ザ・バンドというバンドに考えさせられたバンドについての彼是
ザ・バンドのギタリスト、ロビー・ロバートソンの訃報を聞き、長らくウォッチ・リストに入れたままになっていた『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』を観ました。
ボーカリストが複数人いたことも、「ビッグ・ピンク」というのが彼らが居住し音楽を作っていた家だったというのも知らないくらい non-知識で観ました。
ザ・バンドについては、パッとタイトルが出てくる彼らの楽曲は “The Weight” くらいで、ずっと「サイケ満載な時代に登場した何か落ち着き払ったアメリカンなバンド」みたいなイメージでしたが、映画観賞後に残った印象は「ドラッグ・交通事故・金」でした。
あとは、「かつて僕らは本当に仲が良かったんだ」という、ビートルズの回顧録でも散々泣かされてきた郷愁と感傷。
今日映画の中で初めて出会ったザ・バンドのメンバーは、全員が本当に魅力的で、彼らの出会いも軌跡もドラマチックでまさに奇跡だと思いました。
ボブ・ディランを支え、エリック・クラプトンに加入したいと思わせたバンド。(加入はおろかジャムセッションさえしてもらえなかったクラプトンが、「ラスト・ワルツ」でステージに立ち、ロビー・ロバートソンとハプニングに乗じてギター対決みたいなことしちゃってるのには嬉しくなってしまいました。)
その中心的なメンバーであり、真面目で才能豊かなロビー・ロバートソン。その彼が、ザ・バンドとしての待望のステージに立つために催眠術を必要とするほどの恐怖とは、何だったのか。
想像すればする程、ほぼ同時代に同じような重圧と葛藤を抱えながら支え合って生き抜き、音楽を創り続けてくれたビートルズを想い、呼吸が浅くなりました(なんだかんだビートルズの話に流れていくのは毎度の事ですがお許しください)。
なんだか本当にすごい時代だったんですね、60-70年代って。
私がこの時代の音楽を聴いて得る感動って、そういう、作っている人たちの魂とか奇跡を感じることができるからなんだろうか。と思ったりもさせてくれる映画でした。ヒリヒリします。
映画は2019年製作で、ロビー・ロバートソン氏は作品にとても満足されていたようですが、立場が違えば同じ出来事でも見えるものや抱く印象が違うんでしょうけど、ザ・バンドを少し知ることができた気がします。
そして、「狂気の教授」と呼ばれたという(wiki情報) ガース・ハドソン氏のことをもっと知りたいと思いました。
ビートルズファン目線で言うとジョージも、(豆粒大の)リンゴも登場しますし、観られて良かったです。
未鑑賞の方は、Amazon Prime Video でも観られますのでぜひ。
しかし、ロビー・ロバートソンとリヴォン・ヘルムにしても、ポールとジョンにしても、ジョージとジョンにしても、あれだけ強く結びつき、人生の一部を共にした友人と完全に雪解けできないまま永遠に別れてしまうというのは、本気で辛すぎるだろうな…。
「あの世で会おう」と言っていたロビーは、リヴォンと、リック・ダンコ、そしてリチャード・マニュエルと再開し、また音楽を作っているのでしょうか。
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