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travelingはイケイケ!

宇多田ヒカル初のベストアルバム、
「SCIENCE FICTION」が満を持して発売。

※「UTADA THE BEST」なんてなかったのです

とにかく気になっていたのは、
「Re-Recording」とされた、

  • Addicted To You

  • traveling

この3曲。

いわゆるリメイク的なことをやったことがない(はず)ヒカルちゃんが、
まさかの!? という驚きとともに、
この人なら絶対に外さないだろう、という確信があった。


とりあえずtraveling行くか、と再生したところ、

軽く爽やかな質感の打ち込みにシビれ、
「今なにしてる?」に肌が粟立ち、
Bメロ後半からのギターのバッキングにイェア!! と声が出て、
サビで頭ブンブン振って踊りながら涙まで出てきて、

良すぎて他の曲が聴けていない。外してない、どころの騒ぎじゃない。

いや、これ聴いて身体揺れない人いるのか?
私の母は、歌うと半拍ずつ音がズレていく独特のリズム感を持っているけど、たぶんノッてくると思う。

原曲がディスコチューンだとすると、
2024年ver.はエレクトロポップというか。
風通しがよく、今っぽくて、誰もが聴きやすいトーンに進化している。
(あと、テンポちょっと上がってますよね?)

そりゃ綾鷹とタイアップもするわ。


ヒカルちゃんが「人間活動」後にリリースした「Fantôme」以降、
生楽器の音を積極的に取り入れるようになったのは、ファンの間では有名な話だ。

これまでに聞きかじったインタビューなどを思い出すと、
「かつては、均整のとれた打ち込みサウンドをたったひとりで仕上げていたが、
ライブ感のある生楽器の音を重要視するようになって以降は、ストリングスの編曲まで手がけるようになった」
ということだったはず。

ストリングスの編曲て。アレンジャー兼コンダクターというか。
どんだけマルチタスクですか…?

今回のtravelingは、打ち込みは時流に合わせてブラッシュアップしつつ、
情緒的にコードを奏でるギターが加わっていて、
2001年(原曲発売当時)のヒカルちゃんと2024年のヒカルちゃんを同時に楽しめる感がある。
1曲で二度おいしいのである。


そして、同曲はm-floの☆Takuさんとの共同プロデュースだという。「Distance (M-flo Remix)」が大好きな私にとって、もう絶対的信頼感しかない座組み。

そもそも、Y2Kが単なるムーブメントを超えて安定的なジャンルとして存在している今、m-floサウンドが外れる余地はない。

「OMG」が大ヒットしたのがその証左だ(m-floが手掛けたわけではないけど、このサウンド感は…!)。

やはりFantôme以降、こうした共同制作やコラボレーションの機会が増え、ファンとしては嬉しい限り。
杏ちゃんに逆オファーかけてYouTubeで餃子作るコミュ力があるのだから、今後も楽しみである。


これを書くにあたって、
ヒカルちゃんのディスコグラフィを見返していたのだが、
「Can You Keep A Secret?」、2ndアルバム「Distance」、「FINAL DISTANCE」、「traveling」が、
全て2001年にリリースされていることを知り、衝撃を受けた。

当時、私はまだ子どもだったので、
「Can You Keep A Secret?」と「traveling」の間はそれなりに空いているように感じていたのだけど、
実際は、たったの9カ月間。

いや、普通に過労…。
「働きすぎ」とたびたび指摘されるK-POPアイドルですら、
年2〜3回のカムバが関の山だというのに。このペースはすさまじい。

ヒカルちゃん本人も「SCIENCE FICTION」リリースに際したインタビューで、
デビュー当時を「しんどかった、よく乗り越えたな、みたいな感覚」と回想している。

※10分19秒くらいから

こんなに作って歌ってくれて本当にありがとう、と思うとともに、
そりゃ「人間活動」にも入るわ、と同情を禁じ得ない。
加えて、「この状況おかしい」と気づける俯瞰力の高さも流石だ。


よきところでtravelingを消化して、
通しで「SCIENCE FICTION」を聴けるようになりたいものである。

本当に、奇跡のようなアーティストだと思う。
ツアーはこういった事情(っていうか体質)があるので行けないけど、
きっと大成功をおさめるのだろう。

ヒカルちゃんも観客も、ブチ上がるイベントでありますように。

※サムネイルはもちろん公式から引用しました

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