。

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