電話の声は、硬く、尖っている。元妻の駆け引きが、また始まった。
■33
子供たちと交流できた二年半は、かけがえのない時間だった。
毎回、元妻には振りまわされたが、それを差し引いても素晴らしい時間だった。
娘は小学二年生から、五年生になった。不得意だった科目に一所懸命とりくむ姿を真横で見られ、私も鼓舞された。会うたびに背が伸びていて、成長の速度に目を細めた。
乳幼児だった息子には自我が芽生え、親子の会話、そして男同士の話ができるようになった。半日だけ一緒に電車に乗って、ふたり旅の気分を味わったこともある。
家族でいろんなところへ遊びに行けたし、子供たちと行けばスーパーでもイオンモールでも、特別な思い出ができる場所になった。
元妻と楽しい会話ができた日だって無かったわけじゃない。このまま親友になれるのかもしれないと期待した時もある。
日程や予算をつくるための苦労はあったが、苦にはならなかった。
終わりは、突然やってきた。
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